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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】9mm Parabellum Bullet(2008年10月号)- 未曾有の快進撃を続ける轟音生命体、 メジャー・アルバム2作目にして早くも不滅の金字塔的作品を完成!

未曾有の快進撃を続ける轟音生命体、メジャー・アルバム2作目にして早くも不滅の金字塔的作品を完成!

2008.10.01

ギターは思い込みこそが大事

──あと、昔の歌謡曲の匂いがする楽曲も9mmの大きな持ち味のひとつだと思うんです。『悪いクスリ』はドアーズの『Touch Me』とも言えるけど井上陽水の『氷の世界』を想起させるし、『Living Dying Message』はイントロのギターが中森明菜の『少女A』みたいだし(笑)。こういうの、僕らのような30代には思い切りストライク・ゾーンなんですけど。

滝:申し訳ないことに、『氷の世界』も『少女A』もよく知らないんですよね(笑)。昔の歌謡曲は全然詳しくなくて、そういうのを聴いて育ったわけでもないんです。ただ何となく“この感じがいい”っていうだけなんですよ。“ああ、ギター泣いてるなぁ…”っていう痛快な感じが好きで。そう思いながら弾いてると、どことなく歌謡曲っぽいテイストを帯びてくるって言うか。

菅原:不思議ですよね。歌謡曲が一番歌謡曲らしかったのは、俺たちが生まれた頃やそれ以前なわけだから、実際には聴いてないはずですからね。俺は最近、阿久悠さんのBOXセットを買ってよく聴いてますけど、曲作りに直接的な影響は受けてないですし。

──取り立ててコンセプトはないとのことですが、僕には今回のアルバムが“飽くなき自由への渇望とその闘争”をテーマとしているように感じたんですよ。『Wanderland』は理想郷とする約束の地の象徴であり、『Faust』はゲーテの戯曲と同タイトルであることからも悪魔と契約して魂を売り払うニュアンスがあるし、『次の駅まで』はティッシュと同等の希望を抱えながら生きていく人生を暗喩したものだし、通底するテーマをどことなく感じるんですよね。

菅原:自然とそうなっている感じですかね。あるいはそういう資質が元から自分にあって、その目立つ部分を拾い集めたらこうなったと言うか。まぁ、“自由への渇望”とかそんな大袈裟なもんじゃないですけど、凄く自由にやりたいと思ってこのアルバムの制作を始めたのは確かですね。その自由を求める感じは音にも表れてると思いますよ。楽しく曲を作りたい、楽しく作業をしたい気持ちがずっとあったし。

──ギターの音色は録る前に細かく決めてから臨むんですか。

滝:いや、そうでもないですね。曲ごとにアンプやギターを大まかに決めてるだけです。で、そのギターをアンプに差し込めば考えてる音が出ると信じ込んでやってるので。今回もハイとかローとかをほとんどいじらずにやりましたし。

菅原:俺も似たような感じです。ESPから借りてきたギターが凄く良くて、それを自分が普段使ってるアンプに突っ込んだらいい音になるのが判ってたから、それで大体は正解でしたね。これで大丈夫と思い込んでやるのが大事って言うか。

滝:思い込みは大事ですね。ジャガーをデラックス・リヴァーブっていう昔のアンプに突っ込んだら絶対にサーフの音が出るっていう、その思い込みだけで弾いてましたから(笑)。

菅原:俺はナヴィゲーターのレスポールを使ってるんですけど、“ここは絶対にナヴィゲーターでしょ?”ってブースに行く前から決めて実際に弾いてみると、“やっぱりこれだ!”と思いますからね。

──楽曲ごとに目を向けると、まず、初めて曲作りに携わったという中村さんの作った楽曲が一際ユニークですね。『Hide & Seek』はドラムの乱れ打ちとメロディアスな曲調との対比が面白いカオティックな曲だし、滝さんと共作した『悪いクスリ』は先述したとおり歌謡曲のテイストがあって、捻りの効いたメロディも心地好い。

