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トップレビューParadise / Alcohol River

Paradise / Alcohol River

2010.09.14   MUSIC | CD

MYRD-12 1,890yen (tax in) / IN STORES NOW

奇跡のバンドである。ボーカル・呼詩によるステージ内外での暴力的、破壊的、そして病的ともいえる、非健全なる行動により、警察沙汰になること数回、ライブハウス出入り禁止になること数度、幾度とない解散の危機を乗り越えてのファーストアルバムが遂に発表された。彼らのライブを見ると「バンド」というものがなんと運命的なものなのかを実感させられる。リードボーカルもこなすドラム・関口萌のメロディセンスは、ダウナーな雰囲気の中にあって異様ともいえるポップ感を放つし、ギターの冷牟田王子が鳴らす硬質のサウンドは、聴く者の心になんらかの傷跡を残していくし、変遷激しいベーシストのポジションには、昨年夏に新加入した石川潤がうまくはまったみたいだ。そこに、圧倒的存在感を放つボーカルが姿を現すと、ステージ上の空気はこれ以上無いほどにぎりぎりの様相を呈し、他の介入を受け付けないほどの輝きを放つ。その様子は、まさしくParadiseと呼ぶにふさわしく美しいものとなる。今作では、狂っている現状を呪い、そこからの脱却・至高を図る色が濃くなっている。2曲目『Tonight!』で、僕は初めて、こんなにも切実で焦燥感にかられた「tonight」という単語を聞いた。1曲目『Crazy Train』で歌われるような列車は遂に動き出した。このバンドがどこへ向うのか、どこへ連れて行ってくれるのか、とても楽しみだ。(Asagaya/Loft A:山崎研人)

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