ザ・ガールハントが結成8年にして、ベストアルバム『ザ・ガールハントのベスト』(タイトルそのまま!)をリリースする。この作品は、チバ タケヒサがメインとなって選曲した『チバ盤』と、マスザワ ヒロユキがメインとなって選曲した『マスザワ盤』の2枚に分けられ、ザ・ガールハントが2002年にリリースした『ロマンチックキャンペーン』以降、フル・アルバム3枚、シングル2枚、ミニアルバム4枚、シングル+DVD1枚、企画盤1枚の中から選ばれた、1枚につき18曲、計36曲と彼らの歴史をギュッと詰め込んだ作品となっている。
リリースから8年、しっかりと地面を堅めてきた彼らは、これまでの経験も踏まえ、自らのペースは崩さずにこの先も活動を続けていくのだろう。今回はチバ、マスザワ両氏にお話を伺うことができた。それぞれに込められた思いを受け取って欲しい。(interview:やまだともこ)
8年間の思いが溢れ出たベスト盤
── ついにベスト盤リリースなんですね。『チバ盤』と『マスザワ盤』、それぞれに18曲ずつの計36曲というボリュームたっぷりの作品となりましたが。
マスザワ ヒロユキ(Vo.&G):もっと少なくしようと思っていたんだけど、あれもこれもって入れたくなってこの数になっちゃいました。僕とチバの共作も入れていくと、8年分の思いが溢れ出ちゃったんですよ(笑)。
── 今、全部で曲はどれぐらいあるんですか?
チバ タケヒサ(Vo.&G):半分ぐらいをベストに入れたから、80〜90曲ぐらいはあると思う。
── その中から選んだ基準は?
チバ:ベストっぽい感じのものを...。
マスザワ:今回のベスト盤は、個人的にすごい好きな曲だけど入らなかったりもしてるんですよ。もちろん好きだから入れた曲もあるけど、ベスト盤ということを考えるとこれは違うかなっていうのではずしたものもあります。
── 1枚に18曲なんて、歌ものと呼ばれるバンドだったら、まずないですよね。
チバ:マスタリングしてる途中に寝てましたからね(笑)。
マスザワ:まあ、悪ノリですよね。そういう意味では良い意味の悪ノリを続けてるんです(笑)。
── こんな時代ですし、悪ノリを楽しんでくれるレーベルもなかなかないですから、恵まれてますよ。
マスザワ:それはCDを買ってくれる人とお客さんがいるからですよ。ライブをやればお客さんが来てくれるし、CDを出すって言えば楽しみになってくれてる人もいますし、もちろんもっと多くの人にとは思っています。ガールハントはお客さんがいたほうが良いライブができるし、お客さんが1人もいなくなったらできないですから。
── ベスト盤を作るにあたり、お客さんからアイディアをもらったりはしました?
マスザワ:ブログとtwitterでアイディアをもらうことはありました。『得体の知れぬ(寂しい)怪物』はすごく好きなんだけど、ライブでもあまりやらないからベスト盤に入れるのはどうかなって思っていたんだけど、この曲が好きだって言ってくれる人がいて、それなら入れようかなって。
── チバさんは?
チバ:『2009年紙飛行機の旅』は、メンバーから入れて欲しいって言われたから入れてます。
── メンバーからのリクエストもあったんですね。
マスザワ:僕の『嫌な気分、良い気分、嫌な気分』は、メンバーのリクエストでした。基本的には自分で決めたんだけど、メンバーからも参考として意見を聞いてそれを総括して決めていったんですよ。
── 基本はご自分が作詞・作曲を手がけているものの中から選んでいるんですか?
チバ:そうそう。
マスザワ:共作はうまくばらして。
── 共作で、それはこっちに入れたいんだけどというのも出てきますよね?
チバ:それはトレードした。
マスザワ:最初は、共作に関しては作曲者云々じゃなくて、歌い出しが誰かで決めていたんです。でも、トレードを繰り返したために、その予定が崩れちゃったところもあるんですけど。
── ベスト盤2枚組ではなく、1枚ずつのリリースになるんですよね。
マスザワ:2枚組で3,000円とか4,000円にするよりも、1枚のほうが買いやすいじゃないですか。それに、どちらか1枚を買ってもらえればもう1枚買ってもらえる自信もありますから。
── 過去の曲を録り直してるものはあるんですか?
マスザワ:それはしてなくて、新しく録ったのは新曲の3曲だけです。
── これまでのご自分の作品を改めて聴いてみて、どんなことを思いましたか?
チバ:これまで、特に改めて聴く機会もなかったのですが、良い曲がたくさんあるなって思いましたよ。
マスザワ:僕も、良い曲を作ってるなって思いました。作った時はすごく聴くんだけど、時間が経つとあまり聴かなくなって、聴くとしてもライブ前に歌詞を確認するぐらいだったんですよ。今回、過去の作品を全部iTunesに入れて聴いて改めて聴いてみたら、良い曲いっぱいあるなって。だから、選曲に悩む事もありましたよ。まぁ、似たようなことばかり歌ってるなって思いましたけど(笑)。
── それは、私も思いました。歌詞の世界観が1st.ミニアルバムの『ロマンチック・キャンペーン』(2002年2月リリース)から変わってないなと。
マスザワ:まず、変えようと思ってないですからね。
── 変えようと思ってないんだ! 2002年からこれまでの8年間、その間には30歳という節目も超えてますし、何かしら変わっても良いんじゃないかとも思いましたけど。女の子を追いかけたり、フラれたり、モテない感じのままとは!
マスザワ:結成当時、25歳でしたしね(苦笑)。人間的に堕落してるわけではないんですけど、変わる必要はないとも思っているし、女の子が好きだなという歌をずっと歌ってますね。その時々に応じて、真剣になってみたり、楽しくなってみたりというのは若干違うんだけど、芯は全く変わってません。でも、メンバーが変わってるから演奏は少しだけ上手になりましたね。考えてみたらゲストミュージシャンで何人もの人に弾いてもらっていたんですよ。ベーシストも4人ぐらいいるし。結成した当時のベースは吉田さんなんだけど、今回は入ってないかもしれないんだけど横チン(テルスター)が弾いていた曲もあるし、チバが弾いた曲もあるし、マッキー(Lucky 13)に弾いてもらったり。ドラムは前ドラマーの中チンと今の井上くんだけだけど、ギターはもっといろんな人に弾いてもらっていますよ。
チバ:まこちゃん(MKTMN / ストライカーズ)もそうだし、北目(哲郎)さん(LOVE LOVE STRAW)、佐野(史紀)くん(Soft Touch)、上野(智文)くん(曽我部恵一BAND)とかたくさんいる。
── 長くやっている分の、音楽仲間を知る事もできますね。
マスザワ:今回僕のほうに入っている『3分半のエイトビート』のミックスは、まつき(あゆむ)くんにやってもらったんですよ。この曲は、歌詞は一緒なんだけどチバと僕の曲はアレンジが全然違う。僕のはピアノの音やシンセとかが入っていて、その分ギターをすごく抜いてる。チバのはライブみたいな感じになっていますから。
── チバさんの曲にいろいろなものを足したのが、マスザワさんの曲という感じになるんですか?
マスザワ:基本はそうです。後半は変えてるから枝分かれするんだけど。
── それぞれがアレンジを考えて?
マスザワ:チバの『3分半のエイトビート』を僕らがアレンジを考えて、僕の『3分半のエイトビート』は、まつきくんにアレンジをお願いして、いろんな音をもらったところにさらに僕らが編集したという感じです。