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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】谷口 順(Less Than TV)(2007年3月号)- あの名盤オムニバス『TVVA』から気がつけば(うっかり)15年! 天衣無縫の国宝級レーベルが放つ"ストレンジ"極まりない至高のコンピレーション・アルバム!!

あの名盤オムニバス『TVVA』から気がつけば(うっかり)15年!天衣無縫の国宝級レーベルが放つ“ストレンジ”極まりない至高のコンピレーション・アルバム!!

2007.03.01

ライヴハウスがいつでも刺激的な場所であるように

──このオムニバスは、谷口さんのコメントによると「初心に帰って言わせてもらえば、“流行もんはいやーっ!”」ということですが、今更初心に帰らなくてもレスザンはいつでも“流行りもんはいや”なアイテムばかりリリースしてきたと思うんですけど(笑)。

谷口:まぁ、確かにそうですね(笑)。

──でも、あの『TVVA』からもう15年も経つんですねぇ…。

谷口:そうなんですよねぇ。H.G. FACTの佐藤さんが「長くレーベルを続けても、誰が出しても同じっていうんじゃ意味ないんじゃない?」って言ってたんですけど、ホントにその通りだなと思って。とにかくとんがり続けて、誰にもできないことと言うよりは誰もやらないことっていうのをやり続けてきたつもりではあるんですよ。よく冗談で「10年後に評価されるでしょ?」って言うんですけど、それくらい先を行っていたいという意識はあるんです。だけど別に、10年後に評価なんて来るわけないと思ってるんですよ(笑)。最初なんかずっとボロクソに言われてましたからね(笑)。反感を買い続けて、誰からも注目されるわけでもなく。

──いや、そんなことはないでしょう。“鹿コア”なる謎のムーヴメント(海外で隆盛を誇っていたローファイ/スカムへの日本からの回答としてプンクボイ、DMBQらが関与)もレスザンにしか興せなかったわけですから(笑)。

谷口:いや、あれだってもの凄い反感を買って色々言われましたし。それはそれで爽快ではあったんですけど。

──リリースやイヴェントの最終的なジャッジは、一貫して谷口さんによるものなんですか?

谷口:いや、そんなこともないです。みんなで「こんなものを出したい」「じゃあやろう」って感じでやってます。昔からそうですけど、僕の一存で決めたことはひとつもないですよ。レーベルの名前にしても、マークにしても全部。

──去年、RISE FROM THE DEADのリリースがありましたけど、レスザンが既に一定の評価を得ているバンドのアイテムをリリースするのは珍しいなと思ったんですが。

谷口:そう…ですかね? RFDのほうからレスザン盤で出したいっていう話がたまたまあって、面白そうだと思ったんですよ。知名度があるとかは考えたことなかったですね。一緒に面白いものが作れるんであれば、有名無名は関係ないですから。

──昨今の日本のパンク/ハードコア・シーンは、谷口さんから見るとどのように映っているんですか?

谷口:凄く面白いと思いますよ。だけどやっぱり、もっともっと面白くしたいんですよね。これだけ恰好イイバンドがガンガンやってる中で、レーベルもちゃんと役割を果たさないといけないですよね。シーンをまとめる…とは思ってないですけど、まとめつつ掻き回す、みたいな(笑)。

──今年は15年という節目の年ですけど、レーベルとして何か大きな動きは予定していますか?

谷口:その前に、ホントは15周年よりも先に10周年が来てるはずなんですけど、気がついたら過ぎてたんです(笑)。だからそうやってケツを叩かれないと動かないんで。15周年だからって勝手に盛り上がってるだけですから(笑)。

──まぁ、何周年とか大っぴらにやるのはレスザンらしくない気もしますけど。

谷口:そうですね。みんなでワイワイやりたいと思ってますんで、みんなの中で“おお、15周年だよ!”って盛り上が??ればイイですね。

──気がつけば、この15年のうちに100アイテム近くリリースしているんですよね。

谷口:100まではまだ行ってないですね。ヨルズ〜で97番なんですよ。

──欠番もかなりありますよね。しかも、作品が完成して番号まで当てられているのに世に出ていないものもあると聞いたんですが。

谷口:ああ、ありますね。

──100枚近くあるアイテムの中で、谷口さんにとって特に思い出深い作品は?

谷口:難しいなぁ…。だって僕、1枚も持ってませんから(笑)。今手元にあるのが、こないだ何かで貰ったbloodthirsty butchersとfOULのスプリットくらいで…他は1枚もないなぁ。全部家に来る人にあげちゃったりして。個人的に持ってないっていうだけで、あるところにはあると思うんですけど。

──イイ加減ですねぇ(笑)。

谷口:まぁでも、僕はいつでも最新作が一番好きですね。『TVVA』は今度パート2を出そうと思ってるんですけど、振り返るのって余り好きじゃないんですよ。振り返ったところで何ひとつ覚えてないですしね(笑)。覚えてないから振り返ることもないし、そんなヒマもないと言うか。

──すべて成り行き任せで。

谷口:そう、成り行きって言うか、常に先へ先へと気持ちが行っちゃうんで。

──これからインディペンデントでレーベルを始めたいという若い人達も多いと思うんですけど、そういう人達に向けて何かアドバイスはありますか。

谷口:アドバイスをするっていうよりは、何でも質問して欲しいって感じですね。プレスのことやら印刷のことやらライヴのことやら、長くやってるぶん少しは知識があるんで、何でも聞いて欲しいですね。紹介もできるし。

──まぁ、レーベルは名乗ってしまえばそこでもう始まっているようなものですからね。

谷口:そうですね。だから自分達が色々やってきて判ってきたこともあるので、「何でも協力しますんでよろしくお願いします」って言うか。…協力させて下さいって感じですね(笑)。

──では最後に、来たるべき16年目に向けて抱負なんぞをひとつ。

谷口:ガシガシ行きますよ! ネタは尽きないですからね。って言うか、ネタが尽きてたらヤバいですよね。こんなにバンドをたくさんやらせてもらってて、レーベルもやってて、これでネタが尽きてるなんて言ったら怒られますよ。こんなに恰好イイバンドに囲まれてるから、“何かやらなきゃ!”っていう衝動が常にあるって言うか、なきゃヤバいですよ。リリースもどんどんしたくなるし。

──それと、レスザンにはもっともっとライヴハウス・シーンを掻き回して頂きたいですね。

谷口:そうですね。ライヴハウスがいつでも刺激的な場所であるようにしていきたいですね。

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