かなり真っ当な音をやっている
── Disc-1・2それぞれにコンセプトってあるんですか?
王子「それはかなりあって、1枚目ははじめ君の曲を中心にポップサイド寄りに、2枚目は僕が元を作って呼詩が歌と世界観をつけたっていうのが殆どだからよりディープなものに」
── 聴いた印象でも、1枚目は聴きやすくてのれる印象でしたけど、2枚目は曲順が進むに従ってどんどん、いい感じに落ちてきますよね。
呼詩「そういう気質なんですよね。別にダウナーにしようと思ってるわけじゃなくて。もともと僕はすごい元気で性欲みなぎる人間だったんですけど、病気になってから元気がなくなった状態で歌う事を求められて…。それがダウナーという風に聴こえるかもしれないけど、今の僕にとっては自然なんですよ。おのずとアッパーになってるつもりなんですけど」
王子「僕なんかdisc-2聴いてると、すごい、がーっと盛り上がりますよ。全然ダウナーって印象はなくて、わりと王道な感じ。やってる本人はダウナーって風には思ってないです。かなり真っ当な音をやっている」
── ステージ上での呼詩さんの居住まいには圧倒的な雰囲気がありますものね。
呼詩「(呼詩をのぞく)3人でやる曲とかも結構多くて『GOLD SUMMER』やら『Happy Rain』は、ダウナーな感じまったくないですからね」
はじめ「でも基本的にはみんな根暗だから。そんなわいわいやるようなバンドじゃない」
── (笑)みんなで遊びに行ったりとかしないんですか?
はじめ「しないです(即答)」
── 音楽ではどんなのが好きなんですか?
はじめ「ナンバーガール、オンリー」
王子「僕はスミスとか。ニューウェーブの頃が」
呼詩「僕はボーカリストだったら、ジョニー・ロットンとジョン・レノンの2人が大きいですね。あとリアム・ギャラガーとか。でもロック聴かないんですよ! 全然。クラシックばかり聴いてる。ベートーベンとか、バッハが好き。22歳くらいまではロックを聴いてたんですけど、だんだんがちゃがちゃうるさいなって思い始めて。そしたらテレビも観れなくなって、静かなクラシックを聴くようになっていたんです」
王子「レコードとか結構持ってるもんね」
呼詩「(親戚の)おじさんがジャズのレコードを100枚くらい持っていて、中学生くらいから聴いたりしてました」
── そういう若い頃からの音楽的な影響って今のバンドに出てると思いますか?
呼詩「うーん。どうだろうなー」
王子「含まれてる気はするけどね」
──みなさん聴いてるものがバラバラな印象ですけど、音作りの面で衝突したりしないですか?
王子「そういうのは別にないよね」
はじめ「衝突はないですね。つまんないか面白いか。つまんないと思ったらやらないですけど、3人でやってたら自然とつまんないものはできないですよ。誰か1人だけだとつまんないかもしれないけど」
── その辺がParadiseのアルバムにあるいろんなバリエーションの曲につながるんですかね。
はじめ「それぞれ出したい音があるんで。僕はベースの面白いフレーズとかを考えるのが好きなんです」
── ベースのフレーズははじめさんが?
はじめ「曲を作る時点でギターだったりベースだったりがあると、それをお願いするっていうか」
── それを石川さんがしっかりやってくれる、と。
はじめ「やってくれ、とお願いして。たまにできないところもありますけど」
呼詩「できないっていうかやらないだけだよ(笑)」
── でも、ようやく変遷激しいベーシストのポジションが固まったことで、環境が安定したって話もありましたけど。
はじめ「そうですね。1回ベース無しでやろうって思ってた時期もあって」
王子「(ベースが)いてくれればいいって感じだけど、決して(バンド内での)役割が軽いわけじゃない。石川君の存在は軽くて重い。そんな人、他にいない」