2001年4月に始まった"スペースシャワー列伝"も今年で11年目、85回を迎える。これからの時代の先頭に立つであろうバンドが多く出演し、歴史を作ってきたこちらのイベント。今回は2daysに分けての開催となった。7月13日はクリープハイプ / 東京カランコロン / back number / GOOD ON THE REEL、14日はWHITE ASH / THE★米騒動 / Droog / ザ・ビートモーターズが出演し、夏直前のフェスのような盛り上がりを見せることだろう。今回は13日のクリープハイプから尾崎世界観(Vo/Gt.)、14日のWHITE ASHからのび太(Vo/Gt.)を迎え、2組ともリリース日が一緒ということもあり、それぞれの作品の話を交えながらの対談を行なった。(interview:やまだともこ)
感情を揺さぶる音楽をやりたい
── 皆さんが出演する“スペースシャワー列伝”も85回を迎えるそうで、歴史のあるイベントになりますが、その歴史を塗り替えてやるという気持ちにもなりますね。
尾崎世界観:まわりにはすでに出演しているバンドもいて悔しいと思っていたので、まず出演できることが嬉しいです。そして、出れるんだったら結果を残したいですよね。有名にならないと、“スペースシャワー列伝”の歴史が途絶えちゃう。
のび太:“スペースシャワー列伝”という名前は、今バンドをやってる人だったら絶対に知っているし、出演して有名になっているバンドもいっぱいいますから。
── お二方は今日が初めましてだそうですが、クリープハイプとWHITE ASHともに同じ7月6日にニューアルバムをリリースなんですよね。
のび太:ということは、バッチバチなんですね、本当は(笑)。
── まあまあ。興奮しないでください。まずクリープハイプですが、幾度かのメンバーチェンジや脱退があり、今のメンバーとなって2年、2枚目の作品になりますが、ようやくバンドとしても固まってきたという感じはありますか?
尾崎:はい。前作は、ひとつのバンドとして形にしようとみんなで頑張って作ったCDですけど、今回はバンドとして作れたという実感があります。
── 今作『待ちくたびれて朝がくる』は言葉のインパクトが強く、歌詞がヒリヒリしているという印象がありましたが、歌詞を書く時は日々感じる不満とか不安が言葉になっていくんですか?
尾崎:不安とか不満ってないほうが良いと思うんですけど、日々そういうものばかりなんですよね。でも、それを邪魔だからって捨てるんじゃなくて形にしたいなと思って言葉にしています。
── 言葉にする事で解消されます?
尾崎:解消はされませんけど、そういう感情も自分にとって無駄じゃないという事がわかりますから。
── 『あの嫌いのうた』では「キライキライ」を連発し、最後の『ウワノソラ』は、「大好きです 大嫌いです」で終わるという流れも良かったですが、曲はたくさんあった中からこの7曲に選曲していったんですか?
尾崎:多めに曲を作ってその中から選曲したいとは思っていて、でもただ数を作れば良いわけじゃなくて、良いものの中から削りたかったんです。たくさんある中から良いと思う曲を自分自身で判断するというのも苦労しましたけど、この7曲になりました。
── 全体的に歌詞がネガティブかなと思ったんです。その分曲はアップテンポにという意識はあります?
尾崎:自然とです。演奏に歌詞がひっぱられたり、歌詞が演奏にひっぱられたりしますね。でも、ネガティブだと思われる言葉をポップな曲に乗せたらおもしろいなということを考えてます。メンバーと一緒に演奏していると自然に歌詞が出てくるものもあるし、こんな感じで演奏するならこういう言葉を乗せたらいいなと思うようになったのは、このメンバーになってからですね。ベースが作った曲もここ最近は1曲ずつ入れているんですが、それをやろうと思ったのもこのメンバーになってから。バンドが良い形になってきています。
── 曲を作る時にお客さんを意識したり、聴いた人がどうなって欲しいというのは考えますか?
尾崎:聴いてくれる人の意識を変えたいとか思わないですけど、感情を揺さぶることが出来たらとは思っています。ちょっとでも気持ちが動かせられれば。その分長くその人の生活の中に僕らの曲があれば良いなという気持ちでやってます。バンドも長く続けていきたいですから。