
小旅行気分でツアーに遊びにおいでやす
──5月5日から『サカサマデアルTOUR』が始まりますな。
片山:全国ツアーのうち3ヶ所、東京、福岡、大阪はワンマン。それも3本とも全部違うメニューでやろうと思ってるから、お金と時間の許す限り観に来て欲しいなぁと思います。今回は『サカサマデアル』を作るぞって、頭のチャンネル切り替えて臨んだんと同じように、これを作って一番最初にやったことって、ライヴ・アレンジを作ることやったんよ。全曲ライヴで演奏できるようにっていうことでやったから、あとはツアーを回るだけやねん。はっきり言って、リアレンジをする段階で、僕ら5人だけで演奏できるようにしたわけだから、アルバムで聴いたのとかなり違うパターンになってると思うよ。そういうのも含め、楽しんでもらいたい。ツアーって面白いもんで、毎日毎日ライヴやってたら「明日はちょっと違うことしようぜ」ってことができるし、ツアー回ってる間に曲が進化するっていうことが大いにありうるしね。
──昔、BEN FOLDS FIVEが日本のツアー・ファイナルで全部日本語の歌詞になったりしてましたもんねぇ。
片山:いや、僕は英語で唄ったりはしないけど。
──コマンドメンドとか、フラッシュバックとか、使っても片仮名ですね。片山ブレイカーズ=日本語の印象がとても強いです。
片山:だって、使えない言語で唄っても表現できないもん。『フラッシュバック・ロック』とか『裸足のゴースト』はギターの東(慎也)が作った曲。僕には絶対作れない曲やね。
──片山さんの声には日本語の歌詞が実によくお似合いだ。
片山:僕が唄うってことに関しては、日本語が一番かっこいいと思ってるから。英語に比べたら日本語のほうが上手に使えると思うし。
──ミック・ジャガーは英国人だものね。
片山:ミック・ジャガーはイングリッシュで唄うのが一番かっこいいんやと思う。当たり前やけど。だから日本語で唄うこともそうやし、僕は方言がかっこいいと思っているので。
──11曲目の『キョート・トリッパー』はその最たるものですな。
片山:そうやねー。アクセントは録音する時は変えるけど。関西弁が伝わらないからしょうがなくね。自分では気づかないんやけどね...あのねー...『キョート・トリッパー』はね、外国人やねん。 (突然の告白につい仰け反って笑う。ステキに広いミーティング・ルームに響き渡る私の笑い声)
片山:外国人って設定で録音してんねん。外国人目線。オーストラリアから京都に旅行しに来た人の気持ちで唄ってんねん。 (笑いすぎて少し咽せる)
片山:マァルタケエビスニオシオイケェー、あれ日本人の発音ちゃうやん。
──わざと言ってるのかと(笑いすぎて少し泣く)。
片山:わざと言ってんねんで(なぜか満面の笑みで)。京都好きのオーストラリア人という気分で、唄っている(誇らしげに)。
──日本通、ゆえに「ドウロの、歌デショ?」。
片山:そうそう、「Oh! ソレ、知ってマス」やね。
含蓄のあるチャップリンの世界観、影響受けてるかも知らん
──今、バンド活動以外で気になってらっしゃることって何か教えていただけますか?(2つ目のハッピーターンに手を伸ばした片山さんに向かって) 例えば、ハッピーターンのハッピーパウダー増量だとか。
片山:オイシイ、コナ(先ほどの話を引きずっているのか、若干片言で)。
──『キョート・トリッパー』のオーストラリア人はお土産にハッピーターンを買うでしょうね。
片山:ほんで、「オイシイ、コナ」って言うたら伝わるでしょ、きっと。
──ハッピーパウダーは味のバランスが絶妙で、トテモオイシィからね。
片山:(実際食べて)絶妙や。ごめんね、ごっつお腹すいててん。ほんまに気になってることはね、ムーミンに出てくるスナフキン。あと、チャップリン。チャップリンは昔からずっと好きやねんけど、また最近観直してる。見聞きしたものって、絶対どこかで影響されてると思うから、バンドとしてもどこかに出てるかもね。
──シャツ白いしね。
片山:そう? 着るものに関しては何でもいいって言うか...最近ずっとシャツかデビルマンのTシャツ着てる。チャップリンは僕の父親が大好きで、一緒に観たりしてた。その当時に思っていたことと、観直して感じたこと、全然違う。オチがね、想像すると3パターンくらいあるかなとか。正解を出さずに考えさせて終わるっていうことをするねん。『街の灯』っていう映画が一番好き。ラスト・シーンでチャップリンが笑うねんけど、それは卑屈な思いからの笑いなのか、それとも純粋に愛情の表れでの微笑みなのか...判らへんねん、答えが。でもそれって、作品としてとても素晴らしいものやと思うねん。押し付けがましくもなく。観終わった後に広がる想像は無限ですよ。そういうものを作りたいなぁっていつも思っています。『サカサマデアル』を作り終わった後にまた観てんけど、このアルバムは、片山ブレイカーズっていうストーリーを語るのであれば、「このアルバムを聴いた人の数だけ、いろんな人がいろんなふうに捉えてくれるといいな」っていう思いもあります。凄くいいタイミングでシングル『地球最期の朝がきて』が出せたのも嬉しかった。聴いた人が、それこそチャップリンの映画のイメージみたいに、「結局、答えはなんやろう?」ってなるって信じたい。
──ファイナルが大阪十三ファンダンゴ、6月18日は新宿ロフトでワンマンもありますね。
片山:福岡も含め、ワンマンはできればほんまに全部観て欲しいなぁ。ロフトはゲストDJもあったりして、片山ブレイカーズのパーティっていうのを演出したいです。福岡はギュウギュウになって、ロッキンな片山ブレイカーズを体感してもらいたい。ファンダンゴは盛りだくさんで行きたいと思ってて、今までの片山ブレイカーズ、今の片山ブレイカーズ、これからの片山ブレイカーズって、三段階くらいで見せられたらなっていう思惑があります。大阪までにはね、新曲もやろうかなと。全国、いろんなところから来て欲しい。
──ライヴに来てくれるお客さんに対して伝えたいことなどあれば是非。
片山:僕らはね、ライヴ中に野次を飛ばしてもらっても全然かまわないし、思い思いに楽しんでくれたらいいなぁ。ライヴハウスに来たらね、目の前には素晴らしい演奏と歌が繰り広げられる。ロックを体感できて、そういうところに閉じ込められて...一緒に時間を過ごせる...僕と同じようにとか、隣にいるお客さんと同じように楽しまなくてもいいけど、自分の中で笑えるポイントだったりとか、グッと来るところなんかを見出して欲しいです。最高や! って思える瞬間があったら、周りに気を使わんでワー! ってなって欲しい。楽しめて、自由に開放できたら最高やね。