常に流行の最先端を行く街・新宿で、良質な音楽を発信し続けているタワーレコード新宿店が今年で開店から15周年を迎える。日本全国の音楽リスナーに絶大な支持を受けている新宿店が、同じ地で音楽を発信するライブハウス新宿LOFTで10月10日から"タワーレコード新宿店15周年大感謝祭 怒涛のライブ15連発"と題した15日間ぶっ通しライブイベントを開催する事が決定した。これから期待される新人バンドと、時代を築いてきたバンドが多数参加するこのイベント。今回は主催者であるタワーレコード新宿店店長の花野顕氏と、新宿ロフト副店長であり元タワーレコード新宿店スタッフの望月慎之介氏に、このイベントを企画した意図や見所について、たっぷりと話を訊いた。(interview:大塚智昭/二上亜架里)
新宿店イズムそのままのイベント
——10月に新宿ロフトで“タワーレコード新宿店15周年大感謝祭”と題して15日間ライブをやって頂きますが、なぜ15日間ライブをやろうと思ったんですか?
望月:軽い気持ちでオファーしたら思いの外承諾してもらえたというのが本当のところで…。
望月:それを即OKしてくれる新宿店は凄いなって思いました(笑)。
花野:やるかやらないか考える前に、やると決めて走り出すという教えがこの店にあるので(笑)。
望月:新宿店イズムそのままのイベントですね(笑)。
——15 連発のライブを開催するにあたり、全日思い入れがあると思うのですが、その中でも個人的にここは!と思う公演があれば教えて下さい。
花野:最終日のROSE RECORDSの日は、曽我部恵一さんを中心にやって頂きます。これまでにもインストアであったりとか、屋上ライブもやってもらったり、昔からお世話になってます。
——ROSE RECORDSって凄く下北沢感がありますよね。でもタワーレコードって下北沢に無いですよね(苦笑)。
花野:そうなんですよ。でも、下北沢のシーンも新宿で請け負いたいという思いはありますね。
——新宿店と曽我部さんの関係はいつぐらいからなんですか?
望月:サニーデイ・サービスの頃からですかね。
花野:その中でも一番強烈だったのは、サニーデイ・サービスが再結成した時に入場フリーでインストアイベントをやって、店内がぱんぱんになって。
——そりゃそうですよね(笑)。
花野:エレベーター開けたら人、みたいな(笑)。
望月:本当に1人ぐらいしか歩けないぐらいでした(笑)。
——それは曽我部さんの方からやりたいという話になったんですか?
花野:そうですね。入場フリーでやれないかっていうことで。ぱんぱんになる事はわかってたんですけど、それでやりましょうって。
——ロフトでのライブは、曽我部さんはバンドなんですか?
花野:ソロの予定です。ROSE RECORDSと、15周年なんで何かやりましょうっていう話の中で、レーベルを挙げてご参加頂けることになって。この日は他にMOROHA、ランタンパレード、チムニィなどが出演します。
——MOROHAといえば、『奮い立つCDショップにて』ですよね。
花野:そうですね。あのPVは閉店後の店内で撮ったんです。MOROHAもずっと応援してきて、アルバムリリースも楽しみにしてきましたからね。
——なるほど。望月さんの思い入れのある公演は?
望月:新宿店のイベント担当の田巻さんがやってる、“あおいろ反抗ナイト”っていうイベントがあるんです。入社する前から個人でやってたイベントなんですけど。そのイベントを今回15周年でまたやる事になって、それに合わせてコンピも出すんです。田巻さん自身、バイヤーをやってるわけでもなくて、イベントやってるのも一音楽リスナーとして企画してるわけで。いつもイベントの時に、ステージに立って挨拶するんですけど。主催が挨拶して、顔出すってなかなか無いじゃないですか。そういう人がまた15周年で、好きなバンドを集めてイベントをやる。来たら絶対いい音楽に出会えると思うし、そういうイベントになるんじゃないかと思います。
——今までそのイベントはどこでやってたんですか?
