Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

究極の“ごっこ遊び”とは

2013.02.25

 音楽を軸としたまつわる全ての事を1人でこなす、D.I.Y精神の"Neat's"。
 そんな彼女が1月26日に発表したアルバム『MODERN TIMES』のこと、活動にまつわるあらゆる事を伺ってきました。初めて新宿ロフトに出演する彼女が、ステージ上でどんなサーカスをこの日繰り広げるのか一緒に見届けてみませんか?(interview:樋口寛子/新宿ロフト)

もの凄くやりたい事がやれていると思う

── まずはWeb Rooftop読者に向けてNeat'sさんの簡単な自己紹介からお願いします。

Neat's:曲を作って、CDを作ってデザインして、ネットを使って配信したり、映像を編集したり、CDを発送したり…音楽を軸にした何でも屋です(笑)。

── 1人で何でもこなせてしまう印象があるのですが、その辺りはどうでしょうか。

Neat's:やらないとしょうがないので勉強しました。元々はもの凄くアナログ人間だったんですけど、凝り性なので1回やり始めたらとことん突き詰めてしまう完璧主義な所があって。それで夜な夜なずっといじっていたら何とか出来るようになりました。完全独学です(笑)。

── Neat'sさんの取材をするにあたって沢山音源を聴いたり、ホームページ等を拝見していたら、知れば知る程どんな女性なのかとても気になりました。

Neat's:ネクラです(笑)。

── え? ネクラですか(笑)?

Neat's:ネクラじゃないとこんな地味な作業出来ないですよ(笑)。

── アウトドア派かインドア派かと聞かれたらどちらですか?

Neat's:完全インドアですね! 出来れば外に出たくないです(笑)。

── 若い時から人前で音楽をしていた経緯があるから、活発的な女性かと思いました。

Neat's:よくそう見られがちなんですよ。活発的な顔立ちしているから(笑)。でも逆です。運動オンチだし、寒いの苦手だし、暑いの苦手だし。出来るだけ家でまったりしていたい(笑)。物を作るのが1番好きです!

── なるほど(笑)。

Neat's:鶴の機織りみたいな感じで、誰にも見られてないところでずっと作っているのが1番幸せな時ですね。

── Neat'sさんのグッズひとつ見てもとても凝っていますよね。ポストカードもステッカーも可愛いです。全て自分でやっているんですか?

Neat's:イラストからデザイン、入稿まで全部自分でやっています。

── 小さい時から物作りは好きだったんですか?

Neat's:小さい時からずっとです。あんまり外で友達と遊ぶタイプではなかったので、学校が終わったら真っすぐ家に帰って、おやつを食べながら絵本を書いているような子供でした。

── 音楽と絵ではどちらの方が先に慣れ親しんだんですか?

Neat's:絵です。元々は映画監督になるのが1番の夢でした。それから絵本を書き出して。でもずっとエレクトーンを習っていたので、音楽は趣味としてやっていましたね。

── こうして音楽活動をするきっかけにエレクトーンの影響はありますか?

Neat's:エレクトーンは、本当に趣味としてやっていただけですけど、やっぱりずっと馴染んでいたものではありますね。

── 幼少期の頃から慣れ親しんでいたものが、大人になった今でも通じるって素敵ですね。

Neat's:子供の頃にやっていた“ごっこ遊び”のような感覚で、何とか今自分が出来る範囲でやっているような感じです。

── エレクトーンを習っていた時は、大人になったら音楽をやるだろうなと思いましたか?

Neat's:大人になったら映画監督になっているだろうなと思っていました。宮崎駿さんの所に辿りついているだろうなって(笑)。

── 映画監督は今でもやりたいですか?

Neat's:はい! やりたいですね。でも、今Neat'sの活動でやっている事って、映像も作って、写真も撮るし絵も書くし、CDのジャケットも作るし、音楽も作るし。何でも屋さん欲求としてはもの凄くやりたい事がやれていると思います。

── 素敵ですね!

Neat's:やりたいからやっているだけで、出来てる訳じゃないですけどね(笑)。出来ないのにやりたい! という気持ちが大きくなるから、やってはみるけど出来ない事もあります。失敗もあるし。

生の楽器の面白さに触れたという感じです

── 今回の『MODERN TIMES』はNeat'sとして2枚目のアルバムにあたりますが、どんな手応えを感じていますか?

