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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】Lonesome Dove Woodrows(2007年1月号)- 苦しみの先に楽しみがあるのなら、多少キツくてもやれる

苦しみの先に楽しみがあるのなら、多少キツくてもやれる

2007.01.01

王道ロックンロールを突っ走りながら、シーンの中で独特の存在感を放っているLonesome Dove Woodrowsがオリジナル四曲、カバー四曲という、まさにHALFなアルバム『CUT IN HALF』を完成させた。ELVIS PRESLEY、ALBERT KING、THE BEATLES、THE BLUE HEARTSという王道どころをカバーしながらもサウンドは思いっきり自分たちの手元に引き寄せ強烈なLonesome節に変化させ、なおかつオリジナルでは自らの新たな一面を見せつけてくる挑戦的な一枚だ。ヴォーカル&ギターのTARSHIと、ギターのKAZUに話を訊いた。(interview : 北村ヂン)

声で引っ張っていけるって思ってた

──リリースのたびに「今回はなかなか曲が出来なくて」って言ってますけど、今回オリジナル四曲、カバー四曲という珍しい形態でのアルバムということで、まさか……(笑)。

KAZU:いやいや(笑)。曲がなかったわけではないですよ。

TARSHI:まあ膨大にあったわけでもないですけど(笑)。

KAZU:今回こういう形になったのは、プロデューサーのISHIKAWAさんから「カバーを入れたアルバムを作らないか」って提案があって、面白そうだからやってみようかなって感じだったんですよ。

──でも、あんまりオリジナルとカバーが半々で入ってるアルバムってないですよね、普通はカバーが一、二曲入ってるとか、全部カバーのアルバムとかじゃないですか。

TARSHI:そう言われてみればそうかもね。なんでそうしたんだろ(笑)。あんまり意識してなかったなぁ。でも、やっぱり半々なのが美しいと思ったんじゃないかな。

──アルバムタイトルの「CUT IN HALF」っていうのも、半々に入っているからという所からなんですか。

TARSHI:そう。一番最初に、半分づつってことで「HALF」っていうのは思いついたんだけど、もうちょっとわかりやすく出来る言葉がないかなって思って辞書調べたら「CUT IN HALF」っていう熟語があって、半分に切り分けるっていう意味なんで丁度良いかなって。「HALF AND HALF」っていうのも考えたんだけど、ピザ屋じゃないんだからね(笑)。だから、アルバムのタイトルの付け方としては安易かもしれないですけど、コンセプトははっきりしてますよ。

KAZU:ジャケットなんかも、すごくHALFな感じが出てますからね。

TARSHI:白黒で半分になってるんだから(笑)。そのまんまだよ。

──ELVIS PRESLEY、ALBERT KING、THE BEATLES、THE BLUE HEARTSというカバーの選曲っていうのはどういう基準で選んだんですか。

KAZU:とりあえずマニアックな曲は避けて、なるべく王道の曲をやりたいと思ってたんですよ。やっぱりカバーをやるってなると、みんなマニアックな曲をやりたがるじゃないですか。

──「オレはこんな曲知ってるんだぜ」みたいな。

TARSHI:キャリアが長ければ長い程やるじゃん、そういうこと。だからあえて、みんなが知ってるような曲をやろうと。まあ、それでも渋い曲も入ってるけどね。

KAZU:それで、カバー四曲の内、三曲は自分たちで決めたんですけど、THE BLUE HEARTSに関してはこれまたISHIKAWAさんが大分前から「この曲をやったら面白いんじゃないかな」って言ってて。最初は「オレらがTHE BLUE HEARTSのカバー?」っていう所で違和感も多少あったんですけどね。

──確かにイメージ的には違和感ありますよね。でも聴いてみたら意外にハマッててビックリしました。

TARSHI:最初は元のままのアレンジでやったりしてたんだけど、ちょっと当たり前な感じだったんでどうかなって思ってたんだよ。そしたら、KAZUがこんな感じのパンクなアレンジで持ってきて、やってみたらすごいハマッたんだよね。「ブルースをけとばせ」っていう選曲も、THE BLUE HEARTSの曲の中でもまた渋い曲だからね。THE BLUE HEARTSはもちろん好きだったし、聴いてたんだけど、自分らで選曲したとしたら、あの曲をチョイスしたかっていうと、まずないんじゃないかと思うしね。ISHIKAWAさんは、この曲をオレのボーカルでやったら面白いんじゃないかって思ってたみたいだけど、結果的には上手くいったと思うよ。すごくパンクになっちゃったけどね。

KAZU:まあ、他のカバーに関しても選んだ基準っていうのは、「この曲にTARSHIの歌が乗っかったらどうなるか」っていう所でしたね。

──TARSHIさんの声をイメージして曲を選んだわけですね。

KAZU:PRESLEYとTHE BEATLESに関しては完全にそうですね。声で引っ張っていけるって思ってたから、アレンジをどうしようとか全く考える前に選んでましたね。

──曲順もオリジナルとカバーが交互に入ってくるという、変わった感じになってますけど。

KAZU:並べてみたら、結果的にこうなったんですよね。これが一番バランスが良いんじゃないかな。

TARSHI:オレは最初、A面、B面みたいな感じで、オリジナルとカバーをキッチリ分けたら良いかなとか考えてたんだけど、五秒で却下されたからね。「つまんない」って(笑)。それからは曲順に関しては一切口出してない。

KAZU:結局、出来上がって曲を並べてみたら、カバーとオリジナルとあんまり違いがなかったんですよね。

TARSHI:最初はやっぱりそれを区別してたんだけど、音を録ってみたら、カバーとオリジナルの二本並んだ線が、それがそのまんまくっついて一本になってたっていうイメージなんだよね。

──そのオリジナル曲ですが、今回は、従来のLonesomeらしい曲から、今まであんまりなかったタイプの曲まで揃ってますよね。

TARSHI:あんまりやってないというか、形として外に出してなかったというだけなんだけどね。スタジオでのセッションの段階では色々なタイプの曲をやってたんで。今までだったらセッションしていく中でたち消えてたようなタイプの曲も、今回形になって出来上がったっていうことだね。後は、個人的にポップな曲っていうのをやってみたいと思ってたんで。爆音でドギャーンっていうのだけじゃなくて、歌を聴かせるような曲もやってみたかったんだよね。そういうのを、勢いをなくさない形で上手く出来たんじゃないかなと。

──そういう意味では、むしろカバーの方が爆音系に仕上がってますよね。

TARSHI:そうかもしれないね。カバーの方はあんまり頭を使わなかったから(笑)。

KAZU:単純に、まずテンポを上げて……みたいな(笑)。

TARSHI:音デカめでね。

──カバーを今まで通りの方法論でやってるから、新しい方向性を出してるオリジナルと結果的にバランス良く溶け込んでるのかもしれないですね。

KAZU:そうですね。後は、オリジナルとカバーが四曲四曲だっていうこともあるんじゃないかな。オリジナルが四曲しかないから、そこで今までと同じような曲を出してもあんまり面白くないから。

──密度高く色んな要素を入れていったと。

TARSHI:バラエティっていうのは考えて曲を作り上げたような気がするな。カバーも入るということで、カバーに埋もれない曲になるように。

KAZU:まあ、今までのアルバムとは違ったタイプの曲が入ってると思いますよ。

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