Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

現実と幻想の狭間で生きるストレンジャーたちの叫び

2011.06.03

 茨城県出身のスリーピースバンド・真空ホロウが前作から1年2ヶ月ぶりのアルバム『ストレンジャー』をリリースする。この1年の間にはドラムのメンバーチェンジもあったが、確実に進化し、成長を続けている彼ら。6月24日から始まる"真空ホロウ「ストレンジャー」リリースツアー"では全国10ヶ所を回り、ツアーファイナルは初の新宿ロフトでのワンマンも控えている。今年も数々の夏フェスにも参戦が決定し、2011年はバンドとしてさらに逞しくなっていくだろう。
 その彼らに、今作のこと、そして東京に来たら必ず立ち寄る場所でもある新宿ロフトについてお話を伺った。(interview:大塚智昭/新宿ロフト店長 text:やまだともこ)

その時間は真空ホロウにください

shinkuu_01.jpg── 新作ができあがるのを、昨年からずっと待っていたんですよ。
松本明人(Gt&Vo):僕らとしても、やっと出せたというのが本音です。ドラムが変わって、タイミング的に今になったというか、昨年の“loft day”(2010年4月24日@新宿ロフト)がこの3人でやる初めてのライブで、ちょうど1年ぐらいでバンドも固まって来たのでレコーディングしたんです。
村田智史(Ba):雰囲気的にもこのタイミングだろうと。ドラムの大貫の良さが出てからじゃないと盤にしても悔いが残ると思ってしまったので、ちょうど良さがどんどん出てきて僕たちも脂が乗ってきたというか。
大貫朋也(Dr):僕自身も、加入した当時に比べたら音ひとつにしても今の方が馴染んでいるのかなという感じはあります。
── 今回アルバムに入っている曲自体は、けっこう前からの曲がありますよね。ライブでよく聴いてる曲が多かったから。
松本:2曲目の『サイレン』は相当前からやっている曲ですね。
── アレンジが随分変わっていて、ライブでやるのは大変そうだなと思いましたけど(苦笑)。
松本:最初はもっとガチガチだったんですよ。でもそれじゃあ僕たちの良さが出ないと思って、シンプルにアレンジをし直して、よしコレだ! って。レコーディングをし終わってからも、細かいアレンジはどんどん変えてます。
── 全曲ライブで演奏してからのレコーディングになるんですか?
村田:3曲目の『誰も知らない』だけはライブでやったことがないんです。
── ところで、前作は松本さんの歌を大事にした演奏をしていると感じてましたが、今回は3人の持ち味をどうしたらもっと良く出せるかということを考えてるなと思ったんです。3人の個性がよく出てますね。
村田:キャラ立ちはすごく考えました。攻めた感じはあると思います。
松本:「これが真空ホロウです」という感じですね。
村田:すごく自信のある作品ですし、音源を聴いてもらうにしても、ライブをやるにしても、「その時間は真空ホロウにください」という気持ちです。集中して聴いてもらいたいし、そのぐらい思いは毎回詰め込んでます。

shinkuu_04.jpg

── 「これが真空ホロウです」を具体的に言うとどんなものですか?
松本:ひとつの欲と言いますか、麻薬みたいな。僕はどうしても真空ホロウがSMに繋がるんですけど…。
── SMに?
松本:ぐちゃってしたいんです。表現方法が僕には音楽しかなくて、音楽で満たされたいし、満たしたい。それでしか繋がれないし、それで繋がれるし、なくなったら僕自身がダメになっちゃう。だからSMみたいな関係だなと思っていて…。僕がSMが好きというわけではないんですけど(笑)。SMということは「人との繋がり」ということにも繋がるんですけど、みなさんに支えてもらっているんです。人が相当好きだし、相当嫌いです。
村田:そうは言いながらも人の気持ちもすごく気になるんです。人の心を読もうと思ったり、興味が湧いてるような表現がこのCDには出ていると思うんですけど、だから、『ストレンジャー』というタイトルが付いたんです。
松本:第三者がいないと歌詞が書けない。電車の中でたまたま聞こえてきた話だったり、テレビも、街を歩いていても、日常で思ったことというか、日常で感じる違和感みたいなものを表現したいと思っています。
── だから、歌詞には心の闇のようなものが多いんでしょうか?
松本:日常の中には楽しい時間はもちろんあって、幸せも感じるし、それってすごく大事なことなんですけど、それを歌詞にしようとは思わないんです。
── 闇の部分って出さないだけで、みんな本当は持ってますからね。だから、歌詞を読んで共感する部分はありましたよ。同じ事を思っていた人がいたんだって。
松本:暗いとか鬱っぽいみたいなことも言われるんですけど、それは違うんです。真空ホロウがどう思ってこれを書いてるんだじゃなくて、聴いた人がこの曲を聴いて、この詞を読んで自分はこう思うというのを考えてもらいたいんです。最終的な答えは聴いた人それぞれの気持ちで良いんです。
── 国語的に言うといっぱい答えはあるよ、みたいな?
松本:そういうのが好きなんですよ。
── ということは、本とかもけっこう読みますか?
松本:本よりは映画のほうが見るかもしれませんが、どちらも作者はこんなことが言いたかったんだ! っていう見方をします。あと、監督や作者の背景がすごく気になるんですよ。過去とかを探りたくなっちゃう。だいたい暗い幼少期を経ていることが多くて…。
── 松本さんの幼少期は?
松本:僕は名前が「明人」って言うぐらいですから。一度親に、「どうしてこの名前にしたの?」って聞いたら「明るい人になって欲しいから」と言われたので、両親には明るい僕しか見せてないです。
── それこそ闇だな…。
松本:気付いてるとは思いますよ。うちの父親が昔詩人をやっていて、「あの歌詞はどうなんだ」というメールが入ることもあります。『サイレン』は「相手に投げかけるようになったんだね」って言ってましたけど。
村田:その前に(松本の)親父さんに言われたのが、「明人は暗い詞しか書けないからな」って。
── 歌詞の中で、生きるとか死ぬとかすごく多いですからね。
松本:生きる事も死ぬ事も怖いんです。名前が明人で、日と月が入ってるんですけど、陰と陽でどちらもあるんですよね。光って闇がないとできないものだから、その闇の部分を書いてるのかもしれないです。明るい部分のほうが人には見せやすいんですけどね。僕はしたくないですね。

このアーティストの関連記事

ストレンジャー

CLBR-0001 / 1,575yen (tax in)
6.08 IN STORES

amazonで購入

01. 闇に踊れ
02. サイレン
03. 誰も知らない
04. クレイマン・クレイマー
05. グライダー

LIVE INFOライブ情報

6月18日(土)大阪城音楽堂【RUSH BALL☆R】
8月5日(金)国営ひたち海浜公園【rockin'on presents“ROCK IN JAPAN FES. 2011”】
8月12日(金)渋谷O-Crest【三国演義】

真空ホロウ「ストレンジャー」リリースツアー
6月24日(金)水戸LIGHT HOUSE
6月28日(火)新潟GOLDENPIGS
7月6日(水)名古屋CLUB ROCK'N'ROLL
7月7日(木)京都MOJO
7月8日(金)高松DIME
7月10日(日)岡山PEPPERLAND
7月11日(月)広島CAVE-BE
7月13日(水)福岡graf
7月14日(木)大阪2nd Line
7月25日(月)新宿LOFT ※ワンマン

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