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INTERVIEW

トップインタビューNEXUS BATTLE 80's LIVE SHOW 〜バンドブーム・リターンズ〜('10年7月号)

“バンドブーム”のスタンダード性を証明したライヴ・バトル・ショウ

2010.06.22

 80年代中盤以降に勃発し、社会現象にまでなった"バンドブーム"を華やかに彩った面々が一堂に会した音楽制作者連盟・主催の『NEXUS"BATTLE 80's LIVE SHOW 〜バンドブーム・リターンズ〜"』。"バンドブーム"とは何だったのかを回顧しつつ、現代にも通ずるスタンダード性を再検証する有意義なイヴェントだった。ジュン・スカイ・ウォーカーズの宮田和弥チーム(アキマツネオ、源 学、川上次郎、浜崎貴司)、レピッシュのMAGUMIチーム(ISSAY、広石武彦、森若香織、水戸華之介、杉本恭一)に分かれ、各自のレパートリーを2曲ずつ披露するという趣向。20曲をぶっ通しで演奏した"BATTLE 80's ROCKESTRA"なるバンドは、Dr.kyOn(key)、小田原 豊(ds)、TOKIE(b)、玉城宏志(g)というこれまた豪華な布陣。MCは両チームのキャプテンと共にこのイヴェントのプロデューサーであるスマイリー原島が務め、軽妙なトークで場内を沸かせた。

 10名に及ぶ稀代のヴォーカリストが唄い上げるのはいずれも未だ色褪せることのない一撃必殺の名曲ばかりで、これが盛り上がらないわけがない。しかも、奏でられるのはドリーム・バンドによる鉄壁のアンサンブルなのだ。いわゆる"昔の名前で出ています"な風情が感じられなかったのは、演者たちが今なお最前線で現役を貫いているからだろう。そして改めて痛感したのは、時空を超えても普遍性は何ら損なわれていない楽曲の底力、スタンダード・ナンバーとしての風格である。一過性のブームなはずだった"バンドブーム"時代の楽曲の数々が時の流れと共に成熟し、風化することなく瑞々しさを放っていたことが素晴らしい。最後に出演者全員でレピッシュの『パヤパヤ』を賑々しくセッションしたのも、お祭り騒ぎの様相を呈していた"バンドブーム"を象徴するようで楽しめた。
 単なる懐メロだと揶揄する向きもあるかもしれない。だが、出演者とオーディエンスの笑顔が終始絶えないあの温かい雰囲気を誰が否定できよう。当日、USTREAMでの生中継に4万人がアクセスしたことは"バンドブーム"に洗礼を受けた世代の関心の高さが窺えたし、この顔触れでサーキットを回るのも一興ではないか。スケジュールの都合が付かずにあえなく参加できなかった面々もいるそうなので、その面子も加えて是非。その際は新宿ロフトで何卒。往時の"バンドブーム"を支えた面々にはやはり市松模様のステージがよく似合うのだから。(文:椎名宗之)


撮影:小松陽祐(ODD JOB)
★撮影:河井彩美

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