
ニューロティカのニューアルバム『別冊ニューロティカ』リリース間近! 今作は、ジャケットからしてインパクト大。少女コミックそのままかと思うほどのジャケットの雰囲気、そして何よりこんなに美少年でしたっけ? と一度は自分の目を疑うこの作品。何をしてもニューロティカ、どんなことをしてもニューロティカだから許されちゃう? な雰囲気はビンビンに感じます。内容も変わらずにニューロティカ節全開で、パンクとロックと汗と涙と笑いと失笑がたくさん詰め込まれた全8曲。結成26年を迎えたニューロティカは、これまでもこれからも飾らないまま生きて、変われないまま歌い続けていくことでしょう。
今回はジャケットを手がけている、人気少女漫画『ヤマトナデシコ七変化』の作者、はやかわともこ先生を迎えての特別対談。お互いの愛情をたくさん感じられた時間でした。(interview:やまだともこ)
初めて手がけたジャケットがニューロティカだった
──はやかわともこ先生がジャケットを手がけるなんて、改めてニューロティカって顔が広いと実感しましたよ。
SHIZUWO:長く生きているからね。
──はやかわ先生とは、いつぐらいに知り合ったんですか?
ATSUSHI:講談社の方から、はやかわ先生の描いている『ヤマトナデシコ七変化』にニューロティカの歌詞を掲載して良いのかっていう話が来てからですね。その時に、全然問題ないですよ、もしよろしかったらライブにも遊びに来て下さいって話をしたら、いつの間にか北は北海道から南は大阪までライブのレギュラーになっていたんです(笑)。 はやかわ:ただのおっかけですね(笑)。
──元々ニューロティカが好きだったんですか?
はやかわ:はい。20年ぐらい前のバンドブームの時から。生まれて初めて握手した芸能人があっちゃんでしたから。これも20年ぐらい前なんですけど、八王子を歩いていたらあっちゃんが歩いていて「ニューロティカのあっちゃんですよね? 握手してください!」って。今考えるとあの辺りはあっちゃんちの近所だよね。放射線通り。
KATARU:放射線通りって本当にあったんだ。
SHIZUWO:今確認が取れましたね。『オレンジの快速に乗って』の歌詞にはあるんだけど、本当にあるのか? って、俺らはずっと思ってたから。
──当時もライブには行っていたんですか?
はやかわ:行っていたんだけど、一時ちょこちょことしか行かない時期があって。でも、CDは物販でずっと買っていて、また帰ってきたという感じ。
KATARU:ちゃんと知り合う何年か前から噂は聞いていたんですよ。「別フレ(別冊フレンド)にニューロティカの名前が出てるよ」って。
SHIZUWO:俺も知り合いに、(別フレに)載ってたよって言われたことある。
──紹介して頂いて以降、濃いお付き合いをしている感じですか?
はやかわ:いや、付き合いと言うよりは、私がおっかけ並みにライブに行ってるのでファン代表の気分ですよ。
KATARU:ありがたいですよね。
ATSUSHI:しかも、意外とバンドマンやらで共通の知り合いもいるんだよね。いろんなバンドがはやかわ先生を慕ってるし、あるバンドマンからは「はやかわ先生とあっちゃん知り合いなの?」って言われたよ。あと、八王子の俺の知り合いが急に家に来て「ともこの知り合いか!」って。それがバンドの人じゃなくて、家の近くにあったガソリンスタンドで働いていた人なんだけど。「ともこって誰ですか?」って最初は思いましたよ(笑)。
はやかわ:その人が、当時私のバイト先の店長なんです。
NABO:それ、バンドより凄いね(笑)。
──そして、今回すでに話題沸騰のこちらのジャケットは、どちらからお話をされたんですか?
ATSUSHI:うちから。
はやかわ:お話を頂いて、大喜びで「絶対やる!」って。でも、雑誌の締め切りと重なっていたから、ちょっと締め切りを延ばして下さいってお願いしたんだよね。
──どんな感じにしようというイメージは、すでに先生の中にはあったんですか?
はやかわ:ものすごい美少年に描こうと思ってた。
SHIZUWO:美少年...。少年時代も、だいぶ過ぎてるけど...。
KATARU:コンセプト自体が間違ってるよ。40過ぎのバンドに美少年はないからね。
はやかわ:いや、10代のつもりで描いているので。昨年SHOGOくん(175R)が私の絵を見て「これでジャケット描きなよ。あっちゃん描きなよ」って言ってくれたことがあったんです。だから全員20歳ぐらい若くなってますけど。
──はやかわ先生が実際、ニューロティカをこう見えていたら問題だなと思っていたんですけど...。
NABO:好きな人はこう見えちゃうみたいな?
