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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】増子 直純(怒髪天)×三遊亭 小遊三 後編(2007年6月号)- 憧れの小遊三師匠と落語をめぐる大放談!

憧れの小遊三師匠と落語をめぐる大放談!

2007.06.01

師匠はかなりの“ロック顔”ですよ!

増子:古典落語をやる噺家さんというのは、例えるならば腕のイイ料理人だと思うんですよね。人参とか大根とか、大昔からある素材を同じように与えられても、旨い料理を作る人もいれば、不味い料理を作る人もいる。その先人が作った旨い料理をさらにアレンジして美味しく食べさせてくれるのが、この現代に古典落語をやる噺家さんじゃないかな、と。俺達にしてみれば、カヴァー曲をやるなり、トリビュート・アルバムに参加するのと一緒ですよね。与えられたお題を頂いて、参加するバンドでそれぞれカヴァーをした時にどれだけ自分達の色を出せるかというね。それは“大喜利”にも近いかな。あと、落語とロックの共通点を敢えて挙げるならば、どちらも堪能するならやっぱり生=ライヴが一番ってところですよね。

z_03.jpg小遊三:それはもう絶対そうですよ。間違いないでしょう。落語をやってる空間なんてバカバカしいもんだけど、ロックのライヴだってお客さんみんなで手を挙げて踊ったりして、バカバカしいもんでしょう?(笑)

増子:仰る通りです(笑)。それを伝えるべく頑張ってるんですけどね。ライヴでお客さんに自分の感情を投げかける時の大きなポイントは“顔”じゃないかと思うんです。“顔面ロック”っていうか、俺も毎回凄まじい形相をしてますからねぇ…。今思えば、自分が好きだった昔の芸人や俳優は、普段会ったら怖そうな顔をしてましたもんね。その意味で、師匠も相当イイお顔をされてると思うんですよ(笑)。昔、『笑点』の“大喜利”で師匠が悪人面イジリされてたのは最高でしたからね。だから、師匠のお顔もかなりの“ロック顔”だと俺は思うんですけどね(笑)。

小遊三:ははは。“大喜利”のキャラクター作りっていうのは、なかなか難しいもんなんですよ。楽ちゃん(三遊亭楽太郎)の“腹黒”なんて、いいの見っけたなぁと思ってね(笑)。あいつは普段から人の粗探しが実に上手いんだけど(笑)、それは世話焼きで細かいところまでよく気が付くからなんですよ。

増子:“大喜利”は是非一度経験してみたいんですよねぇ…って、なんでバンドマンがそんなこと考えなくちゃいけないんだって話ですけど(笑)。最近は、正式に司会になった(桂)歌丸師匠の間合いが絶妙ですよね。

小遊三:うん、あの人は天才ですよ。やっぱり腹ン中に“大喜利”が入って身体に染み込んでるんでしょうね。41年間やってんだからね。(三遊亭)圓楽師匠から司会が変わっても何の違和感もなかったから、そりゃあ見事なもんですよ。

増子:ここ最近は落語がブームだから、“大喜利”をきっかけに落語に興味を持つ若い人がもっと増えたらイイなと思いますよね。二度は笑えない行き当たりばったりの一発芸がテレビで流行ってますけど、落語は完成度の高い芸ですから。

z_04.jpg小遊三:そうですねぇ。『エンタの神様』なんかに出てくる3人組やコンビの掛け合いを見ると、ありゃ凄い稽古量だね。あれはよっぽど稽古しなけりゃ、2、3分の短い時間であれだけの動きはとてもできないですよ。

増子:演劇に近いですよね。

小遊三:そうそう。噺家みたいなイイ加減さがまったくないよね(笑)。だから、噺家がテレビに出てもインパクトが弱くなっちゃう。芸の完成度は高いかもしれないけど、2、3分で勝負しろって言われても噺家はダメだねぇ。まぁ、テレビの世界は一発芸じゃないと見てくれない昨今だから、しょうがないよねぇ。

z_05.jpg増子:いや、落語もロックもライヴにこそ真髄アリですよ! 今回、こうして師匠と対談をさせて頂く機会も得たことですし、今後にゅうおいらんずと怒髪天が同じステージに立てればイイなと思うんですけど…。

小遊三:いやぁ…イイんですかねぇ?(笑) 何しろ、僕らも要領がわかんないしねぇ…。

増子:いやいや、ツルッと来てサラッとやって頂ければ(笑)。俺達のお客さんは落語好きも多いし、凄く喜びますよ! キッズ達に目にものを見せてやって下さい! …ってまぁ、俺達のお客さんも実はそんなにキッズじゃないんですけどね(笑)。今日はお話を伺えてホントに嬉しかったです。これからもずっとずっと俺達を笑わせて下さい! ありがとうございました!

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