3人になってからの自分達を構築出来たのかなと思います
── では、みなさんが思う『neuron』の聴きどころを教えて下さい。
田中:個人的に言うと僕は今回の作品でギターを弾きました。元々ギターを弾いていたんですけど、『torus』という曲で初めて自分のギターの音が入っています。言われなきゃ分からないと思いますけど(苦笑)。
成山:でも明らかに違うよね。
田中:ライブで僕が弾くってのもありだね。
成山:僕は『アンドロメダ』かな。『アンドロメダ』がきっかけで今回は始まったし、一時中断になった時も『アンドロメダ』の続きを書きたいという、アルバムの途中がぼんやり見えてきたキーとなる曲でした。大人しい地味なイメージを自分達で感じてきたので、音が丸くなる感じもありますし。『Mother Goose』の時はひだまりというか、冷たさがあえてなくて、もうちょっとそこにロック感を出せたらなって思いながら作りました。
山内:今回はバランス良く出来たと思いますし、3人になった自分達をこの作品から構築出来たのかなと思います。
── 個人的には、14曲あっても始まりと終わりを掲示してくれた事が入りやすいポイントでした。
成山:最初は1曲目が『euphoria』だったのですが、これが1曲目だとちょっとびっくりさせちゃうのかなというのがあって、その前に『prologue』を付けたんです。この曲自体は1番最後にある『story book』をベースに、他の曲に入っている音をコラージュして作っているんです。レコーディングの全行程終わっている時期だったんですけど、山内にお願いして(笑)。
山内:しかも締切が明日までだと(笑)。
── 『euphoria』を初めて聴いた時は、今まで自分の中にあったsleepy.abの印象とだいぶ違ったので驚きましたよ。
成山:ドラムが、これまで在籍していたメンバーと真逆の人を選んだという所もありますね。それを念頭においてアレンジが出来たし、歌に寄り添ったドラムで、軽快でエモーショナルな感じですね。結果、新しいものを追求した形になりました。
── 春のツアーは『neuron』から中心に演奏されるかと思いますが、どんなツアーになりそうですか?
田中:今までもアルバムを出す前に新曲を試すライブをやってきましたが、今までよりも手応えを感じていますね。自分達がやっている感じやお客さんの反応だったり。今度のワンマンツアーでは結構良いライブが出来るかなと漠然と思っていますね。
── 全箇所ワンマンですよね。
田中:ワンマンとなると演奏する曲数も時間も長くなるので嬉しいです。ただ曲選びが本当にいつも大変なんです。ツアーの前に試したいものを演奏して、もう大体イメージが出来ています。
── ワンマンは2時間ぐらい演奏が出来るけれど、イベントとなると尺が短いからセットリストを決めるのが大変かなと思うんですが、そのあたりはどうですか?
田中:前はそうでした。イベントでもいろいろと見せなきゃと思って。
成山:でも、5曲とかでsleepy.abを見せるって結構難しいんですよ。
田中:それで、最近はやりたい事をやろうとなりました。普通に楽しもうって。
成山:3マンとかだと持ち時間も長くもらえるし、それだけで全然違う。
── よく持ち時間が10分違うだけで全然違うと居ますよね。
成山:違いますね。特に僕たちの場合、30分だと4曲か5曲で終わってしまう。40分になると6曲か7曲。だいぶ変わりますね。
── また皆さんワンマンツアーは、ライブ会場にこだわっている印象があります。
成山:以前からグローブ座だったり、キネマ倶楽部でも演奏ししていましたが、やっている方も楽しいです。
── 今回のツアーもキネマ倶楽部で、しかも2daysです。
田中:今回はスタンディングではなく椅子席ですし。
── ところで、頻繁に東京に来ている皆さんに聞きたかったんですが、東京と北海道は時間の流れは違いますか?
成山:違いますよ。東京に来た時はスピードがあがるんです。制作もそうだし。それが好きじゃないんです。あと、頭の回転が早くなっていくんです。かしこくなってしまうというか(笑)。それがあんまりよくないなって。
── 札幌に帰る事によってリセットされますか?
成山:それはあります。オフになりすぎる事もありますけどね(苦笑)。東京でライブをして、千歳空港で降りるとスイッチが切り替わるというか。それで、家に帰る道中のラジオでsleepy.abがかかると「お帰りなさい」って感じになる。
── 皆さんが住んでいる所はそれぞれ近いんですか?
成山:ベースの田中の家は車で1時間程かかるけど、他2人は近いです。
── リハはどうしているのですか?
成山:今回レコーディングはいつものスタジオで録っているんですけど、それまでは1回も会っていないし音も合わせてない。スカイプで会議して、各々1週間ぐらいさらに練って。その後またスカイプでまた会議して。それぞれが曲を自分で一回受け止めてから、ゆっくり録っていく方が向いていると思うんです。みんなガンガン言うタイプではないので。それに全員でスタジオに入って何にも出来ないって結構凹むんですよ。それこそバンド存続の危機を迎える感じですよ(笑)。
── 大作を発表した今、次作の構想はありますか?
成山:自由にやって、それが評価をしてもらった事もあるので、もっと自由にやっても良いのかなと思います。特にリズムアプローチとかは捕われずに何やっても良いのかなって。
── 今年はガツガツと活動をしていく感じですか?
成山:昨年ライブを減らした事によって、バランスが良くなった事もあって。ライブをやりすぎると「えっ? そんなにライブをしているんだ!」と驚かれるんです。東京に来すぎるので、札幌の関係者の皆さんに「いつまで札幌にいるのか?」と逆に聞かれたりもしますし(笑)。
── 皆さんが北海道に住んでるからこそsleepy.abが作られているというか、土地感を凄く感じます。東京で制作したらまるで違うものになりそうですね。
成山:ネットがあるから一概にも言えないけど、情報が少ないという事もあるかもしれませんね。
── それでは最後に、3月5日に新宿ロフトで開催するロフトのアニバーサリー公演出演にあたってお話が聞きたいです。
成山:僕らTHE NORVEMBERSが大好きなんです。4〜5年ぐらい前には一緒にツアーも廻った事もあるし。
── それ以来の共演ですか?
成山:そうかもしれない。小林くんのソロでは共演したことがありますけど。
── そういったお話が聞けて嬉しいです。
成山:相思相愛ですよ(笑)。
── その日はツアー前ですが『neuron』から早速何曲か聴けそうですね。
成山:何曲か演奏したいですね。
〜ありがとうございました〜