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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】SPORTS(2007年8月号)- 第1期SPORTS活動休止。

第1期SPORTS活動休止。

2007.08.01

RooftopがSPORTSに初めてインタビューをしたのが2005年6月。何て不思議な方なんだろう!(伊藤さんが...) というのが第一印象。それから何度もインタビューをさせていただき、お話をする度に彼らの魅力にはまっていった。だから、その2年後にまさか活動休止になるとは思ってもいないことだった。休止になるという話を聞いたとき、もう一度SPORTSと話がしたいと思った。これまでのSPORTS、残念ながら活動休止を選んだSPORTS、そして彼らの今後。何度もベースのメンバーチェンジを繰り返し、伊藤寛之(Vocal&Guiar)と大石貴義(Drums)の2人となった彼らの激動の5年間を振り返る。今回は伊藤さんのみのインタビューとなったが、彼らがどれだけSPORTSを愛していたのかを知ることができた。SPORTSは終わるのではなく一時的なお休みに入る。音楽を作っていく者としての活動は終わることはない。これからも、長い旅は続いていくのだろう。(interview:やまだともこ)

1人で続けるならリセットしたかった

──いきなりお聞きしてしまいますけど、なぜ活動休止になってしまったのでしょうか。

伊藤:今年の2月に東京と大阪でワンマンをやって、その後スケジュールが決まっていなかったので、ちょっとライブまで一休みして、これからどうしようか考えようかなっていうところだったんです。そのときに大石君から呼び出されて「地元に帰らなければならなくて、ドラムを続けることができなくなった」と。本人はすごく悩んだみたいです。続けたいけど続けられない状態になったから、「伊藤君がSPORTSを続けたいなら脱退っていう形にする」って言われて。でも、SPORTSを結成して何度かメンバーチェンジを繰り返してきて残ってるのは僕と大石君だけなので、大石君が辞めるって言ったら僕も辞めようと思っていたんです。その日はそのまま家に帰って考えた結果、休止するのが良いんじゃないかと。

──SPORTSは大石さんと2人で作り上げてきたものという意識があったんでしょうか。伊藤さん1人でもSPORTSを続けようとは思わなかったですか?

伊藤:1人でやるんだったらリセットして別でやりたいと思ったので、1人で今あるバンドを続けるというのはどうなのかなって思ったんです。

──活動休止は解散とは違うんですよね?

伊藤:違います。解散したら、またやりたくなったときに再結成しなければならないから。第1期SPORTSが活動休止という感じですね。

──SPORTSとして歩んで来た道はどうでしたか?

伊藤:いい経験になったというのが一番です。

──どんなことが勉強になりました?

伊藤:最初は自己満足で音楽活動を始めて、誰に発信するわけでもなく曲を作っていたものが、だんだん環境が出来てきて気づいたらメジャーデビューして、人と人との関係を考えて音楽に接するようになりましたね。

──いろんな人が関わって築き上げるものですからね。では、SPORTSとして幸せだったことは?

伊藤:自分らのことを好きだと言ってくれる人がいたというのが一番じゃないですかね。でも、やっぱり100%自分がやりたいことをやれたかというとそうでもないんです。自分の中で考えすぎた時期もあるし、続けることは難しいと思いながらやっていたときもあるので、活動全部が楽しかったかと言ったらそうでもなかったですね。でも、苦しいこともいろいろあったんですけど、そういうものを全部含んだ上で自分たちが作った曲を好きになってくれて聴いてもらえてるって思えた瞬間が何度もあったんです。新曲を聴いたときの感想だったり、ライブの感想だったり、お客さんや周りの方との何気ない会話だったりするんですけど、そういうのが続ける原動力になってましたね。

──やりたいところが全部できてなかったところもあるというのは?

伊藤:SPORTSというバンドを自分で作っておきながら、結果的にSPORTSという枠の中でもがくことになってしまったんです。それが自分の中でうまいこといかなかったりしたんです。例えば、もっとアバンギャルドなことをしたいとかめちゃめちゃなことをやりたいと思っても、SPORTSっていう枠で考えるとブレーキがかかっちゃうことがあるんです。

──これはSPORTSじゃないかもということ?

伊藤:そうです。聴いてる人からしたら関係ないのかもしれないですけどね。でも宅録してネットにアップするだけだったらそれでいいのかもしれないけど、SPORTSという括りがあって、何かしらのイメージがついていた中で、これがやりたいことなのかって思ったこともありましたよ。そういうもんなんですよね。

──具体的に、どういうことをもっとやっていきたかったんですか?

伊藤:感覚の話になりますけど、自分がやりたかったことってポップスとそうでないものの境界線があるとしたら、そのギリギリのところをいかに曲で表現しているかというのがあったんです。僕はポップスすぎるのもあまり好きではないし、かと言って聴く人にとってわかりづらいものも面白くないと思うんです。それって、自分の中で閉じてる感じがするんです。言葉にできないところなんですけど、その中間のところでいかにギリギリでやるかということを考えていたんですが、結論としてはギリギリでやりすぎたな(笑)。ちょっと糊がはみ出てるぐらいが聴いてる人はわかりやすかったのかな。糊が見えないぐらいギリギリすぎたという気がします。

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