現状に藻掻いている人に観て欲しい
── 今回お話がアラサーが目標に向かうという内容ですが、みなさん実際はおいくつですか?
藤原:僕は31です。
中河内:僕と宮下が27。佐藤が…。
佐藤:22です。
── 佐藤さん22歳ですか。若いですね。他のみなさんは30歳前後で楽器を手にしたり、作詞をしたり、新しいことに挑戦されるという意味では物語とリンクするところがありますね。ご自身としては30歳を目前にして、10代20代に比べると変わってきたなと感じる部分ってありますか?
中河内:10代の頃のほうがごちゃごちゃと考えずに一直線でやれていたと思いますね。たくさんの経験をして今の年齢になると、いろんなことを考えながらやらなければいけない。でも、そのやらなければいけないと思ってる時点で10代の時とは違う。そういうのが違ってきたかなって思います。
宮下:猪突猛進さは年を取るにつれてなくなってきたな。人の目を気にするようになった。照れなのか、自信がないのか、自分でブレーキかけてるところもある。でも今回の芝居をこのグループでやっていて、自分に制限なんてないんやって思いました。10代の時は何ひとつ楽しくなかったけど、今いろんなことがどんどん楽しくなっていってます。
藤原:俺は30になった瞬間に周りの見る目が変わった気がします。現場行って、「いくつ?」って聞かれて答えると、そこそこ出来るよねっていう感じになる。責任感はより感じるようになりました。
中河内:さとちゃん(佐藤)はまだ20代前半だけどどう?
佐藤:昨年ぐらいまでイヤなことはイヤだって勝手に決めちゃってましたけど、それがなくなってきてます。歌とか好きなのに拒否っちゃう時期もありましたけど、やらせてもらえるならやりたいと思い始めて、今回の舞台では歌も歌えるし、大変だけどすごく楽しいです。高校を出てから何もかもが楽しくなくて、大学も入学したんだけど全然行かなくなって、この仕事をやってなかったら毎日家でゴロゴロしてニートみたいな感じになっていたかもしれないです。
── 役者はどういうきっかけだったんですか?
佐藤:顔は良いほうなので…。
宮下:顔は良いほうって、どんだけひょうきんやねん(笑)!!!
── 確かに顔は良いですよね(笑)。
佐藤:顔は良いほうなので(笑)、スカウトは何回かしてもらったことがあったんです。それで勇気を出して事務所に連絡をして。
宮下:この仕事やってない自分って想像出来ないよな。
── 話がそれてしまいますが、何年も今の仕事をされてやめたくなったことってあります?
宮下:ありますよ。この世界に入ったらソッコー売れると思ってたんですけど、全然売れへんやんけ! って。
佐藤:俺も思ってました。全然だった。
宮下:でも、それなりに楽しさは感じていたんだと思います。ズルズルやっていた時期もありましたし、1ヶ月まるまる仕事がなくてバイトしかしてない時期もあって、やめようかなっていう時に芝居をやり始めて今すごく充実してます。
藤原:僕は劇団に入っていて上下関係も経験して、そこをなんの後ろ盾もなく仕事も決まってない状態でやめて、バイトばっかりしてた時期がありました。精神状態は最悪でしたね。
宮下:バイトに慣れてしまう自分もおるやん。
中河内:何しに東京出てきてんって思うよね。
藤原:でも今仕事をやらせてもらえて、あの時の経験があるからやめるってことは一切考えなくなった。芝居って現場が違うし、役によって新しい自分と会える時もあるし、すごく楽しいんですよ。
中河内:僕は上京した時に、なかなか仕事がない状態でバイト三昧の日が続き、1ヶ月に28万とか稼ぐぐらい働いてたんです。でもなんのために東京に出てきたんやろう、こんな生活イヤやーって思っている時にオーディションがあって、絶対に受かってやるって意気込みで挑んだら受かって、その次もこれに出たら人生変わるかもって思った舞台で変わって、自分でひとつずつ経験値を上げながら自信に変えて行きました。絶対にバイトの生活には戻りたくない、そのためには何をしないといけないかを考えたり、いろんな人から教わって今があります。好きなことを仕事にしたかったし、その意志は他の人に負けないぐらい強く持っていたので。でも、そうやって現状に藻掻いている人とかに観て欲しくない? そういうことがけっこう描かれているから。
