“みんなのうた”のように、いろんな人の鼻歌になってほしい
──前作の『SALE!』でやり残したことがこの作品では生かされているというのはあります?
有馬:全くないですね。例えやり残したことがあったとしても、それだけではなくてもっと膨らまして、もっと案を練って形にしてます。
──有馬さんはどんな時に曲を作ってますか? 常に作ってるイメージはありますけど。
有馬:そうですね、常に作ってます。トイレに入って鼻歌を留守電に入れてるぐらいです(笑)。
──『ハローグッバイep.』は、アルバムを制作した直後ぐらいから作り始めていたものになるんですか?
有馬:『smile』以外は形がありました。
──『ハローグッバイ』(M-4)はかなり卒業シーズンを意識した楽曲ですね。
有馬:卒業式にいい思い出があるんです。小学校の時に卒業式が終わって、音楽室までクラスの全員で走っていって、『巣立ちの歌』を1曲歌って泣いた思い出とか、『アゲイン』(『SALE!』収録)も大学を卒業する時に作ってますし、…淡い感じが好きなんです。サニーデイ・サービスの『白い恋人』なんかも同じ世界観で、出てくる色が白い感じなんです。
──ということは、毎回イメージされる色ってあるんですか?
有馬:色が出てくるから曲が書けるんですよ。キラキラしてたり…このキラキラにしてる気持ちは何なのかっていうので歌詞が出てくるんです。理論的に出てくるものではないです。出てくるまま書いているので。
──次の構想はあります?
有馬:ありますよ。バンバン出せます。本当はシングルみたいなのをちょこちょこ出したいんですけど、シングルは売れないらしいので(笑)。僕は家で音楽を聴いていた人間なので、バンドのアイテムが増えるのが楽しいんです。秋葉原の人も多分そうですよね。人間は集めたいと思うんですよ。
──コレクターになりたいんですかね。
有馬:そうそう。だから、そのうちものすごく売れたら全曲シングルで出しますよ。
──今回はサッと作れた感じですか?
有馬:サッとですね。
──今アルバムを出そうと言われたら、出せるだけの曲数はあります?
有馬:ありますよ。あとはメンバーががんばるだけ。
──でも、このペースで出して弱音を吐く人はいないですか?
有馬:弱音吐いたら辞めさせます、僕も含めて(笑)。
──今回レコーディングで工夫してみたところは?
有馬:そんなにないですね。自分の指や体から出る音を録ればいいですから。あとはエンジニアの岩田さんとの共同作業で作っていきます。
──有馬さんの頭に楽曲の大枠があって、そこから各パートの音は思い通りにできているんですか?
有馬:4人で重なればなんとかなるんです。最初にシンプルな状態であれば、どんな形にも変化できますから。だからシンプルな状態をどう作るのかが一番難しいですね。
──サウンドがこういう感じで、そこに有馬さんの歌声が乗ることでおとぎ話の曲にはなっていて、歌もひとつの楽器として成立している気がしますね。
有馬:それと同時に楽器もうたでなければいけないと思います。うたモノは全部がうたにならないと成立しませんからね。
──今後の野望はありますか?
有馬:“みんなのうた”のように、いろんな人の鼻歌になってほしいと思ってます。最近のライブにはファンになってくれた娘に連れられて、そこのお母さんも来てくれるようになってきているんです。いい曲書いてると思うんで、世代を越えて聴いて欲しいです。
──これから、おとぎ話がもっと広がっていきそうな勢いですね。
有馬:その世の中を見てみたいです。そこに本当におとぎ話がいればいいですよね。