今『マイケル卍サントジェン』をセルフカバーする理由とは
── ところで、『マイケル卍サントジェン』は1999年にリリースされた作品のセルフカバーですけど、どうして今のタイミングで入れようと思ったんですか?
マサヨ:話すと長くなるんですけど…。
TO-BU:セルフカバーをしたいというのはあったんです。この曲はTHE TOY DOLLSのオルガに作ってもらったという意味でも良いと思っていたのと、歌詞として今かなっていうのがあったんです。私たちは日本に生きていて、昨年大きな地震があってKickは仙台出身でちょうどその日実家にいたんです。その直後にアメリカツアーがあって、私たちは海外から日本を見るという経験をしました。『ロリータ18号の亜米利加大興行』というDVDにも入ってますけど、Kickが仙台にいましたというMCをして、それを聞いたアメリカの人たちの心配する顔、家族が無事だったという話でみんなが拍手してくれる様子。私たちが違う土地で今の日本を伝えようとしていて、そうして海外と日本を繋げられたらいいなと。それで、今のタイミングで『マイケル卍サントジェン』を打ち出すべきなんじゃないかなってマーちゃんに言ったら、マーちゃんは真逆だった。「今それを言っちゃダメだ」って。
マサヨ:歌詞の内容を大きく言うと、みんなそれぞれ生まれた国とか生まれた街、住んでいる場所というのが一番良いと思っているよね、大事だよねっていう歌なんです。でもそれって被災した方…肉親をなくした方、家が流されちゃった、壊れちゃった、家族が行方不明になった、そこに住みたいけど住めない人にとったら、こんな酷な歌はないんじゃないかって。そういう人たちがいるから私は歌いたくないって話をして、しばらく揉めてたよね。自分が納得しないと歌なんて歌えないから。
TO-BU:歌う当事者はいろいろ感じると思うけれど、客観的に捉えて、私たちは今マーちゃんが自分が生まれたところが良いに決まってるって歌ってくれることによって、被災した方々もちょっと救われるんじゃないかって思ったんです。それで、散々話をして、そこまで3人が言うんだったらそうなのかもしれないって。
マサヨ:今まで主観で物事を動かしてきたんですけど、それだけだと本当は届くべきところに届かなくなっちゃう可能性があるなと感じたんです。だから今はロリータで何かを決める時は絶対に全員に聞いて、その中で多数決をとることが多いですね。はっきりしたのはバラバラの4人がいて、その中の3人が良いと言ってるってことは、世の中の人だって私1人の考えよりも絶対数が多いはずだと。そういう人たちに届いてくれるんだったら私もそのほうが良いと思う。それで元気になってくれることが大事だから、主観もあるけれど意地になって貫くことは1ミリもないなって思って。こうやって改めて『マイケル卍サントジェン』について考えることができたから、当時録った時よりも今のほうが好きになった。サンキューオルガ!! この場を借りてお礼を言います。
── 13年前の曲なのに全然違和感がないですが、アレンジは変えているんですか?
TO-BU:ドラムをちょっと変えたところはありますけど、流れも変えてない。アレンジを変えるというのもアリだと思うんですけど、今この時期にそのままでやるということが良いのかもという気持ちがあって。
マサヨ:それに人がカバーしているものを聴いた時に、よっぽど面白いアレンジじゃない限り原曲のほうが良いなって思っちゃうんですよ。だから、ロリータは昔のお客さんが聴いても、「ちょっとうまくなったかもしれないけど、昔のまんまだ」って言ってくれたら嬉しいですね。
── メンバーも違うから印象も変わりますし。
マサヨ:うちメンバーチェンジをいっぱいしてるんですけど、その時その時でその人たちが最高のメンバーだって思ってずっとやってきた。『みちのくひとり旅』じゃないですけど、この人が最後のメンバーだっていつも思ってる。でもみんないろいろな事情で辞めざるをえなくて変わってしまいましたけど、今までのメンバーがいなかったら今のロリータはやれてないし、駆け抜けていったみんなに感謝してます。今はこのメンバーがみちのくメンバーだと思っていて…たこちは何年?
たこち:11年目。
TO-BU:私は8年。
マサヨ:実は意外と長いんですよ。だからロリータと言ったら今はもう完全にこのメンバーですね。
来年は飛躍の年にしたい
── そしてバンドは来年25周年になりますが。
マサヨ:私、今年40歳になりました。高校1年から2年にかけてぐらいの時に始めて、そこからずっとロリータ18号。こんなに長く続くと思ってなかったんでね。40歳でロリータ18号って一体…少年隊の気持ち、良くわかります(笑)。
── 25年って長いですよね。
TO-BU:客観的に見たら超長いですけど、中にいるとそうでもないんじゃないですか。
マサヨ:あんまり覚えてないので…毎回フレッシュな気持ちでやれてます!
TO-BU:それが長続きする秘訣かもしれない(笑)。
マサヨ:あと諸先輩方がずっとやっててくれるから自分が続けられるというのはデカイ。バンド名を出したらキリがないので、ニューロティカ以外は割愛させて頂きますけど、みなさんがかっこいいものを発信し続けてくれているので。私たちなんて一生後輩ですよ(笑)。
TO-BU:25周年を迎えそうなのに元気いっぱい後輩です(笑)
マサヨ:それが嬉しいんです。それで自分たちが憧れていた人たちと今一緒にライブが出来ている。バンドやってて良かったし、続けていけるのはそういう人たちを見てるから。この先もまだまだやっていくと思います。
── 続けることが一番大変な気がしますけどね。
マサヨ:辞めるって言わなければいいんです。
TO-BU:あと大変なこと忘れちゃうから(笑)。
マサヨ:そのほうが幸せですよ。嫌なこと覚えてても1円の徳にもならない。
── 来年1月27日には新宿ロフトでワンマンが行なわれますが、ロフトに初めて出演された当時のことって覚えてます?
マサヨ:Rooftopで言うのは申し訳ないですけど、結成当時小滝橋にあった旧ロフトにドキドキしながらデモテープを送ったんです。でも1ヶ月待っても返事が来なくて、2ヶ月待っても3ヶ月待っても来なくて、4ヶ月目で遂にメンバーが辞めた(笑)。おかしいなと思ってもう1回テープを送って、また2ヶ月ぐらい待っても返事が来なくて、新しいメンバーを入れてやり始めた時に、たまたま知り合いのバンドがロフトでイベントやるからって誘ってくれて、結局オーディションには出ずに出演できた(笑)。当時はそんなもんでしたね。でも、おかげでそれをバネにここまでやってこれた(笑)。18周年の時は2ヶ月に一度ロフトでイベントできたし。今回のツアーは、ロフトはもちろん来て欲しいんですけど、それ以外の場所でもロリータが近くに行った時はぜひライブに来て下さい、本当に。
── 1月はロフトに出演して頂く機会も多いですし、スタッフ共々楽しみにしています。
マサヨ:1月2日に仲野茂さんの誕生日イベントでお世話になります。そして5日には“BAR ニューロティカ!!”に出演して、27日にワンマン。1月は3回。来年はロフトでスタートですね。
── では、来年はどんな年にしたいですか?
マサヨ:飛躍の年ですね。来年も期待のニューカマーとして(笑)。また海外にも行くかも。せっかくやるんだから、楽しいことだけ貪欲にやっていきたいですね。たま〜につまんないことも付いてきますけど、楽しいだけだとわからなくなりますから、まぁたまにはいいかと。基本自分たちのために楽しくなることを作る。そして来年は飛躍の年に!TO-BU:25周年に突入していきます!
マサヨ:では、ニューロティカのみなさんにお繋ぎしまーす!