コンピから知れる海外バンドの良さ
── では、『残響record Compilation vol.2』もリリースされたばかりですし、お互いのバンドの曲を聴いて、率直な感想をお願いします。AFRICAEMOは『Logbook 23rd Dec.』、ハイスイノナサは『平熱の街』になりますが。
中村:今日ずっとAFRICAEMOの『squatter』(2010年3月リリース)を聴いていたんですけど、コンピにも入っている『Logbook 23rd Dec.』が一番好きです。
鎌野:AFRICAEMOは、どの曲もお客さんと盛り上がれるところを絶対に作っていると思いますが、それは策略的な感じですか?
阿部:策略的な感じです。
金子:ハイスイノナサの曲って、すごく情報量が多いと思うんですけど、阿部ちゃんとジョージが前にやっていたバンドも女性ボーカルで情報量が多いバンドだったので、そこは通じるところがあるような気がします。
阿部:前のバンドはずっと変拍子だったんです。変拍子がない曲がなかったぐらいで。
金子:だから、ああいった楽曲をやっていた反動が今に繋がっているのかなって。
阿部:僕らは、ハイスイノナサほどうまくもなかったので、純粋にすごいなといつも感じていますよ。
── 他にコンピに入ってる中で、良かったバンドはどんな方ですか?
阿部:DISC-1の9曲目に入っているDoFは昔から好きなんです。1人でやっていて、アコギの綺麗な旋律とエレクトロニクスの折り合いで、インストなんですけどすごく良い歌です。あと、I'm not a gunはドイツでテクノ・ハウスの人気DJのJohn Tejadaと、日本人のTakeshi Nishimotoさんがやっているユニットで、DUOでイベントをやった時に出演してもらったんですけど、エレクトロニカのテクのもマニアックな感じなのに、すごく聴きやすいというのがすごく良いです。
鎌野:DISC-1の10曲目に入っているAntelopeは、まだ残響からは音源を出してなくてコンピで初お披露目になるんですけど、残響っぽくはない感じで新たなジャンルを切り開いている感じがします。歌がすごく良いんですよ。
阿部:あとDISC-1の7曲目のSHAPES。むちゃくちゃなパフォーマンスをするバンドで、昨年の残響祭で一緒になったんですけど人柄も超良くて仲良くなったのでTシャツ交換しました。
金子:このコンピは、日本のバンドと海外のバンドがいっぱい入っていて、例えばYamon Yamonはスウェーデンのバンドなんですけど、アメリカとかイギリスだけじゃなくてヨーロッパを含めたいろんな地域のバンドが入っているから、それを聴き比べるだけでもおもしろかったですよ。
── Yamon Yamonはちょうど、ハイスイノナサとAFRICAEMOの間に入ってますね。
中村:Yamon Yamon良かったですね。この感じは日本人には出せないですよね。9/8にアルバムが出るみたいなんで、それも楽しみです。
── みなさん自身、海外の方とライブで共演するのは刺激や影響を受けますよね。
鎌野:受けますね。
金子:それこそ、今年ハイスイノナサと対バンしたのが、This Town Needs GunsとCONTEMPORARY NOISE SEXTETの来日ツアーだったんです。その時の順番が、ハイスイノナサの後にThis Town Needs Gunsだったんですけど、This Town Needs Gunsのボーカル(Stuart Smith)がハイスイノナサのライブを見て、「あんなにすごいバンドの後にやりたくない」って楽屋で言っていて…。「何これ!」って感じになっていたので、「君たちもかっこいいよ」ってステージに送り出したんです(笑)。
中村:あれは嬉しかったですよ。ライブが終わってから、すごく話しかけてくれたんです。ホームページとかでも書いてくれてましたね。YOU TUBEにあるうちらの動画を上げてくれたり、コメントも良い事を書いてくれて、あの日以来こいつらの音源しか聴いてないって。開いた口がふさがらないみたいなことを言ってました。
阿部:最初にThis Town Needs Gunsのメンバーと話した時に、シカゴのMAKE BELIEVEという超テクニカルなバンドがいるんですけど、そのバンドがめっちゃ好きで今度一緒にやるんだって嬉しそうに言っていたんです。This Town Needs Gunsもめちゃめちゃテクニカルなんですけど、そういうところが共感できたんじゃないかと思います。
ツアーではサプライズがあるかもしれない!?
── みなさんもいよいよ9月には“残響sound tour 2010”と題されて、残響の名前を背負って名古屋・大阪・仙台、そしてツアーファイナルの東京までの4箇所を一緒に回るわけですが、これだけ一緒にいる機会が増えると、ようやくゆっくり交流を深められることができそうですね。名古屋と大阪は連日ですし、名古屋辺りで打ち上げも盛大に行われるんじゃないですか?
阿部:名古屋ってのがまた…。残響の打ち上げ危険組のホームですからね。あの人たちは、例え打ち上げの時間が短くても、その中でキッチリ出し切るというタイプなので今から不安です(苦笑)。
── では、ツアーの見所やこのツアーに向けて企んでいることがありましたら聞かせて下さい。
中村:うちのバンドは今レコーディング中で、毎日毎日地道な作業を延々続けていて、夏を全てレコーディングに捧げた感じなんです。社会人がいるので、レコーディング自体は週末なんですけど、その間も曲作りをしているので、仕事して帰ってきて音楽やってという生活が続いています。だから、ライブも全然やってないし、個人的にかなりライブをやりたい。9月のツアーが楽しみでしょうがないんです。
阿部:うちらも、最近は曲作りとかプリプロとかでスタジオにいることが多くて、8月も一本やっただけでほとんどライブをやってないんです。新曲も溜まってきていてるし、ツアーでやって反応を見てみたいというのはありますね。もしかするとちょっとしたサプライズがあるかもしれない。
鎌野:えー!! うちらもそれ言いたい(笑)!
中村:それズルイよ!!
鎌野:えーっと、私たちも新曲はかなり楽しみにしてほしいです。普段なかなか曲ができないんですけど、ようやく曲ができて聴いてもらえるので。
── ツアーファイナルとなる新宿ロフトはどうですか? 名古屋・大阪・仙台に比べると出演バンド数も少し多くなりますが。
阿部:新宿ロフトは、さっきの話の流れでバーステージになるという噂が出始めているところですが、相当熱いライブになると思いますよ。
金子:真面目なことを言うと、今回te'や9mm Parabellum Bullet 、People In The Boxなど、これまでの残響を支えてきて、今はメジャーで活躍しているバンドが参加しないので、その分僕らがこれからも残響はおもしろいよというのを見せられれば良いなと思います。ということを頭の隅の隅にちょこっとだけ置いて、あとは楽しくできれば。
中村:良い事言うね。
阿部:残響のコンピがおもしろい内容になっているのは間違いなくて、どのアーティストも聴いてほしいというのはありますし、ツアーもコンピのボリューム感に負けないぐらいの勢いでライブをかますので、絶対に楽しくなると思います。夏が終わりかけて寂しい感じの人は絶対に来た方が良いと思う。寂しさを吹っ飛ばしますから。だからうちらにも、“熱気を忘れた9月の風が”(『Bird』より)という歌詞があるぐらいですから。
中村:それ今言おうと思ってた!! カットインしてでも入ろうと思ってたのに(笑)!!
阿部:少し遅かったね(笑)。