日常の混沌を掻き鳴らす平均年齢20歳の4人組、SUPER BEAVERが遂にメジャーデビュー!! 記念すべき第1弾シングル『深呼吸』と同じタイトルを持つ1曲目『深呼吸』は、彼ら4人の「現在(いま)」と「未来」への思いが詰まった疾走感のあるロックサウンド。そこに重なる伸びやかで艶やかなVo.渋谷の歌声が曲に説得力を持たせ、まっすぐに曲が伝わってくる。今回新たな試みとして、バンド名義で作曲をした『境界線』ではライブを意識した骨太なサウンドで聴かせ、インディーズ時代にリリースされた『道標』は歌を録り直し、今の彼らを充分に表現した楽曲となった。
常に成長し、常に進化をし続ける彼ら。いつ会っても、目を輝かせながらお話をしてくれる4人だからこそ、楽曲に散りばめられたキラキラとしたサウンドや言葉は嘘ではないのだろう。今回も4人にお話を伺うことができた。彼らのこの先もきっと明るく輝いた未来が待っているに違いないと確信した時間だった。(interview:やまだともこ)
たくさんの人が関わってくれていると実感した
──まずはメジャーデビューおめでとうございます!!
一同:ありがとうございます!!
──メジャーデビューするというのはすごく感慨深いですよね。私も勝手に感慨深いものを感じていたんです。周りやご自身の環境は変わりました?
渋谷龍太(Vo.):今までやってきたことがさらに濃くなったという感じですが、特にこれと言って変わったと思うことはないですよ。
藤原広明(Dr.):今までに比べると歌録りとかの時間は多少増えたよね。ちょっとずつ時間をかけるようになりました。
──1曲目が『深呼吸』ですけど、メジャー第1弾シングルで、その1曲目というところで選びに選んだ末にこの曲に決まったんですか?
上杉研太(Ba.):そういうわけでもなくて、意外とスッと決まりました。
柳沢亮太(Gt.):完成はしていなかったんですけど、もともと歌詞の雰囲気はあったんです。だから、曲の感じであったりとかもわりとすんなり。
──これまでに比べると、ずいぶん音に厚みが増したような気がしますね。
上杉:ツアーの成果ですね、たぶん。
渋谷:2nd.ミニアルバムの『心景』のツアーが昨年11月から今年の2月まで40カ所ぐらいあって、そこから帰ってきてすぐに録ったので勢いも残っていたと思います。
──今まで40カ所のツアーはなかったですよね?
渋谷:ツアー自体そんなにやってなかったですから。
上杉:直前に『リセット』のツアーで20カ所回ってすぐに40カ所回ったので、ほぼ60カ所回ったような感じで。
藤原:それ以前は関東ぐらいしかやってなかったので、やっぱりこのツアーは大きかったですよ。
上杉:改めて60カ所って聞くとヤバイね(笑)。その時はツアーってものがわかってなかったので、それが当たり前だと思っていたんです。他の人達を見て、普通は40カ所も行かないんだって思った。そんなに回るんだって驚かれましたから。
──ツアーは対バン形式だったんですよね?
渋谷:最後のO-WESTはワンマンですけど、あとは対バンでした。
藤原:butterfly inthe stomachとかflumpoolとか、REAL REACH、stoopyriderとか...。
──皆さん世代は同じぐらい?
藤原:stoopyriderのドラムだけ同い年で20歳ぐらいでしたけど、あとは上でした。
渋谷:まだ一緒の年代はなかなかいないですね。上になっちゃいます。
──上の世代の方々から影響を受けることも多かったんじゃないですか?
藤原:たくさんありましたよ。
──この『深呼吸』はツアー中にも演奏されたんですか?
柳沢:O-WESTのワンマンで初めてやりました。
──となると、ライブで演奏して曲を育ててからレコーディングというわけではなかったんですね。
渋谷:そうですね。
──レコーディングはすんなりと?
藤原:すんなりといきましたね。録る前にちゃんと曲を理解してから録り始めたので。
──しかも『深呼吸』は『NARUTO-ナルト-疾風伝』のエンディングテーマでもありますしね。テレビで流れているのは見ました?
