リスナーが自分の思い出に置き換えて聴ける曲を
──曲タイトルは『ラブミーテンダー』や『so sad about us』(M-5)など、エルビス・プレスリーやザ・フーを彷彿させますね。
ハノトモ:曲のタイトルはそういうものが多いかもしれませんね。『夢で逢えたら』は昔やっていたテレビ番組、『風がない』は井上陽水さんの『傘がない』みたいですしね。
──プレスリーとかザ・フーが好きなんですか?
ハノトモ:特別に好きというわけではなくて、『ラブミーテンダー』という言葉が使いたかったんです。言葉に魅力を感じていたので。
──言葉を重視するタイプだと?
ハノトモ:そうですね。歌詞も具体的にというよりは抽象的な歌詞が多いので、言葉のイメージをちりばめて作ってますね。
──歌詞全体を読むとラブソングではありますけど、ズバッというものではなく淡い水彩画のような詞が多いですもんね。
ハノトモ:そうなんです。その人によって思い出って違いますよね。抽象的のほうが、聴いている人の思い出に置き換えて聴けるというのがありますね。あまり押しつけがましくしたくないんです。
──例えば、この『傘がない』ですが…。
ハノトモ:傘じゃなくて雨です。陽水さんになってしまいます(笑)。
──そうでした(笑)。『風がない』でしたら、ハノトモさんがこの曲を書くにあたって、具体的にイメージした風景ってどんなものだったんですか?
ハノトモ:風がないって文法的におかしいですよね。これは、外に出たら雨が降ってジメーっとしていて風でも吹いてくれたらいいのにって思った日があって、それを詞にしてみようと思ったんです。風がないっていうのは退廃的なイメージがあって、いいんじゃないかなって。でも、あまり汚らしくしたくなかったので、歌詞は丁寧というか“月の下”とか“旋律”とか“五線譜”とか、そういうのをイメージさせる言葉を使おうかなと思ったんです。
──このアルバムの中で思い入れが一番強い曲は?
ハノトモ:『から回る世界』(M-2)ですね。彼女と別れた時に作ったんですけど、お互いフェイドアウト気味になってきていて、どちらから別れを切り出そうかっていう状態だったんです。それで言ってしまったときに、何もかもが違ってきたなっていうのが『から回る世界』。これは自分の思いを押しつけがましく言ってますね。『風がない』(M-4)と『夢で逢えたら』(M-7)は、自分の中では上手にできたな。『夢で逢えたら』は、レコーディングする日に勢いで録ったんです。この曲が一番新しくて、アルバムで昔のと今のが入っていて、次に繋がる感じになりましたね。
──ゆっこさんがsolarisに入るきっかけとなった『ラブミーテンダー』は、自分で叩いてみてどうでしたか?
ゆっこ:幸せでした。ライブでも絶対にやりたいって思うし、すごく好きな曲です。
──前のドラムと自分を比較したりしないですか?
ゆっこ:すごくしますよ。前は男の人だったのでパワーも違いますから、自分は別のできるところでどうやったらいいように聴かせられるかとか悩みますね。
──ケースケさんが弾いていて一番気持ち良かったのは?
ケースケ:『ラブミーテンダー』とか、『飛べない翼』(M-3)は、すんなり出てきた曲で、ライブで弾いていても楽しいですね。
──『飛べない翼』は良い曲ですよね。
ハノトモ:これまでライブでやっていてお客さんの反応だったりを見ていて、この曲がリード曲になったんです。
──リズム隊が力強く響いてましたが、けっこう作り込まれました?
ケースケ:そうでもなかったんですよ(苦笑)。その時に出せるベストでは作りましたけど。煮詰まるとかはなかったですね。
──全曲3分半ぐらいですけど、情報量が多いから3分半には聴こえない楽曲ですね。
ハノトモ:だから敢えて、短くしているんです。これで5分も6分もある曲だったら、聴いていて疲れちゃいますからね(苦笑)。
──ライブはどんな感じですか?
ハノトモ:CDを聴いて想像したライブとは180度違うと思います。昔は曲が暗い感じだからそれに合わせた方がいいんかなって、暗めの雰囲気でやっていたんですけど、自分の中でしっくり来なかったんです。だから、最近は思うままに楽しくライブをやって、曲はマイナーコードを使ってというギャップを楽しむようになりました。ライブはダイレクトにお客さんが楽しんでいるかを感じられるから、今はうまく伝わって来てるかなって思いますよ。
──普段ライブに出る前ってどんなことを考えてますか?
ケースケ:緊張はもちろんしますけど、いかに楽しくはじけられるかというところですね。
ゆっこ:4つ打ちの曲が多いので、お客さんに踊ってもらえるように。踊ってもらえたら安心してできるんで、なんとか踊ってもらおうと思ってます。
ハノトモ:ライブ前は固くならずにできたらいいかな。あとは元気よくやろうかなって考えてます。ライブを見に来てる人は元気が欲しいんだと思うんです。だから、僕らがそれを伝えられないと意味がないのかなって。僕らのライブを見てくれた人が、私の迷いなんてちっぽけなもんだって思ってくれるぐらいのライブができたら、それでいいんじゃないかな。
──CDだけ聴いたら神経質そうっていうイメージ持ちますからね。
ハノトモ:絶対ありますね。
youki:僕は、若さを前面に出して、どんだけ暴れてやろうかって感じです。
──若さ…って、今おいくつでしたっけ?
youki:僕21ですけど…。
──!! …み、、、見えないですね(苦笑)。
youki:僕今、冷たい東京の目を感じたな(笑)。
──(笑)失礼しました…。バンドとしての今後の目標は?
ケースケ:もちろん今みたいにライブをコンスタントに各地で出来ていったら良いですけど、もっと会場が大きくなっていろんな人に聴いてもらえるようにしていきたいと思います。
ゆっこ:楽しくできていけばいいなと思います。やってる方も見てくれてる人も楽しかったなって思えるのが目標ですね。
ハノトモ:この間初めて東京で自主企画をやって、それがすごく楽しかったんです。今後も何かできればいいなって思ってます。スタンス的にはお客さんの立場でお客さんが楽しめることだけを考えてやりたいかな。私だったらこうしたいと思うのを僕ができたらないいな。
──その方が親しみやすかったりしますからね。
youki:僕みんなも言ってるように、お客さんと一緒に楽しくライブができれば。僕の若さをみんなに分けられたらと思ってます! 楽しく、楽しく、やさしくね!
──…年のわりには言うことが古いですね(苦笑)。