楽しくやれば良いんじゃないか
── どちらの作品にも最後に入っている『ロマンチックキャンペーン』は? マスザワさんが『ロマンチックキャンペーン 〜a fellow traveler〜』で、チバさんが『ロマンチックキャンペーン 〜Night Fishing Is More Better〜』で、それぞれ弾き語りをされていましたが。
マスザワ:これは1st.ミニアルバムのタイトルでもあるんですけど、「『ロマンチックキャンペーン』っていうタイトルで1曲作ってみれば?」ってレーベルの人に言われたんですよ。「内容が全く別で、そういうのがあってもおもしろいんじゃない?」って。これはボーナストラック的なイメージですね。あと、アルバムタイトルにはなっているものの、『ロマンチックキャンペーン』って曲はなかったので作りました。
── 『ロマンチック・キャンペーン』をリリースした2002年頃って、どんなバンドだったんですか?
マスザワ:当時リズム隊は、吉田さんと中チンはいたんだけどどちらもヘルプだったんです。
── となると、まさか、こんなに続くとは思ってなかった?
マスザワ:全然思ってなかった。今も所属しているアンダーフラワーの社長の田中さんが「CD出そうよ」って言ってくれていたものの、「こんなの出して良いのかな」って思ってましたから。出したものの『ロマンチック・キャンペーン』は全然売れなかったし(苦笑)。僕自身、どうだっていいよって感じではないんだけど、テルスターもあるんだけどなって感じもあったし、『ロマンチック・キャンペーン』と『ガールハント・グランプリ』を出したあたりぐらいまでは、実を言うとそこまでやる気がなかったんです。
── でもCDをリリースしているということは、曲は出来てたんですよね?
マスザワ:「出そうよ」って言われるから、「人のお金でCDとか作っちゃって良いの?」って思いながら作ってました。
チバ:あの時は、時代も良かったね。
── ガールハントをちゃんとやろうって思ったのは、いつぐらいなんですか?
マスザワ:今さら言うのもあれだけど、クリック(クリハラ ケンイチ / B)が入ってからだから、5年ぐらい前か。ガールハントは、ガチガチに固めないところが良い部分でもあるんだけど、責任持とうかなという感じになった。でも、今はまた良い意味で力を抜いて出来るようになってます。『.』(2009年4月リリース)と『ドレミ=ファンダメンタルズ』(2008年9月リリース)をしっかり作って、肩の力が抜けたような気がする。『ドレミ=ファンダメンタルズ』は歌詞が暗いというか、真面目に書いていて、このバンドで何かをやらなきゃって意気込んでいた部分もあって。
── それは"夏をテーマにしたコンセプトアルバム"の『Live in HAWAII』でやりすぎてしまった反省から、ちゃんとしなきゃ! みたいな感じになったんですか?
マスザワ:そうじゃないけど(笑)。『.』を作ってツアーを回った辺りから、真面目にやるのはうちの持ち味はでないし、楽しくやれば良いんじゃないかなって思うようになって、そういうところからこういうアイディアがポンポン出てくるようになった。それで、「ベスト出す?」みたいな感じになったんです。
── ベスト盤と言っても、今バンドを結成して8年じゃないですか。なんでこんな中途半端な時期に出すのかなって思いましたけど。
チバ:しかも売れてないのにね(苦笑)。
マスザワ:ヒット曲1曲もないし、誰も周りの人はベストだと思っていないかもしれないけど、それで良いの。
── しかも、通販でのリリースですよね。
マスザワ:そうですね。発売始めは通販でのリリースですね。もちろん多くの人に聴いてもらいたいって気持ちはありますけど、今CD屋に行く人も減ってるって言うから、まずは通販でのリリースも良いかもしれない。渋谷のHMVが閉店して悲しんでいる人も多いけど、それはみんながCD屋に行かなくなった結果だと思いますしね。
── では、先ほどはそれぞれの曲を聴いてどうだったか伺いましたが、お互いの曲を改めて聴いて、どう感じましたか?
チバ:良いんじゃない? って思ってます。その曲どうだろうって思っていたら、その時に言ってるから。だから、選曲をする時にあの曲入れたほうがいいよっていうのはあっただろうし、言ってくれたし。
マスザワ:『ワイオーユー、エヌジーヤング』は、いらねえよとは言いましたけど(笑)。
チバ:ベスト盤だから、1枚のアルバムから絶対に1曲入れようという話だったし。言っちゃえば『ワイオーユー、エヌジーヤング』は入れたくなんかないけど、しょうがないんだよ(笑)。
── これまでリリースした中で、一番好きなアルバムはどの作品になりますか?
マスザワ:『ドレミ=ファンダメンタルズ』が音的にも一番好き。それから『.』。でも、『セカイクル』はお金をかけたから音がすごく良いんですよね。
チバ:俺は『Live in HAWAII』(笑)。
マスザワ:『Live in HAWAII』は今聴くとすごいいい。
── 『Live in HAWAII』に入っている『水着のあと』『真夏の太陽』はベスト盤にも入ってますけど、企画盤とは言われていながらも、他の曲とも違和感なく溶け込んでますよね。
マスザワ:当時は夏をテーマにして作るというのがすごく嫌だったし、あまりにイレギュラーで、本人達もなんだこれと思いながら作っていたんですよ。
チバ:やってる時から違和感はあった。
── 違和感を感じていながらも、なんで作ったんですか?
マスザワ:『セカイクル』が売れて、次の一手としてすぐに作ってってレーベルに言われて...。
── 次の一手が『Live in HAWAII』!?
