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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】植木遊人×町田直隆(2006年11月号)- 考えるヒマがあったら動けばいい。やってみなきゃわからない。

考えるヒマがあったら動けばいい。やってみなきゃわからない。

2006.11.01

バックトゥースクール

──ところでスプリットのレコーディングはではお互いその場にはいたんですか?

植木:いた。でもあえて手の内を見せない。どの曲にするかも教えないようにしてた。

町田:何も知らない分あいつに負けないようにしなきゃってすごく思った。

植木:それで、ビックリしたのが1曲目が俺の『サンキスト』。初恋の来た道を戻れるか戻れないかという曲があるんですけど、初恋のバンド・ダブルオーに対する歌なんです。で、次の曲が『オリオン座流星群』で「この道はどこへ続くのか」って。3曲目の『遊星より愛を込めて』でタイトルもつながっていて、最後『さらば×××ランド』。お互いのクセが分かった上で選んだし、並びもそうなったし、全部つながっていて、テーマは近くなってるんだよね。

町田:計算してないんだよね。

植木:長年付き添ったカップルみたいなことがツアーでできたの。だからスプリットを出す意味はあったの。やっぱり。

町田:俺も思った。

──じゃあお互いの曲を評価しあってください。

植木:マッチーはずるいよ(苦笑)。

町田:俺からするとY.Uはずるいよ。Y.Uは僕に表現できないことが表現できるんだよね。自分の思いをストーリーに置き換えて思いを込めることができる。僕はフィクションだから。

植木:マッチーは自分の立ち位置を自分の言葉で言うんだけど、俺は自分の立ち位置を物語にしちゃうの。それは全然違うよね。それが大きく言うと町田劇場と植木学級の違いかも。

千葉:全然違うよ。メインのアーティストが相手を知らされないイベントなんてないよね。

植木:町田劇場はそうですね。植木はこちらから招待する。

町田:その時のバイオリズムが左右する。だからその時の気分とか生き様が出ちゃう。お笑いはY.U&マッチーだよね

植木:あれはお笑いじゃないよ。芸術だよ。

千葉:ヒューマンドラマ。

植木:誰もが憧れる学生時代にできなかったことを俺等がしてる。

町田:下手したら学生より学生である自信があるよね。

千葉:バックトゥースクール。

──遅れてきた青春。ところで、ジャケットはどこかで見たことあるような…。

町田:有名なジャケをね…(笑)。場所はハイライン。でもこれ、カメラマンさんが時間なくて帰っちゃってその場にいたお客さんに撮ってもらった。撮れそうな雰囲気だったんだよね(笑)。

植木:全部行き当たりばったりだ!(笑)

千葉:だいたいノリでやってるよね。

──マニュアルはないんですね。

千葉:ないです。ファイナルだってその前のツアーが決まってないんだからどうなるかわからない。

植木:それの答えを出すのが俺等の仕事だから。答えが出れば良くても悪くてもいいわけ。

千葉:5ヶ月間の間に変化がないわけじゃないから、今想像できるものがファイナルであるとは思わない。

植木:だいたいの人がする前に何か不安がったりするでしょ。そういうの大っ嫌い。

千葉:どうしようっていうのがこの3人はないんですよ。やってみろ、とりあえず。

植木:やってみなきゃわからないことって人生いっぱいあるから。バンドや音楽に対しても「ワクワクしてるのかよ!」って思うことが多い。音楽だけじゃなくてワクワク生きてる。

町田:音楽って何かを表現したい人が始めたことなんですよ。音楽があって表現があると思ってるけど、表現があって音楽がある。一度メジャーデビューして、表現とはどういうことなのかっていうのをお互い突き詰めた結果が今に出ていると思う。

植木:それはしなきゃわからないし、やってみなきゃわからない。生きてる事全部だね。だからスプリットをやってみたんだ。

──小芝居(!?)を含めたライブしか見てなかったからCDを聞いて歌声だけがすごく聞こえた。いいなって思った。

植木:小芝居じゃないよ!

