聴いてくれる人と一緒に前に進みたい
── アルバムのタイトル『ソラリス』はどんな意味があるんですか?
児玉:“ソラリス”はラテン語で太陽という意味があって。
福山:明るい曲が多いし、キャッチーでポップなものが出来上がったので、このタイトルが良いんじゃないかって。
児玉:それと自分ら自身としても、これから先のGoodbye holidayの未来を照らし出そうという意味も込めてます。
── 今回ライブで演奏している曲が多いと思うので、やりながらアレンジが変わっていった曲もあるんですか?
山崎:ほとんどそうで、ライブでやって各々思うところを直していって、固まった状態でレコーディングという感じでした。誰かに手直ししてもらったり、1人1人考えていくと言うよりはみんなで演奏していく中で、完成したやつをレコーディングしたという感じです。
── 曲を作る時はライブをイメージして作ったりすることも多い?
山崎:曲を作る時は、児玉くんが作りたいものを作るという感じですけど、アレンジはそのほうが多いですね。
児玉:3曲目の『半透明』は上京してから出来た曲なんですけど、それは16分(音符)の曲で、お客さんが乗りやすい曲が欲しいなと意識して作った曲です。最近ようやくライブに固定でお客さんが来てくれるようになって、終わってから話すことも多いんですけど、それぞれに悩みを抱えていて、そういう人たちを勇気づけられるような歌詞を書こうかなとも思うようになりましたね。
── レコーディングはどうでしたか? 今回自主制作の時に比べると、たくさんの人が関わっているんじゃないかと思いますが。
福山:エンジニアさんが大御所のアーティストを手掛けている方だったので、聞いてアイディアをもらうことはいっぱいありましたね。最初、「こんなんも出来ないのか!」とか言われると思ってたんですよ(笑)。
山崎:『BECK』という漫画が好きで、その漫画に出てくるエンジニアの人がめちゃ厳しいんです。ドラムだけ何時間も叩かせるとか、レコーディングってそういうイメージだったんですよ(笑)。自主制作の時はドラムはスタジオで録って、あとはアンプがあるスタジオに入ってどんどん重ねて、ミックスは知り合いにお願いして作ったんですけど、今回はそれぞれブースに入って、プロのエンジニアさんがいて、それで録るという感じで、すごく良い経験になりました。
── その結果、世に出る1枚目としては胸を張って送り出せるものになったと思います。今作で特にここを聴いて欲しいという部分があったら教えて下さい。
児玉:新しくレコーディングした『等価な世界』は、アレンジがけっこう凝っているんじゃないかなと思っています。前の曲で聴き慣れていた人たちにもアレンジの面でも全然違うし、音程も半音上げてたりして、そういう意味でもボーカルに力強さがあるし、胸に響きやすくなったんじゃないかと思います。『等価な世界』は自分で聴いても楽しい曲になったと思うし、伝わりやすい曲になったなと思います。
山崎:サウンド面で言うと今回のこのアルバムのサウンドをしっかり覚えておいてもらって、これから先リリースしていく時に1枚目からこんなに変わったんだとか、こういうアレンジもするようになったんだとか、成長を見守っていてほしいと言うか、一緒に前に進んで行けたらと思っています。
福山:今まで16で刻む曲って少ないんですけど、『半透明』は乗りやすくて、音源で聴いても楽しいですけど、アレンジがいっぱい出来る曲だからライブだと違った雰囲気になるんですよ。Goodbye holidayとしては新しいかもしれない曲ですね。
── 『deco』もキャッチーだし、『ダウト』はマイナーから始まりますけど、爆発力があって躍動感のある曲ですよね。
福山:今までは『半透明』がなくて、『ダウト』が変わり種だったんです。山崎のお父さんは『ダウト』を聴いて、ドゥービー・ブラザーズみたいだって言ってたらしいです。
── どちらも今後ライブでもっと成長していく曲なんだろうなと思いましたけど。
児玉:ライブ後にアンケートを書いてもらうんですけど、『deco』が良かったという人が多いです。
福山:今ほどアレンジしてない時にライブでやっていて、出だしのアレンジを変えたり、コーラスを変えたりして、ライブっぽくなってきた曲なんです。
山崎:人気のある曲とライブで聴きたい曲が違うんですよね。『いつか終わること』も人気があるんですけど、ライブだと『半透明』『ダウト』『deco』のように乗れる曲が良いみたいで。
── スロウテンポの『いつか終わること』は、コーラスもキレイですし、じっくり聴かせるという部分では良いかもしれないですね。アルバムの1曲目に位置する『ブリキ行進曲』はメロディーがポップで、聴く人を選ばないという印象を受けました。
児玉:そういう音楽をやりたいというのは根本にあって、SMAPとかスピッツとかそういう音楽が流れてる家で育っていて、あれこそ一度聴いたら忘れないメロディーじゃないですか。そういう音楽が僕の根底にあるので、自分が作る時もそうなっているような気がします。ライブではお客さんも一緒に歌ってくれてますし、歌詞を覚えてくれているというのは嬉しいですね。
福山:歌詞を間違えて、お客さんから指摘受けるぐらいですから(笑)。
── また、ライブを見ても思うんですが、大森さんのギターはバンドの大事な部分を担っているような気がするんです。彩りがあって、それによって曲の表情がすごく豊かになっているのではないか、と。
山崎:児玉くんが前に良いこと言ったんですよ。今までずっとしっくり来るギタリストに出会えなくて、でももりし(大森)はいろんなアレンジも出来るし、「これでGoodbye holidayの世界観決まったわ」ってポロッと。それを聞いた時に、もりしを紹介して良かったなって。今、もりしが最後のGoodbye holidayのギターだと思ってます。
福山:あとは、パフォーマンス的にもう少しグイグイ出てきて欲しいんですけどね。
山崎:ギタープレイ的には満足なんですけど、せっかく良いソロを弾いてるんだから、その時ぐらいもうちょっと前に出たら良いのにって、僕はドラムで動けないから後ろからいつも思ってます。
── 確かにあのソロを弾きながらグイグイ出てきたら、ギターソロがより際立つかもしれませんね。ステージの見せ方とかも話をするんですか?
大森 皓(Gt.):最近話すようになりました。
山崎:それぞれライブを見に行くので、影響されてちょっとやってみようとか。まだまとまってはいないので、これからステージとかもちゃんと見せていけるようにしないとですね。
福山:やっぱりお客さんが楽しそうにライブを見てくれていると、その表情を見て無意識に影響されますから。あと、見た目のグルーヴ感をもっと意識したほうが良いよと言われたことがあって。見せ方もまだまだ試行錯誤してます。