望月:新代田FEVERだったり下北沢DaisyBarだったり毎回変わるんですけど。andymoriとか平賀さち枝さん、おとぎ話等が出演していますね。今回新宿LOFTは初めてなんです。
花野:僕は今回15周年のイベントで個人的に凄く楽しみにしているのは、柳家睦 & THE RAT BONESですかね。10月14日の“LET’S ROCK!!!”の日に出演して頂くんですけど、睦さんだけはこちらからオファーさせて頂いたんです。入社してわりとすぐの1998年に川崎クラブチッタで行われた東京ビッグランブルっていうサイコビリーのイベントで衝撃を受けて、そのすぐ後に下北沢で睦さんに初めてお会いしてお話したんです。「なにやってるの?」って聞かれて、「タワーで働いています」って言ったら、「ああサラリーマンなんだ。じゃあ偉くなんなきゃね」って言われて、それが胸に凄く残っていて。それで今回15周年で自分が店長になって、イベントに出て頂けるっていうのは嬉しいですよね。
望月:感慨深いですね(笑)。
花野:睦さんには本当に出てもらいたかったんで。
望月:ロフトもお世話になっていますし(笑)。
——その他にイベントの見所といえば。
花野:15日間あるので、あらゆるジャンル、色んなタイプの音楽に触れてもらいたいですし、これをきっかけに、こういう組み合わせもあるんだって、新しい発見をして頂ければなあと思っています。あとはやっぱり新宿店らしいねって言われるようなイベントを意識していますね。まずお客様、そして出演者さん、関係者さんに15年間の感謝の気持ちと、それからこの先もよろしくお願いしますっていうことが伝わるものにはしたいなって思っています。ただ15日間連続でブッキングっていうのは、言わなきゃよかったなって思いますけど(笑)。
——やっぱり大変でした(笑)?
花野:はい(笑)。大変でしたね、追い込まれてます(笑)。
——店舗とイベントの連動っていうのはあるんですか?
花野:出演してくださる出演者さんの店頭展開をします。チケットを店頭でも買えます。
結局こいつとはなんだかんだやるんだ
——では最後にイベントに観に来る人、新宿店にCDを買いに来る人たちに何かメッセージがあれば。
望月:自分が10年働いた職場の15周年のイベントで、新宿LOFTの副店長とブッキングという立場で一緒に手伝えるという所で、辞めた後でもこういう繋がりって音楽だったら絶対あると思うんです。繋がりも大事だし、新宿店の面白さが15日間に絶対につまっていると思うので、ライブに来て、お店に来て、お店に来た人がまたライブハウスに来てっていうのが理想だなと思いますね。ただCDを買うだけ、ただライブに行くだけっていうのじゃ音楽を楽しみ尽くせないかなって思うので。両方あってより音楽が楽しくなるっていう。
花野:そうですね。立体的な感じにしたいですね。僕はお客様には、今までありがとうございます、引き続き宜しくお願いしますっていうのに尽きます。そして、絶対何か発見があって、楽しく思ってもらえるものにはしたいと思っています。ライブもそうですし、お店もそうです。とにかく足を運んで頂ければと。そして、その瞬間だけじゃなく、長い間付き合える何かを見つけてもらえればありがたいなぁとは思います。まぁモッチー(望月)が辞めた時には、「こいつとはもう二度と口をきかない!」と思ったんですけどね(笑)。
望月:色々ご迷惑をおかけしたので(笑)。
花野:でも結局こいつとはなんだかんだなんかやるんだって(笑)。まぁバイヤーの頃は面白いものを見つけてくるっていうことに関しては信頼してたので。どういうものを推していくかに関してもわりと共通の認識を持ててたんです。だから辞めるって言われた時に、ふざけんな!と思ったんですけど(笑)、こういう別の立ち位置でやれるっていうのは面白いですよね。