Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューWho the Bitch('10年7月号)

眩く煌びやかな“デスコロック”が照らし出す希望の曙光

2010.06.22

何事も物怖じせずに屈するな!

──『Chicken Heart』は、ehiさんによれば「死と直面しつつ、自分自身がいかなる状況においても人に優しく、そして強くいることの素晴らしさを教えてくれた天国の大切な友に感謝しながら気持ちを込めて作った楽曲」とのことで、サウンド的にも主題的にもハードでタフなナンバーですね。Who the Bitch随一のエモーショナルな楽曲とも言えますし。

ehi:珍しくハードな曲ですね。『Chicken Heart』は自分でも出来映えにかなりの手応えを感じたし、『Superstar』に次ぐ代表曲にしてもいいくらいの自信があったんですよ。でも、ライヴでやっていくうちにお客さんの反応が大きかったのと、『Superstar』を寝かせた分、『Chicken Heart』は新鮮なうちに出したいと思って選んだんです。

Nao★:今が旬な曲は反応があるうちに出して、みんなで盛り上がったほうがお客さんも嬉しいやろうし。

ehi:私は最初からタイトルを『Chicken Heart』にしようと思ってたんですけど、「せっかくクールなことを唄ってるのにタイトルが『Chicken Heart』なのはどうなん!?」って言われたんですよ(笑)。でも、私はこれで行きたかったんです。

──テーマが重い分、タイトルはクスッと笑えるくらいでちょうどいいのかもしれませんね。

ehi:私が一番伝えたかったのは「She said"Do not give away"」というサビの一文で、「物怖じせずに屈するな!」ってことなんです。この世界にはイヤなこともたくさんあるけど、考え方次第で素晴らしい一面を見ることもできる。それを教えてくれた天国の友達に感謝したいし、その言葉を大事にしたいと思って。人間誰しも、ヘタレな部分ってあるじゃないですか。人と上手く交われなくて悶々としてる人もいるだろうし、こんなご時世だから暗い状況に身を置く人もいると思うんです。でも、ちょっと違った視点で世界を見渡せば光が差し込むこともあるし、それを何かのきっかけで知ってもらえればなと。

──日本語だと直接的すぎるという理由で全編英詞なんですか。

ehi:日本語だと逆に難しいですね。私が逆境にいた時に友達から励ましの言葉をもらったんですよ。私以上の逆境にいたにも関わらずそんな言葉を口にできるなんて凄いと思ったし、ホントの優しさは強さなんだなと思って。それが唄いたいことでもあったんです。

──お2人のハーモニーの美しさも聴き手が胸を締め付けられる大きな要素のひとつですね。

Nao★:そうですね。でも、技術が全然追い付いてないんですよ。思い描くハモりになかなかならなくて、結構苦戦しましたね。サビの部分は特に。

ehi:主旋がNao★で、ハモりが私なんですけど、私たちのハモりって低いところから急にガーンって高く上がるんですよ。思い切りムリしてるんですが(笑)。でも、そこまでキーを上げたほうが泣ける感じと言うか、突き刺さる感じになるんですよね。

Nao★:キラッとした感じにもなるしな。ライヴで唄ってると、自分でもグッと来てますからね(笑)。歌詞は英語なんですけど、ちゃんとお客さんにも曲のニュアンスが伝わってる手応えがあるんですよ。

ehi:リズムを16ビートにしたのはyatchのアイディアで、それも良かったと思うんですよね。メロディとコードは最初から用意してあったんですけど、リズム形態だけ考えてなかったんです。それでいろいろとパターンをみんなで考えて、最終的にしっくり来たのが16ビートだったんですよ。

yatch:ehiさんの理想を崩さないように苦労しましたよ(笑)。

Nao★:ただ、ウチらがその16感を演奏で上手く出せないんですよ(笑)。

ehi:16ビートを格好良く聴かせるのが凄い難しくて、ちょっとダサくなっちゃうんです。でも、16ビートにしたことで曲が引き締まって良かったんじゃないかなと。

──yatchさんが鉄壁のリズムをキープしているからこそ、お2人の歌が自由度を増しているのを今回の3曲から強く感じますね。

Nao★:スイマセン、自由すぎて(笑)。

yatch:僕は"Superstar"を支える役目ですからね(笑)。でも、作品を追うごとに2人のキャラが立ってきたのを感じるし、"Bitch感"がグッと増した気がしますよ。

──"Bitch感"というのは、たとえばやんちゃで賑々しい感じであるとか?

