Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】仲野茂(アナーキー/SDR)×シズヲ(ニューロティカ)(2007年8月号)- ニューロティカ ロフト通算ライブ回数200回記念! カウントダウン対談その1

ニューロティカ ロフト通算ライブ回数200回記念! カウントダウン対談その1

2007.08.01

周りが変わっても、シズヲさえ変わらなけりゃ問題ないよ

──そういう意味ではこれも昔話になってしまいますが(笑)、ちょっと西新宿のロフト話もしたいんですけど。

茂:やっぱりロフトっていうのは「これぞライブハウス」っていうイメージだな。ロフトにさえ出れば「オレはロックをやってるぜ!」って大手を振って言えると思ってたから。それで、当時はARBとアナーキーとルースターズで動員記録を競争しててさ、みんなロフトの帝王になりたいわけよ。まあ最後は……オレたちが勝ったんじゃないかな(笑)。

──それで夜もしょっちゅう居着くようになったと。

茂:ワンマンを出来るようになってからは「ロフトに出ているアナーキー」みたいな称号を与えられたような気になって、自分の家のように使わせてもらってたね。まあ、よくもあれだけロクデナシどもが集まってたなって思うけどね。最近はそういうヤツらは少なくなっちゃったのかな。

シズヲ:確かにライブハウスは変わらないのに、中に集う人はどんどん変わってる気はしますね。

茂:ロックが商売になってみんな上昇志向になって、ライブハウスも通過点みたいになっちゃったから、それはやっぱり集わなくなるよね。オレらの前の世代にはゴールデン街があって、映画とか舞台のヤツらが毎晩「てめえの作品はクソだ」とかなんとかいってケンカしてるって聞いててさ、そういうのが羨ましかったの。だからオレにとってロフトは痛快だったね。ゴールデン街ともまた違ってインテリ層じゃなかったし、バカ丸出しのロクデナシばっかりでさ。

──その最後の方に入ってきたニューロティカって、やっぱり周りからかわいがられていたっていう感じなんですか。

茂:まあ、その頃はもう80年代のバンドたちがあまり来なくなってた時期だからな。そこへロティカとかG.D.FLICKERSとかが来るようになって、上手く廻ってるんだなって思ったよ。新宿ロフトのすごいところって、そうやって脈々と残っているっていうことだからね。

シズヲ:なるほど。茂さんってすごい先輩なんだけど、こうやって一緒に話させてもらえるようになって、すごい身近な所で話せる存在だなって思います。勉強になりますよ。

茂:オレは年功序列って大っ嫌いだからね。オレよりも若いヤツでもジジイでもイケてるヤツはいるからさ。ただイケてるヤツと遊びたいんだよ。

シズヲ:それはちょっとわかりますね。僕もニューロティカっていう23年続いているバンドに入って活動してるので、すごいリスペクトしてくれてる若い子とかもいるんだけど、それが逆に居心地悪い時があるんですよ(笑)。

茂:ステージ立ったらそんなの関係ないからね。

シズヲ:ただ、周りからそういう扱いをされていると、いつも全部お膳立てされてないとイヤだみたいな雰囲気が出てくるバンドもいたりするんで、そういう風にはなりたくないとは思ってますね。ものすごいひどいギター弾いたライブの後でも「今日良かったですよ~」とかいわれて、それで調子に乗っちゃダメですよね。

茂:そういうヤツは信用しなけりゃいいんだよ。周りがどう変わろうと、どういわれようと、シズヲさえ変わらなけりゃ何にも問題ないよ。まあ、オレも酔っ払って調子こいて偉ぶっちゃう時もあるけど、それはそれでオレの中では問題ないからね(笑)。それでもオレは「キング」だ「殿」だ「王子」だなんて呼んでくれとはいわないからさ(笑)。そうなっちゃうと逆にもったいないというか、一緒にしゃべっててもリアリティーが薄れちゃうじゃん。壁が出来ちゃうから。

シズヲ:そうですね。ポンッて上にあげられた時の自分って、自分で感じている本来の姿とは絶対に違うから。そこで持ち上げられて話されてもオレは気持ち悪いんですよね。周りから持ち上げられて「オレってすごいんだ」って勘違いしてる自分を想像すると悲しいなって思いますよ。インターネットのBBSなんかでも「この前のアルバムはあまり良くなかったです」とか書かれると、すごい悲しいけどそれを無視して褒め言葉だけ探すとか、それじゃあBBSの意味がないですよ。色んな意見があるっていうのを受け止めればいいのであって、そこでいい意見しか聞けなくなっちゃうのはマズイと思うんですよね。

茂:オレなんか、いい意見と悪い意見が7:3くらいだと嬉しいと思うよね。みんながみんなほめてたら気持ち悪いよ。まあアナーキーのBBSなんか、酔っ払って「バーカ」とか書き込んだら管理人にメンバーの書き込みが削除されたからね(笑)。「そんなこと書いたらBBSが荒れますよ」とか言われて。「荒れろ、そんなもん! 誰のホームページだ!」って(笑)。荒れたっていいじゃん、誰でも書き込み出来るっていう自由さがいいんだからさ。確かに何度も何度も同じようなことをループして書いてるくだらないヤツもいるから、それはどうかと思うけど。

シズヲ:打たれ弱い人が多いような気がするんですよね。常に褒められてないと不安っていう。

茂:逆に(藤沼)伸一なんかは、マゾかよっていうくらい攻撃されてないと落ち着かないんだけどね(笑)。

──まあ、ニューロティカ新宿ロフト出演200回ということでの対談なんで、最後にそれに向けてのコメントをお願いします。

茂:ニューロティカが200回やったというよりも、200回もやりたくなるようなライブハウスってことなんだろうけどね。ARBとアナーキーとルースターズの動員記録を塗り替えようって競ってた時期があったけど、動員数には限界があるから、その後でニューロティカは日数で勝負してきたから。そういう発想は面白いと思うよね。それで、こういうイベントでニューロティカにオレらも呼ばれて嬉しいよ。こういうことがあると、まだまだやり続けたいなって思うからね。

シズヲ:いやいや、こちらこそよろしくお願いします。200回は200回なんだけど、オレが入る前からの記録だし、個人としてはまだまだって思ってなきゃダメだと思うんですよ。200回もロフトに出てるバンドでギター弾いてるんだぜってあぐらかきたくないと思うし。自分にとって通過点でもあり、ニューロティカとしても通過点だからね。まあ打ち上げでこれからも迷惑かけると思いますけど、よろしくお願いします。

このアーティストの関連記事
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