Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー宍戸留美&上田健司(Rooftop2013年11月号)

フェンスの上に架ける創造の橋

2013.11.03

作詞家になりたかったら離婚しろ!

──今回、全曲が上田さんの作詞作曲ですが、それはそうしたかったんですか?
留美 はい。私がどんな想いを込めて歌詞とか書いても、聴く人にとってはあんまり関係ないのかなと。出自がアイドルっていうのもあるのかもしれないけど。だから今回は表現に徹して、自分の中の経験はなるべく出さないように歌おうと思いました。
上田 やっている1年の間に歌がどんどん上手くなっていくんです。
留美 そうなんです。「春風」は下手だけど「ランプ」は上手になっているとか(笑)。自分が弾き語りを始めたのもあって成長はしてますね。
──僕は留美さんの書く詞が好きで、前も言ったんですが、前作の中の「TAWAGOTO」とか、男が聴くと驚くというか、もう凹むしかないような歌詞がすごいなと。
留美 ははは(笑)。でも、今回は30代最後の作品だから、男の人が描く女の理想像を歌いたいという気持ちもありましたね。疲れ切った自分も癒されたいと(笑)。
上田 男が書くラブソングって、結局、理想の女性を描いちゃうんだよね。女の人が書くものは男がドキっとするような、女の強さとかすごい出てくるけど、俺が書く歌詞だとやっぱり女性を象徴として書くから汚く書けない。女性は美しいものであって欲しいと。
留美 あと上田さんに言われたのが「そろそろ売れたら?」って(笑)。それで私もそう思ってプロデュースしてもらったんです。
──上田さんの理想像を歌ったということですが、聴いてみると留美さんの書く詞と近いものがありますよね。
留美 言葉の選び方がそうですね。普通、人に書いてもらうと「これは言わないよ」ってことがあるんですが、それが全くなかった。
──例えば「春風」の“すべてが楽になるその時まで どうか消えずにいて”という歌詞は留美さんの世界観に近いと思います。今とても幸せだけど、これはいつか消えゆくもの、みたいな。
留美 諸行無常です(笑)。ものすごい失恋した時とか。
上田 俺はそういう時にたくさん詞を書きためます。失恋大魔王なので(笑)。作詞家になりたかったら離婚しろ!って言ってますから。幸せになったら音楽やめるしかない(笑)。

フェンスを乗り越えたい

──留美さんへの書き下ろし曲は「春風」の他には「仔猫のタトゥー」と「スコア」ですね。
上田 「スコア」は僕の留美ちゃんに対する告白みたいな。セッションをやってるのが楽しくて、その時できた曲です。それを音符にしようと思った時に、歌詞に音楽の専門用語を入れて「俺いま、楽しいんだよ、留美ちゃん」と伝えたかった。
留美 男と女だと別れたら二度と会わないこともたくさんあると思うけど、音楽を通じて何かをするということは、夫婦に近いこともあるし、恋人に近いこともあるし、尊敬の念しか起こらない。
──この曲は本当に留美さんの曲って感じがしました。まさにおんぷちゃんが五線譜の上を遊んでる感じで、「おジャ魔女」ファンにも是非聴いてもらいたいです。2曲目の「仔猫のタトゥー」は不思議な世界観が歌われてますね。
上田 僕らがいる社会をモチーフにして、そこから抜け出したいと思っている一人の女の子の話をちょっと物語っぽく書きました。
──留美さんはこれをどう歌いました?
留美 私は自分なりに解釈して、アイドル時代にどこか違う世界はないの?と思っていた気持ちを歌いました。
上田 僕にとっての音楽人生って、そびえ立つフェンスがあって、なんとかこのフェンスを乗り越えられないかなあっていうものなんです。何十年やっていてもそういうことを思うので、それをどういうシチュエーションで描こうかと思って、仔猫のタトゥーをメタファーにして、少女と芸術家の物語にしました。
──歌中、“フェンスの向こう側に答えがある”と書いてますね。
上田 自分がフェンスを乗り越えられてないという思いもあります。たぶん死ぬまで無理だけど、何かはしなくちゃいけないし、乗り越えようとする努力は必要だといつも思っていて、それを何かの形で書きたいなと。留美ちゃんも芸能人生が長いから伝わるかなと思って。かなり時間をかけて書いた歌詞です。
──上田さんは多くの人をプロデュースしているので、乗り越えたいことをプロデュースする相手に託すみたいな部分はありますか?
上田 ありますよ。変えなきゃいけない所は変えたいと思うし、ここを乗り越えて欲しいと思うことはそのために努力するし、それが役目だと思います。だから毎回毎回がチャレンジなんです。でもフォーマットってないんです。フォーマットを持っている人もいるんだけど、僕は持たないようにしていて、例えば小泉今日子さんの時も、加藤いづみさんの時も、もちろん留美ちゃんの時も毎回違う形でやるんです。一人ずつ全然違う。
──上田さんの場合特に幅広いですからね。
上田 広すぎて何が本当の自分なのかわからなくなって、どうにもならない時があるんだよね。俺って何なんだと。
──そういう意味でも今回のソロ作品はとても重要ですね。
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LIVE INFOライブ情報

2013/11/6 (水) 
宍戸留美&上田健司 合同リリースパーティー 〜ルンルンお誕生日おめでと〜
 
OPEN 19:00 / START 19:30
ADV¥4,000 / DOOR ¥4,500
渋谷gee-ge
問い合わせ:03-6416-3468
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