柳沢:スタジオにいる時、みんなで見たよね。
渋谷:CM明けですぐに曲が始まって「流れてる流れてるー」って。嬉しいですよ。
上杉:メジャーデビューするんだなって思いました。
渋谷:曲に合わせて絵が動いているというのは、PV以外に今までになかったことですし。
上杉:いろんな人が関わってくれているんだなって思いますよね。4人で始めたことに多くの方が関わってきているというのは、メジャーになることになってから余計に強くなってきている気がします。
渋谷:直接顔を合わせたことはないですけど、関わっている人が増えているのは感じますよ。
みんなでひとつの音楽を作り上げる意識が高くなった
──シングルの3曲目はSUPER BEAVER名義で作曲された『境界線』が入っていますが、全員で作曲というのは初めてですよね?
柳沢:前からそういう雰囲気の作り方をした曲はあったんですが、ツアー中の名古屋で突然スタジオに入ろうってなって、延々テープで録音しながらジャムって、僕がそれに合わせて歌い、車の中で聴きながらこのフレーズがかっこいいとかっていうのを組み合わせていって、完全に楽器を持っている3人で音を鳴らしながら作っていった曲です。今まではリズムパターンをスタジオで作ってみようというのから派生して出来た曲もありますけど、この曲みたいに全部をみんなで作ったのは初めてです。
──全員で作るとこういう曲になるんだなと。柳沢さんが作っている曲とも全然雰囲気が違いますね。
上杉:ツアーに回って、みんなで1個の音楽を作り上げる意識が高くなってきたので、作り方もこうしたほうがいいんじゃないかという話からやってみたりとか、最近そういう作り方も多くなってきていますね。いろんなパターンができるようになったほうが良いと思うのでチャレンジもしています。あと、今まではそれぞれの楽器が1個の音楽を作っているのにも関わらず人任せだったことが多かったんです。そこはあなたの管轄ですよって。でも、今回は4人でギターがこう来るから自分はこう弾こうとか、こう弾いたからこのフレーズ弾こうとか話した気がしますね。
──4人であることを意識した、と?
柳沢:そうですね。
渋谷:この曲に関しては、俺らが思っているメッセージを伝えるというよりも、グルーヴというか4人で出せるノリを意識した曲なので。
──こういう曲になると"いつでも夢みるteenageですか?"の部分のように、敬語を使うんだなっていうのも思ったところはありますが。
柳沢:いや。深い意味はないです。でも、ちょっと皮肉っぽく言いたいというか、こういうことを言いたくなっちゃったんですね(笑)。
──19歳から20歳になり、10代をちょっと皮肉ってみたかった?
上杉:1歳しか変わらないですけどね(笑)。
柳沢:でも確かに敬語ですよね。今まで使ってなかったですね。
──歌詞に英語が入っているのも新鮮でしたね。
上杉:僕も新鮮でした。
柳沢:デモを録っている時に、ここに日本語だとどうなんだろうって考えて言葉を選んでみたりしたんですけど、英語のほうが良さそうだなって、思い切って英語を入れて、いざ渋谷が歌ったらどうなるんだろうって思ったけど普通に格好良かった。
──このリズムもスピード感がある曲でしたが、藤原さんは叩いてみてどうですか?
上杉:自分でドラムパターンを作っておいて、曲が出来上がってみたら大変だったっていうこと多いよね。
藤原:多いね。
上杉:たまに恐ろしいことになってますよ。ライブ中に(笑)。
──この曲はライブ中の藤原さんも楽しんでくれと。
藤原:いや。僕は後ろで支えに徹します(笑)。
常に新鮮な歌を聴いて欲しい
──そして『満員電車』は、旅立ちやスタートをイメージさせ、今の皆さんの状況にリンクするものがありますね。
柳沢:曲自体はけっこう前にあったんですけど、今回このCDに入れる曲の候補としていろいろデモを聴いてた時にこの曲が出てきて。歌詞はこのタイミングで書いたんです。
上杉:電車がひとつの大きなテーマになってますね。音に関しても、細かいんですけど後半のほうにミュートが"コココココ"と入ってくるのは電車を意識したし、ちょっとしたアレンジも歌詞にある"満員電車"という単語から膨らませていったので、そういうビジョンが想像できるようなオケにしようって。シンプルに聴こえるかもしれませんが、意外と考えてやってるんですよ。
──あ、シンプルに聴こえてました。
柳沢:(笑)そうやって聴くと、スネアひとつにしてもかなり拘っているんですよ。
藤原:実はレコーディングで苦労したんです。リズムの表と裏が変なタイミングで入れ替わったり、グルーブが難しくて苦労したと言えばしたかも。俺らの感覚では『深呼吸』は曲調も歌の感じもリズムもSUPER BEAVERの王道で得意なのですぐに出来た。でも、『満員電車』は敢えて変なことをしようってやっているから、ドラムのリズムは変化球なんです。複雑にしていないんだけど、ノリに乗っていないわけでもない。ドラムだけ聴くと変だなって思うと思います。
上杉:『深呼吸』を作っている人達が、頑張って頭を使って作ったのが『満員電車』という感じですね(笑)。
──でも、根底にはゴチャゴチャさせずにシンプルで聴かせるということはあったんですか?