Neat's:1年位前にツアーを廻って、その時のライブでは既に新譜の曲を演奏していました。バンドでツアーを廻るって私にとって初めての経験だったので、新鮮さがインスピレーションを与えてくれたんだと思いますけど。こういう音を出したら面白そうだなと思って作っていきました。1枚目は1人で全部作ったのですが、その時の衝動と似ていますね。こういう音があったら面白いなという音がパソコン上の話だったのに、生の楽器の面白さに触れたという感じです。

── 今回の作品は、1枚目の作品を発表した頃から頭の中には既にあったんですか?

Neat's:1枚目を出した時はポカーンとしていました。出来ちゃった、どうしようみたいになって。でも、バンドでライブをやった時に「うわっ。新しいおもちゃ見つけちゃった」というワクワクがやってきて。その時にバンドって振動だったり温度だったりが音じゃないのに音になる面白さがあって。そこからいろいろとヤル気をもらって2枚目を作った感じです

── その時には次は「こんな作品にするぞ!」というはありましたか? それとも徐々に固まっていく感じでしたか?

Neat's:その時々でこういう音があったら面白いだろうな、こういうメロディがあったら良いなというものを全て凝縮して、点が大きい丸になった感じですかね。

── こういう事を歌いたいなと思ったりはしましたか?

Neat's:歌詞はいつも一番最後なんです。最初に映像としてこういう世界があったら面白いだろうなというのがあって。それで音が出来て最後に歌詞を乗せる。歌詞は凄く難しいですね。

── 歌詞は時間がかかりますか?

Neat's:本当の気持ちを書こうとしたらやっぱり難しいです。時間をかけたら良いものが書けるとかじゃないから。歌詞を書く事よりも自分の気持ちに向き合う時間の方がかかりますね。

── 好きな映画を見たり、芸術に触れてインスピレーションを受けて書く事もありますよね?

Neat's:ありますね。メロディや曲に関しては。歌詞は出来るだけ、日々の気持ちに向き合ってやりたいなと思っています。

── Neat'sさんの歌詞はリスナーから遠くないと感じていたので、その言葉を聞いて納得です。

Neat's:こういう事あるよねという事をニヤッと笑いながら、皮肉に捉えてしまうような言葉を選んでいますね。皮肉に捉える事ができたら嫌な事でも楽しくなるし。そういうのを何となく意識をしているのかも。

── 作品を作り始めると周りが見えなくなるタイプですか(笑)?

Neat's:それしか見えなくなるタイプですね(笑)。その時は視野がもの凄く狭くなります。私はゼロか100かのタイプだから、その場その場で今日はこれをやる! とスイッチを変えないと頭の中がゴッチャゴッチャになってしまうんです(笑)。

── 『MODERN TIMES』の制作期間はどれぐらいかかりましたか?

Neat's:スイッチが入ってからは早かったです。レコーディングスタジオで3日間、バンドと一緒に録りました。衝動的な作り方だったと思います。

── 全てのパートをまずは全部Neat'sさんが作るんですか?

Neat's:私のデモは生音じゃなくて、エレクトロニカ風っぽくなっていたり、ビートっぽくなったりするので、バンドで演奏する時にこの音をこの楽器で演奏するとどんなふうになるかはメンバーに相談し、実際ツアーでやって良い感じだったので、時間も経たぬ間にレコーディングに入りました。

── 今だから話せるレコーディング時のエピソードがあったら聞かせてください。

Neat's:スタジオライブの映像を録る事になったんですけど、私は基本1人でデモを作るので、みんなで一緒に録音する事に慣れていないんですよ。生身の人間がぶつかり合う事に戸惑いがあり、1回心が折れてしまったんです。その場で上手くいかない事もあるし、本当はこうしたかったのにこうならなかったとか、いろんな葛藤がありました(苦笑)。ずっと自分の世界だけでやっていたので、視野が広くなって、もうちょっと心が柔かくなったらいいなと思いました。Neat'sの活動は、音楽活動というよりは人間活動に近いかもしれない。自分が凄く嫌だなという性格だったりにリアルに直面しなきゃいけないし、そういう所に悩まされるし、そういう事も活動の表現に繋がっていくから、ちゃんと向き合っていきたいなというのもあります。

── そんなお話を聞くと、今言った事に近い曲があったりしますよね?

Neat's:そういうのばっかりかも(笑)。

── 実は新作を聴きながら、これは自分の事かな? お友達の事かな? と想像が膨らんだからこそ、今回の取材でNeat'sさんと話が出来るのを楽しみにしていました。

Neat's:嬉しいです。やっぱりありますよね! 友達の事を歌っていても、改めて聴き返すと結局自分の事になりますし(笑)。「あの人のここ嫌だな」と思ったとしても、鏡のように自分がそうだなと思う事が沢山あって。

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