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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】MICRON' STUFF(2007年9月号)-従来のイメージを覆し、新たな境地を切り開いた輝く5つの集合体『Scrap?』

従来のイメージを覆し、新たな境地を切り開いた輝く5つの集合体『Scrap?』

2007.09.01

5月23日に2nd.ミニアルバム『25』、8月22日にはスガシカオさんが参加されているシングル『Precious』とリリースが続いているMICRON' STUFFから、早くも3rd.アルバム『Scrap?』が届けられた。ロックやダンスサウンドが基調となっていたこれまでの楽曲に比べると、今作はブラックミュージックにスポットをあて、アコースティックサウンドやダンスクラシック、レゲエも取り入れたファンクポップな作品に仕上がっている。前日まで『Scrap?』の制作が終了した直後のインタビューとなった。「夏を体験していません」とBINGOさんが言われていたとおり、今年の夏は『Scrap?』の制作に費やしていた彼らだったが、そのエネルギーがこれからもずっと聴いていたいと思う最高の1枚となって生み出された。(interview:やまだともこ)

欠点だって長所になる

──リリースが続きますね。『Scrap?』はいつぐらいから制作に入っていたのですか?

BINGO:『25』を出してすぐぐらいですね。その期間中に『Precious』ができてシングルとしてリリースしたり、制作期間としたら2ヶ月半ぐらいでしたね。

──これほどの短期間だと、ミニアルバムに入れる曲数を作るのも大変だったんじゃないですか?

BINGO:それが、デモの段階では曲がもっとあったんですよ。最初にデモをいっぱいあげて詰めていったんです。7月の後半からレコーディングだったので、そりゃ急ピッチでやらないと!と。トラック先行だったのでできるところからレコーディングをやったんですよ。『Face off』は、レコーディングで返ってきた音源が全然違ったりしたんです。歌を乗っける前だったんで、そこから歌を作り出したりしてレコーディングの前日までヒーヒー言ってましたね(笑)。

──タイトルは『Scrap?』ですが、これにはどんな意味が込められているんですか?

BINGO:『Scrap?』は“必要ないものですか?”っていうことです。自分の欠点ってありますけど、欠点があるほうが人間ぽくて好きやなって思ったんです。欠点だって長所になるから、ネガティブに捉えてるんじゃなくてポジティブに捉えよう。この作品を聴いてくれる人に、自分が欠点と思っているところは本当に欠点ですか? 本当にいらないところですか? っていう問いかけですね。

──欠点こそ最大の長所っていいますからね。

BINGO:ほんまにそうやと思いますね。

──全体的に曲もポジティブですもんね。

BINGO:そうですね。内容はめちゃくちゃ情けないと思うんですけど、ポジティブなんですよね。情けないことをポジティブに考えて、それをどう生かすかで人間の度量がわかるんですよ。

──『25』ではロックやポップの要素がふんだんに使われてましたが、『Scrap?』では大人びたクールなサウンドが増えたと思ったんです。そういう曲になったきっかけってどこかであったんですか?

GEJI:その時に作りたいとイメージしていた曲が『25』で出来て、逆のことがしたいと思ったのかもしれないですね。

──先月のインタビューでは、曲作りをしているとうっかりマイナーコードの曲になってしまうと言われてましたが…。音は耳心地が良いですよね。

GEJI:前やったらいろんなことをやってみたくてサウンドに取り入れていたんだけど、今回は曲としてまとまったものを作ろうという感じが出来てきましたね。

──『STROBO』(1st.シングル)の2曲目になっていた『Don't hold,Let go! 』では鈍行電車に乗ってる歌でしたが、今回は全体的に新幹線のグリーン車で移動しちゃうような華やかさがありましたね。

BINGO:それは嬉しいかな。嬉し恥ずかしやね(笑)。

──これは日野ケンジさんがプロデュースをされたということも影響しているんですか?

GEJI:詞で感じてはるところはケンジさんの影響を受けてますよ。『Face off』は特にそうです。

──『Face off』は雰囲気がすごくセクシーな曲でしたよね。詞は情けない男の子ですけど色気があって、今までにないサウンドだったのでMICRON' STUFFの引き出しの多さを実感しましたよ。

GEJI:トラックを大人っぽくしたいというのは毎回強く思っていたことなんです。それをどう形にするかっていうのがなかなかできなかったんですが、ようやく形になり始めたんですよ。

──アコースティックギターもいいバランスで入ってますしね。

KENGO:レコーディングの時に初めてアコギをかぶせたんです。普段はアコギ1本で弾いているんですけど、ケンジさんのアイディアでレコーディングの手法もいろいろ考えてやってみたんです。アコギをかぶせることによって音に透明感が出るって。

──新境地が出たという感じですよね。

KENGO:さっきBINGOも言ってますが、『Face off』はデモの段階では全然違う感じだったんです。レコーディングやって歌詞の内容も変えて二転三転していきましたね。トラックの雰囲気としてはすごく良くなりましたよ。

──レコーディング現場で変わっていく事って多々あるんですか?

KENGO:『Face off』以上のものはないですね。

──こんな感じでやってみましょうと言うのは、日野さんからアイディアがポンポン出てくる感じなんですか。

BINGO:そうやな。「やってみな」って感じで言われますね。

SHIGE:とりあえずやってみて、最終的にその中から抜き差しするんです。

──そういう意味でもScrapなのかもしれませんね。

BINGO:ほう(笑)。Scrapになったトラックはめちゃくちゃありますね。ほんまいっぱい録って、結局使ったのはドシンプルなものだったり。

SHIGE:日野さんはずっと「シンプルがいい!」って言われてましたね。

──『レディーファースト』のベースは前に出て気持ちよかったですね。

MUNEYOSHI:あれは僕が考えたベースラインをケンジさんが残し続けてくれたんです。

──日野さんと同じベーシストとしてアドバイスは受けました?

KENGO:褒められてるところのほうが多かったよね。「おぬし、いいよ!」って(笑)。

BINGO:ある程度褒めてくれますね。でも、「それダサイ」とかもはっきり言ってくれます。だからすごくわかりやすい。褒められてる時は褒められてるんだって思いますし、全部ヨイショする人では絶対ない。

SHIGE:僕らが考えてたフレーズだったりを大事にしてくれる人で、それありきでリフを生かすにはどうすればいいかって進めてくれて、すごく勉強になりました。

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