Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】Lonesome Dove Woodrows(2007年1月号)- 苦しみの先に楽しみがあるのなら、多少キツくてもやれる

苦しみの先に楽しみがあるのなら、多少キツくてもやれる

2007.01.01

裏切られたような感覚が面白い

──歌詞的にはまた、文化系というか、内向的な雰囲気になってますよね。

TARSHI:やっぱり、そういう性格だからさ。そこは一枚目からあんまり変わってないかな。相変わらず絵を描くように詞を書いてます。あまりにも暗い暗いって言われるので、ちょっとは明るい詞も書こうかとも思ったんだけど、そういう作り方だと何で書いてるのかわからなくなっちゃうからね。

──普段の姿をみてると、あんまりそういう暗いイメージってないですけどね。

TARSHI:良く言われる。でも家に独りぼっちでいると、割とうつむいてることが多いから(笑)。体育座りしてね。

──TARSHIさんの歌詞の作り方って、誰かに対して強烈にメッセージを発すると言うよりは、自分の内面の世界を描き出してるっていう感じですよね。

TARSHI:外的な物にインスパイアされて書き始めたとしても、歌詞として書いていく内に、結局いつも自分に向かってくるんだよね。最終的に出来上がったもの物が自分に対峙した物になってるんで、聴き手とか読み手の気持ちに作用しようという気持ちはあまりないかな。

──一方、音的にはガーッと外に向かっていくタイプのサウンドだと思うんですけど、そこに内向的な歌詞が乗ってくるという、その辺の対比が面白いなと思いますね。

TARSHI:割と、詞と曲とを別々に考えてる部分があるんだよね。もちろん、楽曲として詞を曲に乗せなきゃならないんで、その辺の折り合いはつけなきゃいけないんだけど。

──必ずしも曲調と歌詞の雰囲気はピッタリ合っていなくても良いという。

TARSHI:そうだと思う。曲の雰囲気と詞の雰囲気が対極にあってはいけないけど、その中でそれぞれが一本立ち出来るような物がオレは好きですね。明るくてテンポの良い曲に対して、そのまま「イエー! ロックンロールだぜ!」っていう歌詞を乗せるっていうやり方は、オレは出来ないんだよね。

──リスナーとして聴いてきた曲に関しても、曲的に好きな物と、歌詞が好きな物って別だったりするんですか。

TARSHI:どうかな? でも、英語わからないから、洋楽を聴いてて「この曲良いな」って思っても、訳詞を見たら「え、こんなこと歌ってるの?」みたいなことってあるじゃない。

──がっかりするようなこと歌ってる曲とかもありますよね。

TARSHI:逆に、イマイチな曲なんだけど、歌詞を読んだら「こんな良いこと歌ってるんだな」とか。そういう裏切られたような感覚が面白いなって思ってるんで、それはあるのかもしれない。すごい明るくてポップで優しい曲なのに、詞の内容が殺人事件の歌だったりとか。逆に、ツェッペリンなんかはあんな爆音なのに、歌ってるのは「僕とずっと一緒にいてください」みたいなことだったりするじゃない(笑)。そういうのが手法的に好きなのかもしれないな。

KAZU:でも今回は、言葉と曲の雰囲気が、今までよりは割と近寄ってるような気がしますけどね。

TARSHI:イメージが画一化されるのはイヤなんでね。曲であったり詞であったり、プライベートもライブもひっくるめてオレたちだと思っているので、そういうとらえどころがないのも一興かなと思いますね。

楽しむためには何をしたら良いのか

──ライブの方も最近はかなり積極的に動いていますけど。

TARSHI:この間のツアーでは初めて九州まで行きましたからね。普段はあんまりロングでツアーに廻ったりとか出来ないんですけど、今回はたまたま長目にやれそうだったんで、調子に乗ってボコボコ入れていったら、気がついたら六日連続ライブとかになってて。

──移動日とか考えてないんですか(笑)。

TARSHI:唯一移動日を考えたのは博多から大阪に行く時くらいだからね。今回、オレがツアーのスケジュール組んでたんだけど、「ここ、ライブ六本続いてるんだけど大丈夫?」って言われて、「うそー!?」って(笑)。

──スケジュールが空いてる所に全部ライブ入れちゃっていいってもんじゃないですからね。

TARSHI:そうなんだよ。さすがに六本連続はヤバイなって思ったんだけど、そこでオレを勇気づけたのは、「昔ロフトでニューロティカが十日連続でやってたり、ルースターズが七日連続でやってたりするじゃん!」っていうことで。じゃあオレも六本ぐらいでピーピー言ってらんないだろうって言ったら、「そりゃ若い頃の話だろ」って言われて(笑)。……確かに。

KAZU:でも、なかなかつらいツアーだったんだけど、時間が経ってみて、やっとあれはやって良かったと思えるようになりましたね。でも今後またやるかと言われれば……。

TARSHI:二度とやんねえよ!

KAZU:今後はもうちょっと考えてツアーをやろうと。

TARSHI:だってオレ、京都から新幹線乗ってQUEのイベント出て、次の日千葉LOOKとかあったからね。これはオススメしませんね。でも、やっぱり毎日演奏するのって楽しいんだよね、単純に。

KAZU:メンバーでそんだけ一緒におったら仲が悪くなるんじゃないかと思ったら、意外とそんなこともなかったし。

──若い頃だったら大変そうですけどね。

TARSHI:若い頃だったら、ライブ六本連続で入ってるって聞いただけで大ゲンカになってたろうな。……イヤ、普通は大人だからこそ、もうちょっと冷静に考えて六本連続なんて入れないんだろうけど……。この件に関しては反省してますよ。

──来年早々にまたレコ発のツアーもありますけど。

KAZU:今度はもっと余裕を持ってやりますんで。

TARSHI:だから前にも増して良いライブが出来るんじゃないかと。お前らは休み休みやらないとダメなのかって言われちゃうかもしれないけど、……ダメみたいなんで(笑)。でもまあ、長いことやってきてわかってきたのは、やっぱり、やってる本人たちが楽しめるっていうことが重要だと思うし。でも、それは楽しけりゃ良いじゃないっていうのでもなく、楽しむためには何をしたら良いのかっていうのも分かってきたから。苦しみの先に楽しみがあるのなら、多少キツくてもやれるじゃない。

──それじゃ最後にアルバムと、レコ発ツアーに向けて一言お願いします。

KAZU:今回で三枚目のアルバムとなります。変わった趣向ですが良い感じに仕上がってますから是非聴いてみてください。レコ発ツアーも、最終日、3月31日のシェルターはワンマンですからね。実はバンドとして初めてのワンマンなんですよ。

TARSHI:もう予定を入れるな。仕事を辞めてでも来いと。無理矢理にでも一日付き合ってもらいますんで。もう否が応でも来てくれると嬉しいですね。

このアーティストの関連記事
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