来年で結成10年を迎えるLOVE LOVE LOVEが、初のオリジナル・アルバム『Sun in the Rain』をリリースする。住まいを京都から東京へ、そしてまた京都へと戻して活動を続けている彼ら。現在はストレスなく、良い環境で楽曲制作に取りかかれているのだそう。そうして作られた今作は、彼らの持ち味である耳馴染みの良いメロディーと情感溢れる歌詞が豊かさを増し、より聴く者の心にダイレクトに届く作品となっている。何年経っても色褪せることがないポップソングとして、これから先も歌い継がれていくに違いない。
今回は9月7日に新宿ロフトで行なうRooftopのイベントに出演頂く縁もあり、4年振りとなるLOVE LOVE LOVEへのインタビューを敢行。たくさんの経験を経た彼らを感じられた時間でもあった。(取材:樋口寛子/新宿ロフト 構成:やまだともこ)
自信を持って作ることが出来た
── Rooftopでのインタビューは2008年にリリースされた『ターコイズ』以来になります。当時はちょうど皆さんは上京したばかりでしたが、何年か前に京都に戻られたんですよね。
浦山恭介(Guitar):京都に住んで1年半ぐらい経ちます。
── 住み心地は東京とは違います?
浦山:全然違います。たまに東京にライブに来ると、東京はええなぁって思うところもありますよ。それに東京に来ると気が引き締まりますよね。やっぱり時代は東京を中心に動いているので(笑)。
寺井孝太(Vocal,Bass):住みたいとまでは思わないですけど、音楽の活動をする上では東京のほうが良いですけどね。東京から離れると不安でしょうがないです。
浦山:東京を否定して戻ったわけではないし、もうちょっと来ないとなと思いますよ。京都は居心地も良いし制作もしやすいですけど、勝負するところは全国と考えると東京にこうやって来ることはすごく大事なことだと思っています。でも、今は東京にいたからこそ京都の良さがわかるし、京都の良さを取り込みながらやっていけたらと。それで今回『Sun in the Rain』をリリースしますけど、ストレスなく作れたと思います。
── すごく聴きごたえのあるアルバムでしたね。
浦山:長くなかったですか?
── 長くは感じなくて、改めて良い曲が多いと思いました。東京や京都での経験を含め、皆さんのキャリアが詰まった1枚なのかなと。
澤本康平(Drums):今だから出来たというのはありますね。『プラネタリウム』(2010年2月)はシングルでリリースしたものですけど、そこから最新のものまで3年間分ぐらいが凝縮されてます。
浦山:言ったら上京前のものもありますから。
寺井:『恋のはじまり』は『ターコイズ』のアウトテイクです。
── しかもこれがファーストフルアルバムなんですよね。活動歴から考えると意外ですよね。
浦山:よく言われます。
寺井:これまではミニアルバムかシングルか企画盤だったから。
── 今までの経験が1枚に入っているからこそベストっぽい感じもありますよね。LOVE LOVE LOVEの良さがあますとこなく入ってるというか。だから初心者の人には特に勧めたい1枚です。企画盤は好きな人にはたまらないけれど、このアルバムは初めて皆さんの曲を聴くという人が手に取りやすい1枚だと思います。
寺井:『KYOTOKYO』(2011年4月)はインドから帰ってきて(※2010年秋、楽曲制作のためメンバーそれぞれがインドへと旅立った)、あまり時間をかけないというところで作ったアルバムで、わりと音も少なめでやったんです。今回は曲を温めていた期間もあるから時間がかかっているほうかな。アレンジも凝ってたり、鍵盤もたくさん入っていたりしますし、やりたかったことは出来たかなと思います。
浦山:今回プロデューサーと一緒に作った曲もあれば、セルフプロデュースでママスタジヲというバンドをやっていたエンジニアの小泉(大輔)さんが所有する、京都にあるstudio SIMPOで一緒に作った曲もあります。プロデューサーを迎えてレコーディングをしていた時に学べたことがあって、今回はそれを自分らで昇華して出来た曲が多いと思うんです。自分らの中で、どうすれば曲が変化するというのが見えていたから作業もスムーズでした。京都で自分らでやっていこうと決めて、協力しながら上手いこと出来たかなって。自信を持って作ることが出来た作品だと思います。
── 個人的にはつじあやのさんとの共作『愛したい愛されたい』がステキだと思いました。
浦山:あやのさんとは京都に戻ってからの繋がりで。
寺井:もともと制作環境を京都にするということは考えていて、精神的な余裕があるところで作りたくて京都に移ったんですけど、それと同時に自分の住んでいるところを知りたいなと思っていて、知った上で精神的な本拠地にしたかったんです。それと京都出身のミュージシャンとも知り合いたくて、くるり先輩然り、10-FEET兄さん然り、あやのさん然り。あやのさんは僕らが京都でイベントをやった時に初めてお会いして、そこから仲良くさせてもらっています。交流を深める中で、曲を一緒に作ってみたいなとふと思って、それを話したら快諾してくれて。制作自体は今年に入ってから始まって、正月にデモを4曲ぐらい送ったんですよ。その中には作り込んだヤツもあれば、鼻歌みたいな曲もあって、そしたらその鼻歌の曲に反応してくれたんです。でもサビが出来なくて、「良いんですけどサビが出来ないんですよね」って話をしたら、「じゃあサビを私がやります」って言ってくれて2人で歌詞を書き始めたんです。この2人(浦山・澤本)とは違う人と曲を作るのがすごく新鮮でしたし、刺激を受けました。自分なりに成長してるとは思っていましたけど、もっと高いところに立ちたいなという気持ちは、あやのさんとやったことで促進された感じはします。
── あやのさんとの声も合ってますよね。
浦山:あやのさんも「私の声と寺井くんの太い低いところの声が合うと思うんだよね」って言ってました。