yatch:それもあるし、男勝りな感じとかですかね。

代表曲を超える楽曲作りの難しさ

──キャラ立ちばかりではなく、純粋に楽曲の力だけで勝負できるレヴェルに達したのを本作からは感じますが。

yatch:曲もいいし、詞も面白いですよね。ちょっと一癖あって普通じゃないし。一緒にやってて楽しいですよ。

──yatchさんが曲を持ち寄ることもあるんですか。

yatch:あるんですけど、ehi先生が手厳しいんですよ(笑)。次のアルバムには何曲か入ればいいんですけど。

ehi:最近は曲を作るスピードを上げようと思って。アルバムを制作したいし、今年はシングルを何枚かリリースすることも決まっていたので、新しくてよりいい曲を作りたいんですよ。

──配信限定リリースの『Satisfaction de No reaction』、今回の『Superstar』に続いて、早くも次のシングルの制作に入っているそうですね。

ehi:そうなんです。『Superstar』の次なので難儀しましたけど、格好いいのができそうです。

Nao★:今までが思うようにリリースできなかったので、一気に吐き出す感じですね。

ehi:フル・アルバムをまだ出したことがないし、きちんとした形でいいアルバムを作りたいという目標があるんですよ。

yatch:今がまさに勝負時なんです。背水の陣ですね(笑)。

Nao★:ワンマンをやっても、お客さんが知らない曲が圧倒的に多いし、早くアルバムを作ってみんなでもっと楽しみたいんですよね。

──毎月かなりの頻度でライヴを行なっているし、その中でレコーディングに入るのはご苦労もありそうですけど。

ehi:地獄ですね(笑)。曲のストックはあるんですけど、代表作として扱われる曲を超える作品を作らなくちゃいけないし、タイトなスケジュールの中でレコーディングしなくちゃいけないし。30曲書いてもOKラインは1曲しかない感じなので、とにかく書くしかないんです。でも、凄い充実してますよ。ずっとやりたかったことが今はできているし、この経験をムダにしたくないですね。

──フル・アルバムはこんな内容にしたいという構想は漠然とあるんですか。

Nao★:コンセプトみたいなものはまだないですけど、アルバムに入れてみたい曲は話し合ってますね。

ehi:やっぱりアルバムを聴いてライヴに行きたいと思わせたいし、ライヴの感じを少しでも伝えたいですよね。逆に、ライヴではできないことにもチャレンジしたい気持ちもあります。それを散漫になりすぎずにどうまとめるかは今後の曲選びの中で課題になってくるでしょうね。私とyatchが共作すれば新たな側面が見える曲になるし、『DICE』みたいなメロディック・パンク系の曲も何曲かあるし、クールな曲もあるし...それらを如何にいいバランスで混じらせるかが大事かなと。

──アルバムの1曲目がいきなりyatchさんのヴォーカルだったら度肝を抜かれますけど(笑)。

yatch:じゃあ、明日からボイトレ入ります(笑)。

ehi:yatchの歌で始まると散漫になるので却下ですね(笑)。

──ここ最近はハズレのないライヴばかりですけど、移動中は相変わらずの珍道中ですか?(笑)

ehi:この間、化粧水を変えたら私の顔がただれちゃったことがあって(笑)。顔が真っ赤になっちゃって、こんな顔でステージに立つのはちょっとイヤやな...っていうのはありました。大阪のライヴハウスに着くなり、「この辺に皮膚科ない?」って訊いたりして(笑)。

Nao★:あと、十三の商店街を歩き回って、スリッパを探したこともあったよな?(笑)

ehi:暑くて足が蒸れて、我慢ならなくなったんですよ。結局、100円均一の店でビーチ・サンダルを買ったんですけど(笑)。

──作品の精度が高くなってきたのと呼応するようにライヴの完成度も格段に増してきたように感じますが、ご本人たちとしてはどうですか。

yatch:まだまだですね。ただ、バンドの中の状態は今凄くいいし、このままのテンションでライヴを続けていきたいとは思いますけど。

ehi:今まではライヴ中に2人と目が合わないと不安なところもあって、私はついyatchのほうばかり見ちゃうクセがあったんですよ。でも、ここ最近は意識を前へ前へ持っていくように心懸けてるんです。どういう訳か、昔持ってた不安がなくなった感じはありますね。

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1st single
Superstar

DCT records, Inc. DCTR-5094
1,000yen (tax in)
2010.7.21 IN STORES

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01. Superstar
02. DICE
03. Chicken Heart
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LIVE INFOライブ情報

Who the Bitch presents...
Who the Fuck Vol.9“Superstar Release Party”

2010年7月24日(土)渋谷 WOMB
出演:nil/ASAKUSA JINTA/DJ SATO (URASUJI.)

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