宮下:そやね。マジになってる俺たち4人と、他に役者さんお二方にも出てもらいますけど、その様を観て欲しいですね。ほんま、こんなストレートな魂がこもったアツイ舞台は見られへんちゃうかなって思います。
── みなさんのリアルな感じも表現されている、と。佐藤さんは、この舞台には役者としても年齢的にも先輩がたくさんいるから勉強になりますね。
佐藤:オファーを頂いた時はすごく嬉しかったです。今の仕事を始めて4年になりますけど、3人ともこの仕事を始めて1年目とか2年目とかぐらいに一緒の現場でお芝居をさせて頂いて、3人に良くなったねって思ってもらいたいというテンションで稽古に入りました。
中河内:ビックリしたんですけど、年齢関係もキャリアも関係なく、彼から学ぶことがすごく多いです。
佐藤:今回は少人数だし、憧れていた人ばっかりだからすごく嬉しい。稽古期間が楽しいです。
心で届けたいと思っています
── その舞台が新宿FACEで10月10日に初日を迎えます。意気込みをおひとりずつ聞かせて下さい。
宮下:個人的にすごく恵まれた環境でCDまで出させて頂き、本業のお芝居と初めて挑戦するバンドで、どう盛り上がるんかっていう緊張もありますけど、稽古を重ねて行くにつれて早く観て欲しいなっていう気持ちでいっぱいです。ライブハウスでやることに意味のあるお芝居だと思うし、芝居を見て頂いて、お客さんの心に何か届けられたらなと。本番までに頑張りたいと思います。
藤原:役者が芝居するのは当たり前で、役者がチームを組んでバンドをやってる時もありますけど、芝居があってバンド演奏もあるという舞台ってなかなかないと思うんです。芝居の盛り上がりのまま、役のまま演奏している僕らを見てもらったら新しい感動が生まれそうな予感がします。自分もいろんな葛藤がありながらこの仕事をやってるし、葛藤を抱えてる人ってすごく多いと思うんです。だから共感してくれる人が多いと思いますね。ぜひ演奏を含め、舞台を見てもらえたら嬉しいなって思います。残りの稽古も一生懸命やるので生で見てほしいです。
佐藤:生で見てもらいたいですね。それぞれのキャラクターが魅力的で、お芝居は90分で短いですけど、きっと伝わると思います。全力で毎回やるので、全力で楽しんでもらいたいです。頑張りまーす。
── 最後が軽い(笑)。
佐藤:また見たいって思ってもらえる舞台にしたいです。
中河内:何も出来ないと思っている人でも、努力すれば何か出来るようになるんだよって僕たちが証明して、見に来てくれたお客さんの生活に生かしてもらえれば、と。新たに何かチャレンジするでも、今与えられていることを頑張るでも、やる気だったりの力を与えられるものにしたかったんです。それで今回の舞台が始まり、キャストやスタッフさんが集まってくれて、そこにお客さんが見に来てくれて初めて完成します。「4STRIKE」はたくさんの人の協力があって、育って行くという環境を作らせてもらえることはありがたいなと思いますし、嬉しいし、幸せだと思う中で、僕たちは舞台上でしっかりとしたものをお客さんに届けられるように。そしてハートに突き刺さる演奏やお芝居を、うまいヘタではなくて心で届けたいなと思いますので、元気がない人は特に来て欲しいなって思います。元気がある人も僕たちからさらにパワーをもらって欲しいです。ぜひライブハウスで一緒に楽しんでください。よろしくお願いします。
── それと…ロフトグループのライブハウスでも出来ることがあったらぜひお願いします!
中河内:そうですね。みんながハッピーになれることを…やりましょう!