9月7日(金)新宿ロフト
ROOFTOP RESOUND 2012 #2
スムルース / カフカ / LOVE LOVE LOVE
OA:Goodbye holiday
9月7日、新宿ロフトでRooftop企画“ROOFTOP RESOUND 2012 #2”を開催した。「うた」を基調としたバンドを中心にオファーし、スムルース、カフカ、LOVE LOVE LOVE、そしてO.A.として Goodbye holidayに出演して頂いた。
19時をちょっと過ぎたところでGoodbye holidayが登場。まだ大学生のメンバーもいるというこのバンド。「歌が良い。メロディーが良い。そしてボーカルがオトコマエ(!)」ということで今回オファーさせて頂いた。リハーサル後にドラム・山崎晃平とギター・大森皓と話したところ、「今日は学生の時に聴いていたバンドばかりが出演するイベントで、今すごい緊張してます」と言っていたが、ライブが始まってしまえばいつもの空気に。客席も彼らの音に笑顔で聴き入っている。ボーカル・児玉一真の歌声の存在感は圧倒的で、4人の鳴らす音の瑞々しさはきっと今の彼らにしか出せない音であり、空気であった。それはこの日の出演者の中で考えても、あの雰囲気は彼らにしか出すことが出来ないものだっただろう。「一生懸命やることに意味があって、無駄なことはない」と児玉がMCで言っていたが、きっとこれから彼らも必死にもがきながら音楽を続けて、もっともっと大きいステージでのライブを見せてくれるのと期待が出来る。そして、ライブが終わってからの彼らの安堵した顔と言ったら(笑)。「僕ら、ちゃんとアクトを務められてましたか?」と聞く初々しさと言い、これからも応援していきたく魅力を持ったバンドだ。
そして、お次はカフカ。8月にリリースされたミニアルバム『空を継ぐものたち』の曲を含め新旧の楽曲が演奏される。MCをほとんどすることなく、ヒリヒリとした緊張感溢れるステージと、少年性と幻想の中とが交錯する歌詞で一気にカフカの世界へと誘なっていく。透明感のあるボーカル&ギターのカネコは少し触れたら壊れてしまいそうなほどに繊細だが、彼が放つ歌声は説得力があり、聴く者を惹きつける魅力がある。中盤で演奏された新曲は、これまでの彼らのイメージを変えるような、アップテンポでキラキラとしたギターが印象的であった。途中ベース・ヨシミの現実感たっぷりの(たしか歌舞伎町を歩いていた時のエピソードだったような)MCを少しはさみながら、最後の『ワスレナグサ』までカフカの世界にどっぷりと浸かることが出来る時間だった。
続いて、LOVE LOVE LOVE。このイベントの2日前にリリースされた『Sun in the Rain』の曲を交えながら新旧の楽曲が演奏されていく。MCではRooftop9月号に掲載されたLOVE LOVE LOVEのインタビューについて 浦山が、「あのインタビューを読んでいたら、俺ら“今CDを良いと思ってライブへ来てくれたら絶対にがっかりさせないライブをする自信があるので”と言ってたんですけどね、読み返すと恥ずかしいですよ」なんて言っていた。しかし、この日のライブは、3人が横一列に並ぶという新しい配置でそれぞれの表情を窺えたが、3人ともとても良い顔をして演奏していた。また、彼らを初めて見たというお客さんでも、彼らのライブの雰囲気の良さや、人柄が充分に感じられるステージで、きっと多くの人を惹きつけたに違いない。げんに、この日に初めてライブを見て物販でCDを買ったという人もいたそうだ。ラストの『サイダー』まで、温かい雰囲気のステージだった。LOVE LOVE LOVEは11月に東名阪で“傘もいらないTOUR”を開催する。彼らのライブをたっぷりと楽しみたい方はこちらもぜひ。
そして最後はスムルース。感想をひと言で表すなら、圧巻のライブだった。15年というバンドの歴史がギュギュギュっと込められていた。やはりスムルースのステージは、人を自然と巻き込んでいく力がある。この日も他のバンドを見に来たお客さんが、ステージから放たれるエネルギーとか惹きつける力に吸い寄せられ、最後にはたくさんの手があがっていた。「昔はロフトに立つことがステータスだった」とボーカルの徳田憲治が言い、その後彼らのステージではお馴染みとなっている習字を。そこには「ロフト」の文字。それが変形し「夢」という文字に変わる。ステージ上で習字をやるというスタイルは、もう何年も前にロフトに出演した際に確立したそう。たくさんのバンドがこのステージに立ち、それぞれの歴史を作っていく中で、ロフトが活動のきっかけになっていることは純粋に嬉しいと思ったし、そのバンドが長き時を経て再び戻ってきてくれたことも、今回スムルースをお誘い出来て良かったと思った。ライブは最後に『やさしくつづくみらい』を演奏して終了。その後アンコールで登場した彼らが選んだ曲は、10年前によく歌っていた曲で、手拍子のテンポと「ワンツースリー」のコーラスに中毒性がある『非常にイェイね』を演奏してイベントの幕を閉じた。
オープニングアクトのGoodbye holidayからカフカ、LOVE LOVE LOVE、スムルースまで、普遍的な音楽で、きっとこれからも変わらずに愛される4組だろうということは、この日のライブを見て確信した。精力的にライブ活動をし、これからもどこかライブで見る機会があると思うので、今回のイベントに来れなかったという方もぜひ見て欲しい。
そして、この日、新宿を突然の豪雨が襲い、ちょうど機材を搬出する時間を直撃した。機材を出すために外に出たバンドからビッショリ濡れて戻ってくるということを繰り返していた。みなさん、ごめんなさい。(Rooftop編集長:やまだともこ / PHOTO by:o-mi)
※カフカの写真は現在選考中です。もう少々お待ち下さい。