はやかわ:たぶん...大丈夫(笑)。
SHIZUWO:理解した上でデフォルメして描いてるということですね。
はやかわ:はい。最初は似せようと思ったんだけど、やっちゃえ! って思った結果この感じになりました。
──バンドのジャケットを手がけるのは、これまでにも何度かあるんですか?
はやかわ:全部断ってたから、初めてです。
NABO:すごいね。すいません。
はやかわ:描きたいと思ったのは、ニューロティカが初めてだったんです。
イメージは小悪魔ageha!?
──ニューロティカの皆さんは、このイラストを見た時にどう感じました?
KATARU:ビックリしましたけど、先生に頼むからには先生のタッチじゃないとと思ったし、ある程度の予想はしてましたけど、ここまで美化されちゃうと心苦しいですね。
はやかわ:似せる気ゼロですよね。
NABO:俺、いないじゃんって言われる。
はやかわ:本当は、NABOちゃんのサングラスを取って、すごい美少年を描いたら面白いと思ったんだけど。
──あっちゃんのイラストはジャケットではかわいらしいですけど、ジャケットの中に描かれているイラストは最初見た時に笑いしか出なかったです。
はやかわ:あれは気合い入れましたよ。すごい気合い入れた。どっちが表紙になってもいいやと思って。ただ、ジャケットのイラストのあっちゃんは分け目が違うんだよね。私が描くと星が隠れちゃうから分け目を逆にしたのはわざとなの。
──あっちゃんは、少年の心を持っているイメージだったんですか?
はやかわ:これはNABOちゃんのリクエスト。もともとは、4人とも美しいショットでいこうと思っていたから。
NABO:先生が出した本(『ヤマトナデシコ七変化』)がこういうイメージだったから、そのタイプで作ってもらおうと思って。
──イラストは、どれぐらいかけて描かれたんですか?
はやかわ:うちの編集長に怒られるぐらいです。本編でもこれぐらいやれ! ってぐらい時間かけて、気合いの入れようが違いました。普通に徹夜して軽く3日はかけてますね。
NABO:最初、先生にもらったのは背景はなくてイラストが白い紙に描いてあるだけで、あとはなんとかやってくださいって。それで、先生の漫画に魔女っぽい子が出てくるから、エンジのバックでレトロっぽい感じでいこうかなって思っていたんだけど、先生が「小悪魔ageha風に!」って。小悪魔agehaなんて知らないからネットで検索したら、キラキラの雑誌が出てきて「これですか!」って。でも、それまではどうしたら良いかわからなくて恐る恐るやってたんだけど、先生が言ってくれたおかげで、やっとどういう雰囲気にしたら良いのか方向が見えたんです。
はやかわ:最初は手塚治虫先生のような感じで渋かったんですよ。手塚先生には似合う色遣いで格好良かったんだけど、私のイラストに格好良いのは似合わないから、もうちょっとダサくしてくれと。ピンクとか水色とか白とかそういうすごいやつでって。
NABO:タイトルを、あっちゃんがひと言「別冊ニューロティカでどう?」って言ったことがきっかけで、雑誌の表紙っぽくしちゃおうっていうアイディアも出て。
──最初から『別冊フレンド』をイメージしていたわけではなく、作っていくうちにアイディアが固まっていったんですね。
KATARU:うちは基本後付けだからね。
NABO:たぶん、あっちゃんが「別冊ニューロティカ」っていうタイトルを言わなかったらここまでもならなかったと思う。
──全てがうまく繋がった感じですね。
NABO:そんな感じはあります。それまではどうしたら良いかわからなくて、みんなもわからないし、何も言ってくれないし、先生のひと言で助かりました。あのひと言がなかったら、先生に絵を描いてもらったのに、もったいないっていう結果になっていたと思います。
はやかわ:最初は、口出しちゃったことをすごく後悔したんですよ。イラストの部分だけ渡して、あとは好きにしてって思っていたんですけど、好きにしてと言いながら口出すからどうなの? って思っていて。
NABO:これまでイラストを漫画家の方に描いて頂いた時は全面描いてもらっていたから、こっちはタッチをしていなかったんです。だから、最初は「え!!!!!!! 無理です」って思っていたんだけど、何とかなりました。
はやかわ:これまでのジャケットも見ていたから、ここまでやったらどうなんだろうっていう不安はあったけど。
KATARU:やるからには思いっきりやってもらっちゃったほうが面白くなるから。
