タフになりました
── 『その日を待つように』はこのアルバムの中で唯一渋谷さんが作詞作曲を手掛けてますが、世界観としては柳沢さんが作った曲と変わらず、馴染んでますね。
渋谷:俺も柳沢も非現実的な歌詞ではないので違和感はないと思います。バラード調のものがなかったし、良いエッセンスにはなるんじゃないかと思って入れました。
── 曲はアコギを弾きながら作るんですか?
渋谷:そうです。
柳沢:俺のデモじゃないですけど、ぶーやんのデモもよくわからないですよ。フォークソングみたいな感じで来るんです。
渋谷:ギター1本で完結出来ちゃうような弾き語りの曲で持っていくので、バンドとして形にするには一から汲み取らないといけないんです。うるさい曲にはしたくないとか、ゆっくり聴かせたい曲だということぐらいで、ここでドラムが入って、ベースが入ってというイメージは特にないんです。それを柳沢がバンドで出来るように変えてくれるんです。
── あと最後の『始まる、未来』のベースも良かったですよね。よく指が動くなって思いましたけど。
上杉:自分でも動かないと思いましたよ。ライブでわけがわからなくなりそうです(苦笑)。
渋谷:上杉は、突拍子もないすごいベースを持ってくることが多いですね。
── ライブでは演奏したんですか?
上杉:前のワンマンのアンコールで弾きました。
── 他の曲ももうライブでは披露されているんですか?
柳沢:3曲ぐらいですね。『星になりゆく人』と、『ゼロ距離』『歓びの明日に』です。
── そして、今回リリースツアーが9月9日の横浜club Lizardのワンマンを皮切りにスタートします。東京以外のワンマンは初めてですか?
渋谷:前回O-Crestでやったワンマンが早い段階でソールドになって、東京以外ではまだワンマンをやったことがないので、東京に近い横浜でワンマンをやってみようという話になって。
上杉:それで、来年は大阪とか名古屋とかでワンマンをやってみたいねと言っていて、その一歩目という意味もあります。今回はひさびさに北海道にも行くんですけど、そろそろ飛行機の予約をしないと。最近地方でライブをやる時は、泊まるところも別々なんです。ホテルに泊まる人もいれば、漫喫に泊まる人もいるし。それぞれバイトしているから、それぞれのお財布と相談しながらやってます。
── バイトをしながらバンド活動やって、ツアー費を捻出して、今を一生懸命生きている感じがしますね。
渋谷:もちろん協力してくれる人がいたら嬉しいですけど、現状で辛いとは思っていないし、特に困ってるわけでもないですから。言うならちょっとお金が欲しいです。本当はすぐにでもバイトを辞めて、音楽以外のことは考えなくて良いような状況にしたいですけど、それでも今は楽しんでやっています。
藤原:18歳ぐらいから事務所に所属していて、バイトしながらバンドをやるという友達のバンドマンがやっていたことをやって来てないので、それを今やっているだけです。
柳沢:タフになりましたよ。
藤原:でも、バンドの状況は良くなっているし。
上杉:この間のO-Crestのワンマンをソールドさせるとか、自分たちで立てた目標が結果として表れてるから全然苦じゃないです。
── お客さんも増えてきていますからね。
上杉:やっとちゃんと伝わってきてるのかなと思います。今までくすぶってきたものが今作では発信出来た気がするから。再スタートじゃないですけど、大きな一歩だと思います。そこで結果としてもっと多くの人に聴いてもらいたいし、毎年大きな会場で出来たら良いなと思います。
── では最後に皆さんが見ているバンドとしての未来はどんなものですか?
柳沢:最終的にはバンドだけで食いたいです。あと全国各地をワンマンで回りたいし、SUPER BEAVERというひとつのシーンを作りたいです。最終的に何がどうなるのか、バンドとして幸せなのかはわからないですけど、今不幸せではない。好きなことを歌ってそれに共鳴してくれる人がいて、それが大きくなっていったら楽しいだろうなって。ライブに来てくれる各々が各々の毎日を持ってきて、自分を投影して一緒に歌ってくれて、それを見ると俺らも楽しいし、SUPER BEAVERの音楽がもっと広まってくれたらと思います。
── 未来が始まってるということですね。
柳沢:そうですね! 未来が始まってるんです。
photo by 佐藤寧花