関東での知名度はまだまだだが、関西方面では多くの音楽ファンに親しまれ、とりわけ地元・徳島では県を代表するバンドとして子供からお年寄りまでに愛されている四星球(スーシンチュウ)が、この夏、関東を席捲すべく4年ぶりのニューアルバムを発売する。昨年のバンド結成10周年を経て、自らの使命を再確認したバンドが新譜のタイトルに選んだのはズバリ『COMICBAND〜アホの最先端〜』。人生の喜怒哀楽を疾走するパンクサウンドで表現する彼らの本作にかける意気込みを伺ってみた。「人生諦められたのに、夢は諦められない」4人の男達の決意とは!?(INTERVIEW:加藤梅造)
今の時代にコミックバンドをやるならどうすればいいのか
──私は寡聞にして四星球のことを今作で初めて知ったんですが、最初思ったのは、ガーリックボーイズのイメージに近いなと。
北島康雄(Vo) そう思ってくれるとありがたいです。
──音楽の基本はパンクなんですか?
北島 そうですね。ジャンルとして入れてもらう所がパンクというか、パンク畑におじゃまさせてもらっているというか…。ただ、パンクを聴いて育ったというほどの知識はないんです。メンバーの音楽性もバラバラで、それをコミックという要素で無理矢理1つにまとめてる感じです。
──結成当初からコミックバンドだったんですか?
北島 いや、そうでもなかったんですが、どうやったら目立てるかを突き詰めていったらコミックバンドになっていた。
U太(Ba) とにかく埋もれないように、変なことして走り回ってましたね。
──お客さんには最初から受け入れられたんですか?
北島 運もよかったと思うんですが、僕等が始めた頃はちょうど日本語で歌うパンクシーンが盛り上がっていて、なんでもありな状況だったです。ただ、このままだとすぐに終わるだろうと思ったので、ショーとして見てもらえるようにシフトチェンジして行きました。
──それはコントみたいな要素を入れていったりとかですか。
北島 コントって程ではないですが、結成して2年ぐらいの時にはもうネタ的なものは入れてました。
──最近はゴールデンボンバーがブレイクしたりと、コミックバンドの新しい波がきているような気がするんですが、手本にしたようなバンドはあるんですか?
北島 ドリフターズなどの過去のコミックバンドの功績は踏まえた上で、今の時代にコミックバンドをやるならどうすればいいのかというのを考えてやってますね。
U太 特定のバンドに憧れてというのはなくて、自分達がやってることをカテゴライズするとコミックバンドになるということなのかな。
北島 元々、面白い事もやるし、音楽もやるという感じで分かれていたのが、ここ最近それらが融合してきたんだと思います。
──アルバムの宣伝文に「より研ぎ澄まされた」とありますが、具体的にはどのへんが?
U太 いやあ、どこなんでしょう(笑)。前作はかなりネタを詰め込んでいたんですが、今回のアルバムは無駄がないと思います。まあ、人によってはすべて無駄ですが(笑)。でも自分達としてはバランスがとれたアルバムではないかと。
──収録時間が1時間近くあってアルバムとしてはけっこう長いですよね。
U太 これでも前作よりは短くなってるんです。
北島 欲張りなバンドなんで、どんどんやりたいことが出てきちゃう。そこを今回はぐっと抑えて、お客さんにすっと聴いてもらえる感じを狙ってます。
──なるほど〜、大人ですね(笑)。まあコント部分は別にして、曲だけ聴くと疾走する曲からじっくり聴かせる曲まで表情豊かですし、普通に青春パンクとしても聴けますよね。
北島 そうですね。やっぱりそこが一番好きなんで。
──ブルー・ハーツとか?
北島 もちろん大好きです。
──ブルー・ハーツは多くのフォロワーを生み出しましたが、まさか四星球のようなバンドまで出てくるとは思わなかったでしょうね。
U太 怒られそうですけど…。
──でも、ブルー・ハーツもデビュー当時どこにもカテゴライズできない異質なバンドでしたから。サザン・オール・スターズも最初はなんだかよくわからなくてコミックバンドと言われてましたし。
北島 実は今作のジャケット写真は『勝手にシンドバッド』の頃のサザンを意識してるんです。ランニングシャツと短パンというスタイルで。
──あー、確かに言われてみたらそうですね。てっきり山下清かと。
モリス(Dr) あ、僕だけ山下清です(笑)。
──あと爆風スランプも最初はコミックバンドでしたよ。
北島 自分達としては爆風スランプが一番近いんじゃないかと思ってるんです。音楽的な部分や無茶なことをする所とか。
──考えてみれば、世界のYMOも『増殖』ではコミックバンド的な事をしてましたし。
北島 やっぱり何か新しい事をしようとする時の1つとしてコミックバンド的な要素はあると思うんです。