不思議なバンドが現れた。susquatch〈サスカッチ〉。北米、ロッキー山脈で目撃される未確認生物を名乗ったこの4人はどこか惹きつけるモノを持つ。情緒的ながら優美と冷気が隣り合った変幻自在なメロディ・ライン、全員で取り組み聴かせるコーラス・ワーク、重厚で時にシャープな2本のギターのアンサンブル、複雑に入り組み絡み合ったリズムなど、観る者全てに何らかの印象を残すバンドだ。今回はthe band apartやWRONG SCALEなどと共演した"STUDIO VANQUISH TOUR"を終えたばかりのメンバー全員に話を訊いた。(interview:植村孝幸)
未確認生物の発見、バンドとしての融合
──何をともあれ“STUDIO VANQUISH TOUR”お疲れ様でした。
一同:どうもお疲れ様でした。
──どうでしたか、事務所の先輩方との初めてのツアーは?
押切健太(g, vo):楽しかったの一言に尽きますね。
中野真季(ds, cho):凄い勉強になりました。
──やっぱり学ぶことが多かったですか?
押切:いやぁ、学ぶことって言うより衝撃を受けっぱなしで。リハで衝撃を受けて、本番で衝撃を受けて、打ち上げでさらに衝撃を受けて(笑)。
──衝撃って言うより笑劇ですか?
一同:(笑)
──さて、2002年結成ということなんですが、出身地など皆さんバラバラですよね。どういった経緯でバンド結成に至ったんですか?
押切:僕と中野が専門学校が一緒で。
中野:でも、一言くらいしか喋ったことがなかったんですよ。その頃、お互いに気持ち悪いって思ってて(笑)。
押切:お前のほうが気持ち悪かったよ! だって中野は当時、坊主頭でしかも今みたいにメガネもかけてなかったんですよ。そんな恰好でドラムのスティックを両手に持って、アンテナみたいにして校内を歩いてたんですよ。
一同:(爆笑)
押切:できれば関わらずに生きていきたいなと思ってたんですが…。
中野:そんな気持ち悪くはなかったよ~。
──いや、それは明らかに気持ち悪いですよ。それが何故関わっちゃったんですか?
押切:友達が、バンドもやってないのに勝手にライヴにブッキングしたんですよ。「あと2ヶ月でライヴだからバンド組んで出ろ」みたいな感じで。それでメンバー選ぶほど贅沢言ってる場合もないし、妥協して中野を誘いました。それで、そのライヴが終わって“音楽で食べていきたい”なんて夢だけは持ってたんで、この機会だから真剣にやっていこうかと思いまして…。
中野:そうしたら、今度は私が勝手にどんどんライヴの予定入れて。
押切:ホントだよ! 月に7~8本とか入れて。
中野:ライヴに誘ってもらうことが嬉しかったんですよ。
押切:お金もなくなって、メンバー間がギスギスして(苦笑)。それでベースが“就職”というポピュラーな理由で脱退して。その頃知り合ったheのシゲ(重信貴俊:b, vo)に「誰か唄って弾けるベーシスト紹介して」って言ったら、「俺の舎弟で一人いる」って能重を紹介してくれまして。
能重裕介(b, vo):舎弟? ちょっとハメようとしてるでしょ?
押切:舎弟は言い過ぎた。後輩ね。
押切:それから今度はギターが「結婚資金を貯めたい」という、彼女もいないのに結婚かよ! って理由で脱退してしまい、インターネットで「こういったバンドでギターを弾きたいんです」って募集をかけてた稲葉に声を掛けて…。
稲葉 洸(g, cho):押切さんからメール貰ってホームページで試聴して、「決めた!」って感じで。
友情、そしてリリースに至るまで
──ところで、サスカッチって元々こういう音楽性で進んできたんですか?
押切:いえ、全然変わってきてます。最初はもっとストレートなロックで、だけども何かとっちらかってましたね、ベクトルが定まってない感じで。でも、heなんかと対バンして知り合ってから益々ギター・ロックした音の面白さに気づきましたね。
中野:heを初めて観た時はホント凄いなって思いました。
押切:僕も一発でガツンってきて。とりあえず僕は人見知りなんで、「仲良くなって来い」って中野を派遣して(笑)、そうしてシゲとは「なんかコイツとは波長が合うな」って意気投合して。今では週一で飲んだりしてます。下手したらメンバーより会ってるかも(笑)。
──では、今回のミニ・アルバムを出すに至った経緯ってのはheが絡んで?
押切:まぁ、結局うだつが上がらないバンドだったんで、事務所からの声も掛からずで。その中でheがファースト・アルバムのリリース・ツアーのファイナルという場所('06/07/09代官山UNIT)に「出ない?」って声を掛けてくれて。シゲとかウニ(he芝田大樹:g, vo)が今の事務所の社長に「サスカッチは聴いたほうがいいですよ」ってゴリ押ししてくれたらしくて。ホントに有り難いことで、CDをリリースできる運びとなりました。
──今回のミニ・アルバムなんですが、3曲が新曲、3曲がデモからの再録ってことで、普段どなたが曲を書かれてるんですか?
押切:ガイドラインだけは僕ですけど、あとは展開の配置とか細かい部分はみんなで。スタジオに入って大体の流れを通して煮詰めるみたいな感じですね。
──中でも「3chords」は一番シンプルでポップだなって感じたのですが、このタイトルはまさかコード進行?
押切:A、B、Eでどこまで自分達がアガれるメロディが作れるかって課題を作って。元来ややこしい展開とかコードを一杯詰め込みたがる僕特有の癖があって、それに頼らずに、3つのコードだけでどこまで感極まれるかっていうのを気晴らしにチャレンジしたら意外とアガりまして、“あ~、これでいいな”って。
──曲のタイトルがシンプルというか、情景を思い浮かばせるようなところもありますね。
押切:でも、タイトルはホント感覚的ですね。「ceto」っていうのはローマ神話のキャラで、まぁペット的な、例えば犬にポチって名付けるような感覚ですね。あと「the summer solstice」はそのまんま“夏至”なんですけど、逆さに読むと“シゲ”ってなるっていう。
──え、まさか?
押切:僕らなりのシゲに対する愛情をこっそりスパイス効かせて伝えちゃったみたいな。
──本人には伝わりました?
押切:もしRooftopを読むことがあれば、気づくかもしれないんですけど、やっぱり押し付けがましいじゃないですか? 「付けておいたから」「頼んでねぇよ」みたいな。だから向こうが気づいて言ってくることを望んでたんですけどね、「良い曲だね」とか…。でも、意外と普通の反応で、常識人みたいですね。
能重:気づかないだろうね、普通(笑)。















