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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】カオマイルド(2007年12月号)- 失敗だらけの人生だけど、その涙いつか光輝く時まで 泣き笑いのポップソング、ここに集結!

失敗だらけの人生だけど、その涙いつか光輝く時まで泣き笑いのポップソング、ここに集結!

2007.12.01

ボーカルは楽器の一部

──内田さんの詞は日記のような、自分が今まで体験したことを詞にされてることが多いですよね。

内田:そうですね。だから親に見られるのが一番恥ずかしい(笑)。こんなことあったの?って聞かれますからね(苦笑)。

──今回もさよなら系が多かったですが…。

内田:失恋が多いので…。

原田:声のトーンが下がっちゃったね(笑)。

内田:振られた時にどうしたら元気になれるかって書いた詞が多い。世の中の失恋で悲しんでいる人にはよくわかってもらえる詞だと思います。逆に『オーガスト』(M-3)は付き合う直前ぐらいの2人が海に行った時の詞なんですけど、これから恋が始まる予感をさせる。微妙な期間を描くのが好きなんです。『さよならフィーリング』(M-4)は、もうすぐ別れそう、もしかしたら別れてるのかなっていう。『井戸に落ちたような出来事』(M-8)もそうですね。

──『井戸に落ちたような出来事』はコミカルな歌ですよね。

内田:悲しい時も悲しんでるような歌は好きじゃないので、そういう感じになりました。ただ、それを作っている時は本当に悲しいんですよ(苦笑)。

──三井さんは『井戸に落ちたような出来事』のような恋愛をしたことありますか?

三井:僕は恋愛に対して執着がないから、こういう経験はあんまりないんですよ。振られてもこれだけたくさんの人間がいるんだから、次に誰か出会えたら良いじゃないですか。

──ということは、こういう恋愛の曲を聴いても理解できない?

三井:正直なところ…あまり活字で読んでないんです。詩の世界は太郎に任せているので、メロディーに良い感じで乗ってるか乗ってないか、うまいことはまっていればいいんです。

内田:スタジオで「コーラスやって」って言うと、まず「歌詞を教えて」って言われる。だから、この人たち読んでないんだなって思いますね。

三井:僕の場合、歌詞を読み込むという聴き方をしてこなかったので声自体が楽器っていう感覚なんです。聴きやすいか聴きやすくないか。だから自分たちで作る時もそういう基準です。洋楽を聴いていたっていうこともありますけど、歌詞カードを広げたことがない。もし、太郎の書く詞がはっちゃかめっちゃかだったら口を出すと思いますけど、信頼してますから。

原田:僕も同じですね。ちっちゃい頃から洋楽を聴いていたので、歌も含めて楽器的な聴き方をしていたんです。邦楽を聴き始めたのはここ2、3年なんですけどメロディーを追っているだけ。最近はようやく詞を読むことに慣れてきましたけど…。

──ということは、詞に意味がなくても良いって事ですか?

原田:メロディーの流れとの兼ね合いがおかしくなければ違和感は感じないです。

内田:そういう理由だとは知らなかったから、今日2人の話を聞いて良かったですよ。無関心なだけかと思ってました(笑)。

──私は詞を読んで自分に置き換えたいタイプなんですけど、アルバムの詞を読んで今までとは違ったんです。こういう表現の仕方もあるんだなって思いました。

内田:と言っても、いくら音を重視したとはいえ詞に意味は持たせたいので、ある程度はわかりやすい詞を書こうとは思っていますよ。

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カオマイルドのレコーディング方法

──全体的に音作りは相当凝っているように聴こえましたが…。

内田:曲のアイディアを伝えて、具現化してくれるのは原田くんと三井くんですね。それで、できあがったのをデータで送ってもらって、もっとキラキラした感じにっていうとイメージどおりに作り直してくれるんです。

──それをスタジオで合わせて?

内田:昔からやってる曲はスタジオで練ったりしましたけど、『燃えよ!カロリー』に関して初めて合わせたのがレコーディングの日。それまでは完全にデータのやりとりだけです。

原田:曲を作るときはスタジオに入る人って多いと思いますけど、僕等はそこにこだわる理由もなくて結果として良い曲ができれば良いんです。そういう意味で、『燃えよ!カロリー』はデータのやりとりで作っていくっていうのが効率的だったんです。

──他の曲は?

内田:アレンジの作業はデータのやりとりが多かったですね。

原田:アウトラインができたらスタジオで実際に演奏してみて、また練り直す。

──データのやりとりをして音源を作り上げるって、最近のバンドっぽいですね。

原田:今はそういう技術があるので、それを活用しない手はないなと思いますよ。結果的にいいものができればいいんじゃないかな。スタジオだと時間が限られているけど、家なら自分の時間を削ればいくらでも時間を作れるので。

内田:アイディアの出る量も違ってくる。スタジオをとっている2時間でやらなきゃっていうよりも全然違うよね。

三井:ある程度曲を理解してきてスタジオで合わせるほうが効率的だから。

──それによって、レコーディングの時間は短縮されるんですか?

原田:各々がバラバラに時間を費やしているので、実はそんなに変わっていないと思いますよ。でも、スタジオに入る時は(サポートベースを含めて)4人が時間を合わせないとダメだし、それなら全員が揃わないとできないことをやりたいですよね。アレンジは楽器の練習と同じで1人でできることなので、それを突き詰めたら今の形になったんです。根底にお互いに対する信頼感があるので、常に顔つきあわさなくてもやってくれるよねって。

三井:定期的にスタジオには入っているから家でできることは家でやっていくし、これで不定期に1ヶ月に1度しか会わないなら変わるけど。昨日作って来たあの曲は…って話ができてるから、メールは文章とか全くない添付ファイルだけの状態ですね。

──じゃあ一番いい形でやれてるってことですね。

内田:でも最近ですよ、添付ファイルの送り方を覚えたのは。必要に迫られて(笑)。

──ところで、『井戸に落ちたような出来事』はプロデューサーにALI-KICKさん(RomancrewのMC兼トラックメイカー)を迎えたそうですが、アレンジは全部お任せしたんですか?

原田:アウトラインは僕らが作ったんですけど、実際の楽器の配置とかは任せました。クラブで流せるような感じにしたいって明確に伝えていたので期待通りに作ってもらえましたよ。

内田:専門家の方にお願いしたほうがいいアレンジになると思いましたし、ノウハウを吸収したかったんです。勉強になりましたよ。

──もともとラップの曲はやられてましたよね。

内田:韻を踏むのが好きなので。

原田:それもうまいことできていて、音の流れとしてすごく綺麗に聴こえるので良かったなって思いますよ。

──こういうアレンジが今後は自分たちでもできるように。

原田:少しずつスキルを磨きつつという感じですね。

──『「All」for All』(M-6)はギターを聴かせてしっとりと。

三井:録音自体がアナログで、バイオリンもナマなんですよ。他の曲は基本的にバラで録ったのが多いんですけど、これは歌とアコギ以外「せーの!」で録りました。

原田:曲に一番あったやり方でやるのがいいかなって。そういう意味ではこだわりはないし、何かに執着することもないので、そういう自由さは僕らの強みかなと思いますよ。

内田:『「All」for All』は王道な感じの泣かせる曲を作りたかったんです。ストリングスを入れるのも初めてだったので、どこまでうまくできるんだろうかっていうのもあったし試験的にやったんですけど、うまいことガッチリはまって、またひとつ勉強になったな。

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