滝:『Hide & Seek』は生まれて初めて作った曲らしいんですけど、かなりいい線行ってますよね。完成型が全く見えてない状況で録ることにして、実際に録ってみたら凄く格好良かった。

──『Faust』のジャムっぽい間奏は非常に有機的なアンサンブルで、バンドの成長の跡が窺えますね。

滝:あれは新機軸でしたね。あのインスト・ゾーンは最初にはなかったセクションなんですけど、割と壮大なイメージの曲だったし、短くコンパクトにまとめるよりは“やれるところまで引き伸ばしてやれ!”と思って足したんですよ(笑)。

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音楽も、映画も、小説も“生き続けるメッセージ”

──『次の駅まで』は霞の向こうにギターが聴こえるような音像で、エンジニアである日下貴世志さん(毒組)の手腕が光る逸品ですね。人間の一生を電車になぞらえた歌詞も素晴らしいし。

菅原:人生を凝縮しているイメージも受け取ってもらえたら嬉しいですね。まぁ、歌詞のとおりに聴いてもらっても全然構わないんですけど。

滝:こういう従来の9mmっぽくない曲は、決まって俺が体調の悪い時に出来るんですよ。この曲も、俺がお腹を壊してスタジオを休んで、家でうずくまりながら書き上げたんです(笑)。『Termination』に入ってる『Butterfly Effect』も、40℃の高熱を出した時に生まれた曲だったし。

──じゃあ、滝さんにはこれからもどんどん体調不良になってもらわないと(笑)。

滝:そうですよね。そのほうが珍しい曲をたくさん書けますから(笑)。

──曲によってエンジニアを変えているのは、その曲の持つ世界観に準じてのことですか。

滝:パンチのある音がもうひと味欲しい時とか、他とは違うエッセンスが欲しい時とか、ケース・バイ・ケースですね。

菅原:俺たちがそういう希望を出して、プロデューサーの(いしわたり)淳治さんが作業全体を俯瞰して現場ごとを取り仕切るって言うか。

──今思えば、『Termination』は多分にストイックな面が出すぎたと言うか、肩に力が入りすぎていた感がありますよね。今回のように自由奔放なアイディアがふんだんに詰め込まれたアルバムを聴くと余計に。

滝:今回は本来の自分たちにかなり近づけたと思うんですよ。『Termination』はメジャーに進出して最初のアルバムで気負いが凄くあって、ちょっと固い感じになってましたからね。それに対して、今度のアルバムはリラックスした状態で制作に臨めたのが良い効果を生んでいると思います。

菅原:作詞の面で言うと、リラックスできた部分と肩に力が入った部分が両方あるんですけどね。基本的に考えていたのは、もっと作品全体の一部として生きる歌詞にしたかったと言うか。俺の書いた歌詞が全部個人的なことだと捉えて欲しくなかったんですよ。“おれ”とか“僕”という一人称は出てくるけれど、そこに余り自分らしさを込めたくなかった。

──だからこそ“Vampiregirl”や“Faust”といった寓話をモチーフとした曲が重なったわけですね。

菅原:うん。ストーリーのある歌詞がいいと思ったんですよ。最初から物事の真理や普遍性を直接的に唄うんじゃなくて、本を読んで感動したとか、彼女が電車に乗って行ってしまったとか、そういう日常のありふれた物語を描いてみたかったんです。

──最後の『Living Dying Message』で唄われる“あなたは二度と孤独になれない”という歌詞は、楽観的にも悲観的にも捉えられますよね。僕は絶望的なまでに悲観的な意味で捉えましたけど(笑)。

菅原:どうとでも取れますね。その部分を書けた時は、自分でも凄くいいなと思って。タイトルは、死に際で遺すメッセージがずっと生き続けているイメージなんですけどね。“二度と孤独になれない”と言われた時はいくら説明されても理解できないかもしれないけど、いつか必ず判る日が来る。それはそのメッセージが生き続けているからだよ、っていう。音楽も、映画も、小説も、みんなそういう生き続けるメッセージなんだと思いますよ。

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