渋谷:オケが歌を押してくれている感じがしますね。どの曲もそうですけど、歌を聴かせることを大事にしているバンドなので、歌を軸にドラム・ベース・ギターが下から支えてくれているのは『満員電車』で特にわかりますね。
柳沢:より渋谷の歌を発揮する歌ですね。
──4曲目の『道標』は、インディーズの時にリリースしている『心景』の曲ですが、歌を録り直してるそうですね。聴き比べてみて歌の説得力が増したなと思いましたよ。
上杉:短期間でここまで進化するのかって思いますよね。ツアーに回ったというのは絶対ありますね。同じ曲でもここまで違うんだって僕も思いました。
渋谷:歌は表に出やすいものだと思っていて、『道標』はライブでやる度に考えが変わってくるところもあったんです。常に新鮮な歌を聴いて欲しくて、発売日は6月3日でレコーディングはもっと前なんですけど、レコーディングした日までの俺の思う『道標』を詰め込んでいるんですよ。1年前とは確実に違いますから。そういう所も入れたいと思って、録り直しをしたんです。メジャーに行くっていうのもありますけど、インディーズからやっていることは変わっていないので、新たな一歩を踏み出すからこそ今までの俺らの曲を新しい形で入れ直したいというのがあって。
──何度も歌い直しはしたんですか?
渋谷:『道標』はそんなに時間はかけていないです。ライブでやっていたので他の曲よりも感情の入れ方がわかっていて、そんなに考えずとも体に染みついているものがあったので自然と出た歌という感じですね。
──この曲はいつできた曲なんですか?『心景』に入れる前からあった曲?
柳沢:いえ、そのタイミングで作った曲です。
──今後の作品のイメージはもうできているんですか?
上杉:もちろんです。
──新しい曲が近い時期には聴けるかも?
藤原:そうですね。だいたい。次もすごいよー。
上杉:楽しみにしていて下さい。
──みなさんで作る曲も増えてくるのでしょうか?
上杉:最近はスタジオに入った時に、いろんなジャンルのセッションをやったりしてます。突発的にやるものというのは、後々聴いたら使えるっていうのがあったりするので、それはそれとして柳沢が作るのは柳沢で、他のメンバーが作ったり、同時進行でやってますね。なかなか形にするのは難しいですけど(笑)。
──毎日スタジオに入っているんですか?
上杉:毎日というわけではないですけど、最近は常に楽器を持って音を鳴らしている時間が多いですね。
渋谷:毎日スタジオではないですけど、ここ1カ月は確実に毎日メンバーに会ってます。
藤原:24時間会わなかったことは2カ月ぐらいないね(笑)。
渋谷:さすがに顔は見飽きました(笑)。
──このインタビューをしている5月もツアー真っ只中ですが、6月からも北は北海道から西は福岡までツアーが予定されていて、頻繁に一緒にいることになりますね(笑)。
渋谷:楽しみですよ。
──また何かしらの影響を受けて来れますしね。
渋谷:メジャーデビューして、曲は世の中に多く出回るので、聴いて欲しいのは一番にありますけど、何よりもライブに遊びに来て欲しいです。歌がよく聴こえるのでCDでしか伝えられないものってあると思いますが、それ以上にライブは伝わるものが大きいと思うので、ライブでしか伝えられないものを感じに来て欲しいなと思っています。ぜひライブに来て下さい。
──今後もみなさんの活躍を楽しみにしています。
上杉:がんばります。
一同:よろしくお願いします。