町田:大芝居って言ってほしいよね。

植木:人生劇場だよ。芝居じゃなくて表現。

町田:そんなに計算出来るほど俺等賢くない。

植木:俺が仕掛けた罠をこいつがどう回避するか。こいつが仕掛けた罠をどう回避するかっていう劇場なの。

──あと、CD聴いてもライブは想像できない。ライブが先だったらCD聴いてビックリする。

千葉:表現したいこととは違うからねぇ。

植木:歌を残すことと、人間が残りたいからね。

町田:そうだね、人間ありきだね。

植木:植木:だからこれでいいんだよ。

千葉:ソロ=アコースティックがおとなしいっていう概念は完全に壊した。

植木:やってる人がいないなら僕らがトライしようっていう話なんです。いろんなものがごっちゃになって成立する表現なので、そこはドラマだと思うし。

千葉:「町田直隆って曲やらないで叫んでる人でしょ?」って言う人もいれば、「あの人歌いいんだよね」って言う人もいる。同じことをやってないから。レコ発もどうなるかわからない。レコ発は宝くじ買う感覚で来てもらったらいいんだよ(笑)。当たりか外れかもわかんない。全部当たりかもしれないし。

植木:絶対に感じるモノがあることしかしてないから。あとは好き嫌いの問題だよね。

町田:でもさ、好きか嫌いかはどっちにしろ興味があるってことだから。

千葉:覚えてないとは言わせないライブはやってる。

植木:バッシングありますよ。いい曲歌うのになんでこんなことするんだろうって(苦笑)。

町田:俺、「殺意を覚えました」って言われたことある(苦笑)。

植木:でもそれでいいの。その時の自分の気持ちをぶちまけてるから。じゃないと文化は繋がらないよ。俺達が今置かれている状況はもっと自分達でもできるんじゃないかっていうところから始めてるし、後押ししてくれる人もいるから限界までは行きたい。常にオモシロイヤツがいいと思うよ。

町田:単純に楽しいこととかオモシロイことをしたいってだけだよな。ワクワクしてドキドキして。

植木:「それ忘れてませんか?」っていう提唱が今回のスプリットです。ツアーって言っても曲やるかもわかんないしね(笑)。「それが悪いことなんですか?」っていうこと。

千葉:マニュアルを壊したい。

町田:みんなホントはそういうことに飢えているんだよ。そういうのが欲しくてライブハウスに行く。なのにそこには現実があって、決まりがあって。それは俺達がやることじゃない。

千葉:型にはまらないことが当たり前の人が手を組んでるだけだから。

町田:ライブをやる側としてお客さんが1000人だろうが1人だろうが関係ない。客1人だから手抜きとかありえない選択肢。

植木:3人とも共通しているのが現場イズオール。現場にいる人をどれだけ楽しませたいかっていう気持ちは伝わっていると思う。心を揺さぶる自信はある。安定した何かじゃないけど。

──これまでの話を聞いていて、お互いがリスペクトしていますがここだけは直して欲しいってあります?

町田:夜寝ない事ですね。僕は2、3時には寝たいのに。

06_ap02.jpg植木:僕、何年も朝寝て夜起きる生活が続いているんです。一緒のホテルもあるからキツイ?

町田:ううん。Y.Uの生活をジャマする気はないので耳栓とか用意して行こうと思います。ただ朝方「マッチー飲みにいこう」っていうのは辞めて欲しい(笑)。

植木:断られて一人で立ち飲み屋に行くんだ。マッチーは口癖が「チクショー」なのは直して欲しい。

町田:追い込まれると昔いじめられてたこととか思い出して、イチ(「殺し屋イチ」より)みたいになる(苦笑)。

──(笑)。最後に何か…。

植木:まとめとすれば考える前に動く努力。どんなリスクがあるとかじゃなくて、やってみないとわからないことがいっぱいあるから。もともと俺等の出会いが思いつきだから。何かに対して意味を付けようと努力するのはもうダメ。考えるヒマがあったら動けばいいの。だから今回のCDは思いつきです(笑)。

町田:タイトルの『DOWNTOWN REVOLUTION』も思いつきです!!

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