「4STRIKE」とは、舞台・映画・ダンサーとして活躍する中河内雅貴、俳優・声優とマルチに活躍する藤原祐規、舞台・映画・声優で活躍するRUN&GUNの宮下雄也、映画・舞台で活躍する佐藤永典の4人が出演する舞台で、10月10日〜10月20日まで新宿FACE、10月23日〜10月24日に心斎橋BIG CATで開催。"夢を忘れたアラサー3人と夢を持つことができない19歳の少年が、バンドを結成することで新たな夢を追い求める熱い物語"が繰り広げられる。この中で、ほとんどが楽器初心者、というキャストが舞台上で演奏するシーンがあったり、劇中で結成されるロック・バンド「4STRIKE」のデビュー盤がSONY MUSIC DIRECTより9月26日にリリースされたり、それぞれがボーカルを執る曲では、初めて作詞にも挑戦した。物語の登場人物同様に、現実の世界でも彼らは葛藤を繰り返し、芝居に取り組みながら毎日を生きている。それは今を必死に生きる誰もが同じ。きっと多くの人に共感してもらえる舞台に違いない。
今回は4STRIKEの4人に舞台初日間近の稽古後にインタビューを敢行した。アツイ情熱を持った4人がこの舞台にかける意気込みは相当なものだと感じた。(interview:やまだともこ)
初めて楽器に触り、初めて作詞をした
── 今回の『STRAIGHT ROCK PLAY「4STRIKE」』は中河内さんが企画原案を考えられたんですね。どんな内容になっているか話せる範囲でお話しして頂けますか?
中河内雅貴:大まかな内容としては、夢なんてなくても生きていけるって思っていた30歳間近の人間が、世界中を旅していく中で“音楽をやりたい”と思うようになった。でも、どうやったら良いのか全くわからず葛藤を繰り返しながら、とにかくアツイ気持ちで挑戦を続けていくんです。その途中で同じく夢を持つことを忘れてしまった友達や、夢を持つことが出来ない19歳の少年を巻き込み、最終的にバンドが結成されていくというお話です。
── このお芝居では演奏シーンがあり、みなさん初めて楽器を手にしたそうですが。
中河内:企画を考えている中で、舞台でも演奏が出来たらいいなと思ったんです。それで、楽器を触ったことがないけれども、集中して練習したら演奏が出来るようになるんじゃないかという役者を探して、この3人にお願いしました。彼(佐藤)だけはピアノをやっていたんですけど、今回はキーボードで鍵盤がふたつというのは初めてになります。
佐藤永典:人と合わせたこともないですし、弾きながら歌うというのもやったことがないので難しいですよ。
宮下雄也:僕はドラムを担当するんですが、音楽の学校に行っていたので触ったことはあったんです。だけど、叩くことは出来なくて実際やってみたらこんなに難しいんやって。みんなと練習に入る2ヶ月ぐらい前に初めてドラムを触って、でも家で練習出来ないし、どないしよって先生に聞いたら、「枕を使って叩く練習したらいいよ」って、それで練習をして自分で言うのもなんですけど…意外に出来るようになりました(笑)。
中河内:雄也は1ヶ月じゃ出来ないようなことをたぶんやってると思います。
宮下:でも、それは初めて音を合わせた時に、みんながうまかったから頑張ろうと思ったんです。もしそれぞれが全然弾かれへんかったり、途中で止まったりしたらその中で満足しちゃったかもしれないですけど、みんなのレベルが高かったし、みんな負けず嫌いやからもっとよくしたいって。それで楽しみながら良くなっていったんです。
中河内:いざ合わせた時に止まらずに最後まで弾けて、みんなビックリしてましたから(笑)。意外に出来るやん! って。
── ドラムが宮下さんで、佐藤さんがキーボードで、藤原さんの担当は?
藤原祐規:ベースです。僕も全然触ったことなくて、リズム感もあるとは思っていなかったので、早いうちから練習させてもらい、頑張ってやりました。
── 舞台のオファー自体はいつ頃あったんですか?
中河内:今年の3月ぐらいですね。
── お話があってすぐに練習始めて?
藤原:それでも7月とかですけど。メンバーの中では早かったぐらい。
── 中河内さんの担当は?
中河内:ボーカルとギターです。僕はアコギやエレキは持っていたんですけど、fのコードで挫折した人間で。でも今回新しく頑張ろうということでエレキを買いました。舞台で演奏する曲は1曲ですが、その1曲にみんな全力で取り組んでます。
── しかも今回は物語の世界が現実のものとして、『4STRIKE』というCDが9月26日にリリースされました。それぞれがボーカルを執る曲では作詞にも初挑戦されたんですよね。
佐藤:歌詞を書く期間が1週間あるかないぐらいで、全員パニックに陥り(笑)。
宮下:パニックもさることながら、ものすごい照れを感じて(笑)。
── メンバーのみなさんに初披露する時はドキドキしそうですね。
藤原:マネージャーさんに送る時とかすごいイヤだった(笑)。
宮下:前置きで、「さらっと見て欲しいんですけど」って言ったり…。
藤原:「まだ完成じゃないんですけど」とか、言い訳をいっぱい考えてましたね(笑)。
宮下:でも、みんなすごく考えて歌詞を書きましたし、それぞれが純粋に思っている気持ちや性格が出てるなと思います。最初はどう書いたら良いかわからないから、メンバーの誰かに電話しようかと思ったんですよ。見せてもらって凹むパターンもあるかなと思って止めましたけど(苦笑)。
佐藤:僕はフッキー(藤原)に聞きましたけどね。
藤原:「ど、、、どうしますー? どれぐらい書きました?」ってけっこうテンパってる状態で電話がかかってきて(笑)。その時にまだ僕は一文字も書いてなくて、僕だけ焦ったみたいな感じでしたけど。
宮下:プレッシャーを与えただけだった(笑)。
佐藤:曲をもらってそれにあてるのか、何について書くのかとかルールがわからなかったんです。
宮下:俺、最初恋愛みたいな歌詞を書き始めた。でも、これはちゃうなって(笑)。
── 普段聴いている曲とか、グッと来る歌詞ってどんな方々なんですか?
宮下:オザケンを聴くんですよ。それとブランキーが好きで、ドラムを叩く時は中村達也さんをイメージしながら叩いてます。それで歌詞もブランキーみたいな感じで書きたかったんですけど、あの引き出しは俺にはなかった(笑)。全然出来ん! って。
── その後歌詞のテーマを決めて?
宮下:それぞれですけど、僕は前向きにとか今の自分と照らし合わせてとか。それで、自分を客観視して『Carry on』になりました。
中河内:前に進もうって。
── 中河内さんはみなさんの書いた歌詞を読んでどうでしたか?
中河内:初めて歌詞を書くのに、ここまで書けるとはと思いましたよ。自分が初めて書いた時はすごく苦戦したんですけど、まとまってるし、みんな俺のスタートより早いなって。俺は今回曲の流れや構成も考えさせてもらったんです。劇中でみんなで歌いたいと思っていて、他の曲がロックテイストなものが多かったからミディアムバラードでというイメージで、さあどうしよう、と。最初にイントロがあって、こうやって歌って、間奏がこれで、最後のアウトロのこういう音が入ってと考えて、作曲家の方にお願いしました。
宮下:すごいなぁ。
── お話を聞いていて、作曲もやってみたいとか思わないですか?
宮下:いや、俺は『Carry on』で全ての魂を込めましたから(笑)。