一昨年、バンドを脱退していた井澤雄逸(g, key)が6年振りにバンドに復帰。オリジナル・メンバー4人によって再スタートを切ったタイムスリップ・ランデヴーから、ニュー・アルバム『Re'TIMES』が届けられた。フォーク・ロック、サイケデリック、80年代ニュー・ウェイヴといった彼らのルーツ・ミュージックが伸び伸びと表現されたバンド・サウンド、そして、少年のような瑞々しさと人生の深みを兼ね備えた歌。このアルバムがスプリング・ボードとなり、彼らは新しいピークに向かって歩き始める。『Re'TIMES』には、そんな手応えが漲っている。(interview:森 朋之)
『ELMIRAGE』と同じ布陣で新作に臨みたかった
──オリジナル・メンバーの4人が揃ったニュー・アルバムは、実に8年振りということですが。
近藤金吾(vo, g):そうですね。ホントに久し振りです。
──“久し振り”ということも含めて、いろいろとお伺いできればと思ってます。まず、アルバムが出来上がった今の手応えから教えて頂けますか?
金吾:そうですね…。今までのレコーディングの流れとは違っていたし、久し振り感っていうのを満喫してましたね。久々に昔の彼女とデートすることになって、そのままホテルに行って…。
井澤雄逸(g, key):そっちだ?(笑)
──いろいろやってるうちに思い出す、みたいな?
金吾:そうそう。そう言えばこいつ、こんな感じだったなぁ…って(笑)。リハをやってる時もそうでしたよ。
──タイム・ラグみたいなものはなかったですか? 4人のアンサンブルにおいて。
金吾:いや、雄逸が久し振りに戻ってきて、パーンと音を出した瞬間、“あ、こんな感じだったよな”って思いましたけどね。時間も掛かってないし、ギュッと元に戻っていくと言うか。不思議でしたけどね、それは。
──バンドだから、でしょうね。
井澤:そうでしょうね。バンドでないと、味わえないことだと思います。
──井澤さんがバンドに戻ってきたのって、2006年ですよね。
井澤:そう、まずライヴをやったんですけど、それが一昨年で。
──直接的なきっかけとしては、やはり“デビュー10周年”だったんでしょうか?
近藤泰次(b):そうですね、最初はそれがメインだったんじゃないかな。
──そして、新曲を含むベスト・アルバム『HAPPINESS FOR YOU』をリリース。新曲を収録するという意志は最初からあったんですか?
井澤:はっきりとは決めてなかったんですけどね。
金吾:ベスト・アルバム自体、それぞれが好きな曲を持ち寄って選曲するっていう感じだったんですよ。その流れの中で、オマケとして新しい曲を作るのもいいんじゃない? っていうことになって。まぁ、言ってみれば記念として作ったようなものなんですけど、それが良かったんですよね、やっぱり。
──手応えがあった?
金吾:そうですね。レコーディングができたらいいなとは思ってたし、「UNDER ONE SKY」が出来たことで、“この感じで、アルバムを作ってみようか?”って。
──去年、「WISH COMES TRUE」と「夏宙 ~ナツゾラ~」を先行配信シングルとして発表。その流れが今回のアルバムに繋がっているわけですが。
金吾:先にシングルをリリースすれば、周りも“アルバムを出そう”っていう感じになるんじゃないかって。作戦です(笑)。
──ははははは。
井澤:でも、楽しかったですよ、やっぱり。6年振りにこの4人でレコーディング・スタジオに入って、そこでも“ああ、こういう感じだった”って思い出すことが多くて。それに8年も経ってると、みんなそれぞれに進化してるじゃないですか。
金吾:退化してるところもあるけどね。
──それって、酒の量とかですか?(笑)
金吾:それもありますね。あ、そうでもないか?
泰次:減った人もいるし、増えた人もいるからねぇ。
井澤:溺れてる人もいるかもしれないし(笑)。でも、それぞれ変化してるところがあって、それを感じられるっていうのも楽しかったんですよね。
──“今の4人で、新しいアルバムを作りたい”っていうモチベーションにも繋がりますよね。レコーディング・スタイルの変化もありました?
金吾:いろいろあったと思うんですけど……今回、エンジニア兼プロデューサーをやってくれた方がいるんですけど、その人と一緒にやるってこと自体が大きかったんですよ、自分達としては。最後にこの4人で作った“ELMIRAGE”(『ELMIRAGE ~HERE TODAY, HERE AGAIN』、2000年1月発表)っていうアルバムがあるんですけど、その時も同じ人と一緒にやってたんです。何て言うか、その頃の自分達を知ってる人とやりたかったんですよね。
──同じエンジニアを迎えることによって、8年という時間を埋めると言うか。
金吾:それがやりたかったし、結果として良かったんじゃないかなって思います。さっき雄逸が言ってたように、音楽的な部分ではみんな進化してるから、それもしっかり出したかったので。
──なるほど。
金吾:今のタイムスリップ・ランデヴーってものを机の上に乗せて、“どういうことをやれば、一番上手く伝えられるか”っていうことを考えたんです。その上で、さらに間口を広げることができたらいいなって。そのことはハッキリしてましたね、レコーディングに入る前から。時間は掛かってますけど、レコーディングでも妥協はしなかったし、今の自分達がきちんと表現できたんじゃないかな。