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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】SPORTS(2006年12月号)- よりロックに。新たなる境地を見つけたSPORTSのニューアルバム『PUZZLE』リリース!!

よりロックに。新たなる境地を見つけたSPORTSのニューアルバム『PUZZLE』リリース!!

2006.12.01

SPORTSの2年ぶり、ニューアルバム『PUZZLE』が遂に完成! これまでのキーボードを取り入れたダンス調の楽曲に比べ、今回は3人で出せる音にこだわり、シンプルでロック色の強い作品となっている。新しい可能性を追求したSPORTSが第一歩を踏み出した。ページ下部で掲載しているSPORTSのボーリング対決の後、この作品が完成した経緯を伺った。サラサラ流れる小川の様に流暢に話をしてくれる伊藤氏。でも、今回もやっぱり彼の本性が掴みきれなかった......。(interview:やまだともこ)

平凡な日常をいかにドラマティックにするか

──ニューアルバム『PUZZLE』。パズルって1ピースごと作り上げるもので、その辺からイメージして付けられたタイトルなのかと思ったりしてるんですが。

伊藤(Vocal&Guitar):自分らの音楽は統一感がないんですけど、それが集まって1枚のアルバムになってるというところがパズルのイメージとうまくあったなって思います。

──もともとSPORTSってダンスっぽい曲が多い気がするんですけど、イメージ変えたのかなって思ったんです。アコギの曲があったりロック色が強い曲があったり、いい意味でイメージが固定しない!これがSPORTS!っていうのがないかも。

伊藤:確かに(笑)。あれもこれもやりたいって感じがあって今回はロックモードだった。今はサポート入れて3人なんですけど一度に出せる音は3人の音しかないので、それだけでも成立できるようなアルバムにしようって。

──あと、今までの伊藤さんが書く詞って“僕”のことだけが歌われていたけど、“君と僕”がメインになった曲が多くなった気がしました。

伊藤:相手に向かって発信するっていう目標で作っていたのもあるので、“君と僕”っていう歌詞になるようにしたんです。今までの自分と違う見方をしている歌詞を作ってみたかったんです。出来た曲を見て、意識して作ると違うんだなって思いました。今までは歌うことを意識する事があまりなかったんですが、歌うということについて考えるのは自然なことなのかなって、考え方が違うとできるものも違うなーって。

──これまで何度かインタビューさせていただいて、最初は「自分すら信用できない」、2回目は「ちょっと(僕の事を)信じてみてよ」。3回目で“君と僕”を歌えるようになったところは変わってきてますよね。

伊藤:何か得ようとしてる気はします。自分から動いて取り入れようとしないと身に付かない。考え方だったりやり方を相手に望むより、自分で変えようと思えるようになった。フルアルバムは2年ぶりですけど2年経つと環境も変わってくるし、考え方も変わってくるので逆にそれが自然なことだったんだなって。自然至上主義としては(笑)。

──自然至上主義(笑)。伊藤さんって常に冷静な人に見えるんですけど、大石さんから見てどんな人ですか?

大石(Drums):僕は熱い男だなって思うんです。

──へぇ〜。こちらに写る伊藤さんは淡々としてそうなのにドラマティックな曲を作る。そのギャップがおもしろいなって思うんです。

伊藤:普段生きていて刺激なんてほとんどないじゃないですか。でも他人から見た僕の日常がシャレたものじゃなかったとしても、本人はセンチメンタルに浸ってたりするんです。たとえば今ここでフレッシュハーブティーを飲む俺、みたいな(笑)。この場合、俺がかっこいいとかじゃないんです。どんなに平凡な日常でも、それを素敵だと感じるとか、ひねくれ具合が周りから見たら情熱的なのかなって思います。自分の中でドラマチックに感じたりとか、そういうのが元になっていると思うんです。

──男の人ってドラマティックなものが好きなんですかね。

大石:僕は求めてますね。

伊藤:それって曲作ったりとか音楽に何か感じるパワーになると思うんですよね。家で好きな音楽を聴いていて自分がスタジアムで歌ってるかのように聴いてたりとか、そういうのない?

大石:…あんまりない。そこまでいかない(苦笑)。

伊藤:曲を作るコツはそこなんじゃないかなって最近思うんです。U2みたいなスタジアムロック系を聴いて自分は完全にボノになっちゃうわけですよ。そうするとスタジアムロックが作れたりして、最初はなりきりなんです(笑)。

──今回ロック系が多かったのは、そういうことだったんですか。

伊藤:そうそう、わりとロック系を聴いてたんですよ。ロックって人間くさい音楽なので、そういう音楽を求めてたんです。『Sing』(M-6)もロックの平行線で60年代のものを求めていて、アコースティックサウンドを入れたいなと自然に思ったんです。ピアノの弾き語りもあったんですけど、ピアノって自分では構えちゃうところがあったので…。

──こういうアレンジの案は全て伊藤さんが?

大石:僕は伊藤君が出してきたものに対して「それいいね」みたいなかんじ。

伊藤:アルバムを作っていく中で、ボツになった曲もあったんです。その判断は大石君とサポートのベースが気に入るかどうか。2人が乗らなかったらそこまでなんです。

大石:まずいこと聞いちゃったね(苦笑)。

伊藤:最初のリスナーだから。そういう意味では今回収録した曲は2人が乗ってくれたような気がします。

──大石さんが今回涙した曲はどれですか?。

大石:『ラブリーガール』(M-8)です。雰囲気からしてもってかれちゃうんです。

──その曲の“アメーバ”と“チョコレート”が同居する詞、ますます伊藤さんの思考回路が気になります(笑)。ところで、この曲の綺麗な女性のコーラスが聞こえて来たんですが…。

伊藤:声モノは基本僕が…。期待を裏切ってすみません(笑)。

──失礼しました。あまりにも高くて綺麗な声だったので…。じゃあ『Moonbeam』(M-4)の“ノアの方舟”というところは、あの“ノアの方舟”ですよね。

伊藤:そうです。でも、だからと言って伝説っぽくしたいっていう意味ではなくて、リセットの象徴という感じで使ったんです。ナルシストの象徴みたいなもんですよ。別れ話しているのにドラマティックに現実逃避したい俺っていう感じ。月明かりとかドラマティックじゃないですか。ははは。大丈夫ですか?俺。

──だ、、、大丈夫だと思います。伊藤さんは日常をドラマティックにして詞にするタイプなんですね。

伊藤:僕はですね、人と話すときに事実が面白くなかったとしても、いかにおもしろく話せるか。歌詞にしてもフィクションであろうがノンフィクションであろうが聴く人がおもしろければいいわけで、それを返すと照れ屋なんです。だからごまかしたりするんです。僕の書く歌詞は直接的にはわかりづらかったりすると思うんですけど、素直に言えなかったりとかそんな自分が好きみたいな(笑)。なんとなく伝わるものがあればいいなって頑張って書きました。

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