酒とは男心を育てるもの
──「ぐでんぐでん」はショーケンさん(萩原健一)のカヴァーですが、アレンジで気にした点っていうのは?
上原子:もともと原曲のアレンジが凄く良いから、俺達がやるにはどうしたらいいかって考えたときに、やっぱりテンポアップしてノリのいい感じにした方がいいなって思って。原曲はかなり長いから、飽きさせないで聴かせるように、上げるところと落としどころを作るのは考えたよね。あとは、アコギをいっぱい重ねて。計20本ぐらい入ってて、ひとりジプシー・キングスみたいな(笑)。ちょうどそのとき家でジプシー・キングスを聴いてたから、ちょっとやってみようかなって思って。
──そういう、友康さんがそのときハマってるものが出てくるっていうのは多いですよね。
上原子:もう絶対出て来ちゃうね。
増子:アレンジはそうやって意外なところから影響されてるね。影響っちゅうか、そのとき聴いてるものを「こんなん面白いんじゃないかな?」ってやってるから。
清水:あれね、アコギが入ってないリズムトラックだけのやつ聴いたら全然違うんだよ。結構音がガリガリしててビックリした。
上原子:シミは途中でチョッパーやってるんだよね。
清水:違う、あれは「チョッパーみたいなもの」だよ(笑)。
増子:俺はカラオケでよく唄うから、唄真似しないようにするのが大変だったよ。ショーケンさんは唄い崩しも上手いから、すぐ真似したくなっちゃうからね(笑)。それを避けてやらなきゃって。
──ちょっと声も似てらっしゃいますもんね。坂さんは如何ですか?
坂詰:これまた難しいか簡単かっちゅう話になっちゃうんですけど…難しいんですよ。
増子:だから、坂さんが難しいかどうかっていう話じゃないんだよ!(笑)
坂詰:まぁ素晴らしくスムーズには出来てないんですけど、でも頑張ってやりました。
増子:言い訳コーナーだからね。毎回「苦手なんだけど頑張ってやりました」って(笑)。
──(笑)ラストの「ビール・オア・ダイ」は4人がそれぞれヴォーカルを取っているヴァージョンですけど、バックはアルバム収録ヴァージョンと同じですよね?
増子:そう。いつもレコーディングが終わった後に遊びでこういうのやるんだよね。
上原子:今までも「一番星ブルース」とか「唐獅子牡丹」を坂さんに唄わせてみたりとか。で、今回はみんなでやろうって。
増子:坂さんは唄ってるうちに段々上手くなってきちゃって、破壊力がなくなっちゃうから勿体ないんだよね。今回ちょっと上手かったもんね。
上原子:坂さんの「真っ黒け」が聴きどころだよね。
増子:「け」がいいんだよ。
清水:あの「け」はいいよね(笑)。あんなひっくり返り方できないもん。
──(笑)じゃあリスナーの皆さんは是非そこに注目して聴いて頂くということで。
増子:でも、これ収録するかどうか最後まで迷ったからね。最初にこれで俺達のことを知られたくないっていう(笑)。
──そこは「二次会編」ってサブタイトルがついてますから、余興的なものってことで(笑)。それと、今回はジャケが随分と怒髪天のイメージと違いますが。
増子:ジャケはね、俺達がお酒の音源出すっつったら、日本酒のラベルみたいな筆文字で漢字で書いてあるようなのがハマると思うでしょ? だから絶対そこじゃないところに行ってやろうと思ってさ。アメリカの田舎のバーに貼ってあるような、いなたい感じにしたいなと思って。これを見て「なんかオシャレになったな」って思ってる奴がいたら…ちょっといいよね(笑)。
──間違ってオシャレだと思って誰か買っちゃわないかな、みたいな。
増子:そういう奴いたらアタマおかしいよね(笑)。よく見たらバカらしいにも程があるから。タイトルとかバンド名も漢字にしてみたり色々したんだけど、漢字が入ると冗談のクオリティが下がっちゃうんだよね。だからもう『V●GUE』の表紙みたいにして。
──『VOG●E』ですか!(笑)冗談が三周ぐらいして、ある意味怒髪天らしいジャケと言えるかもしれないですね…。では最後に、皆さんにとって「お酒とは何か?」をお一人ずつお願いします。
上原子:一日の最後に飲むものだね。お酒がないとその日が締まらないかなっていう。お酒を飲んで一日がリセットされておやすみっていう感じ。
坂詰:酒とは……蒸留したアルコールですね。
増子:…だだスベりだからね。
坂詰:まぁ精神的なところでは、その日の疲れを癒す魔法の水である、と。
増子:それ、俺のパクりじゃん!(笑)まぁ一言で言ったらガソリンだよね。あと、諸刃の剣であるっていうところがイイよね。自分の精神状態で良くも悪くもなるっていう、言わば鏡のようなものだと思うよ。
清水:酒とは、母乳であり羊水である、と。赤ちゃんが母乳を飲むように俺達はお酒を飲んで成長して、羊水の中で愛されて育っていくっていうね。まぁ、男心を育てていくものだね。