マスザワ:そう、それで大コケして反省した(笑)。でも、『Live in HAWAII』を出してから少し夏が好きになりましたよ。今振り返って聴いても、良い曲ばっかりだなって思うし。ガールハントの曲は、『ロマンチック・キャンペーン』あたりとかの昔の作品じゃなければ、どれも良いんですよ。
── 『ロマンチック・キャンペーン』は当時の勢いというか、モテたいという生々しさは充分に込められてる気がしますよ。ちなみにこの作品は、ハイラインレコードで買って持ってます。そして、ファンの方から人気の高い『花とギター』は、ちゃんと入れられてますね。
マスザワ:『花とギター』は良いなと思っていたけど、周りの評価が高すぎて「そんなに良いか?」って思ってしまう部分もあったんですけど、改めて聴くとやはり良いですね。個人的な思い入れもあるし。
── そうそう。改めて聴くと良い曲が多いなと気付きますね。
マスザワ:(笑)良くなさそうだけど、意外と良いなって思ってもらえると嬉しいですね。ライブやってもMCしか褒められないから。MCが曲の良さを打ち消すライブって言われたこともあったし。喋りすぎて曲の良さが出ないって。
── MCはガルハンのライブの魅力でもありますよ。
マスザワ:でもちゃんとCDで聴くと意外と良いんじゃない? って(笑)。
ベースのメンバーチェンジがターニングポイントだった
── ガールハントは"へたれロック"と言われてますけど、今後もその方向性で?
マスザワ:いや。それは、レーベルが付けたキャッチコピーであって、へたれロックという自覚はない。
チバ:自分で自分をへたれてるとも思ってないよね。
── 自分でへたれだと気付いているなら頑張れよって思いますしね(笑)。
マスザワ:けっこう頑張ってるんだけどなって。
── このまま続けて欲しいですよ、40歳を越えても。
チバ:バンドがある限り、このままだと思うけど。
── もうちょっと違う雰囲気の曲を作りたい願望はあります?
チバ:ない。
マスザワ:それなら他でやるから。
── お二方の中でガルハンとはこういう感じというのがあるんですか?
マスザワ:それはあります。
チバ:このベスト盤みたいな感じ。
── ということは、このベストでガールハントを全部出し切っているということですね。
マスザワ:出せてはない。ベスト盤なだけでベストではない。アーカイブってことだね。年表みたいな感じ。
── 今と過去を一度まとめた、と。
マスザワ:そう。結成8周年だしな。
── 中途半端なね。
マスザワ:10周年とか言っちゃえば良かった(笑)。でも、これまでもけっこう良いペースで活動させてもらえてるんですよ。1年に1枚とか2枚はCDを出させてもらえてるから。
チバ:恵まれてはいるよね。当時一緒にやってたバンドも、どんどんいなくなっちゃってるから。それを考えると良かったなとは思うけど。
── バンドが変化してきた8年間だと思いますけど、クリハラさんが入ったことって、バンドにとって一番のターニングポイントになるんですか?
マスザワ:僕はそうです。
チバ:僕もそうだな。常にいつも通りではあるけれど、クリックが入ったのは良かったね。
── クリハラさんがバンドをまとめるところはある?
チバ:音はかなりまとまってきてますね。アレンジとかもよくいろんなこと言ってくれるし。
マスザワ:すごいラクになった。今までは曲を作った人がベースラインもドラムもほぼ考えていたけど、今はクリックが広げてくれる。お願いしなくてもやってくれるし。
── クリハラさんは、ガルハンのことが大好きという感じがすごく伝わってきますよね。
マスザワ:やたら楽しそうなところはすごく影響受けます。
── ドラムも昨年末あたりに、中チンさんから井上さんに変わりましたけど。
マスザワ:今もサポートではあるんだけど、井上さんになってよりバカバカしくなった感じはあります。
チバ:ドラムはすごいうまいんですけどね。
── 井上さんはLucky13の前は、どんなバンドに在籍されていたんでしたっけ?
マスザワ:どんなバンドかは忘れちゃったんだけど、いろんなバンドをサポートでやってたみたい。
── 井上さんは、やりやすいですか?
マスザワ:最初はすごくやりづらかったです。人が変わると、ノリが違っちゃうんで。1ヶ月ぐらいライブもやらずにリハに入ってんだけど、初めはすごく違和感があったけど、慣れたらなるほど!って思うところがあっておもしろいですよ。
── 歌い回しが変わる?
マスザワ:全体的なノリが変わる。雰囲気も全然違うし、前の曲をやっても全然違ったし。
チバ:マスが言っていたのは音楽的なノリだけど打ち上げ的なノリで言うと、井上くんは打ち上げが好きですごく影響受けました。
マスザワ:すごく良いバイブレーションがあるよね。人的にも音的にも。
チバ:なかなか両方持ってる人っていないじゃん。中チンなんて両方持ってなかったんだから(笑)。
── 中チンさんがどうこうというわけではないんですが、バンドとして良くなってきてる実感ってあります?
マスザワ:楽しくなった感じはしてます。
── そうすると、今のバンドで作った3曲だけではなく、フルアルバムで聴きたいなというのはありますけど。
マスザワ:今後出していきたいですね。
── まずはここでベスト盤を出して一区切り?
チバ:そのつもりもないんだけどね。
マスザワ:8年でキリが良いし。
── ...末広がりですからね。この作品を出してどうなっていきたいんですか?
マスザワ:楽しくやれれば良いかなと思います。
── 今までと変わらずに?
マスザワ:今までを踏まえて。今までの、メンバーが変わったとかの経験を含めて、また楽しくやれたら良いかなと。
── 楽しいのが一番?
マスザワ:無責任とか楽観的に楽しいじゃなくて、お金をもらってライブをやってるし、お金を使ってCDを録っているし、そういうところで責任を持ちつつ、楽しくやれればいいなと思います。