『GOOD-BYE UNDERWORLD』から『OVER THE REVOLUTION』へ。今年よりメジャーシーンへ殴り込んだLINKが待望のメジャー初アルバムを完成させた。だがこのアルバム、傑作だと思った一方で、一種の問題作と感じ取った。ストレートで飾らないありのままの彼らを表す日本語詞が増えたことや、長い間活動してきた3人からサポートギタリストを加えた4人体制への移行。今、彼らが何を思い、メジャーシーンへ突入して行ったか? このインタビューで曝け出して欲しいと思い、忙しい時間を割いて貰った。今のLINKをこのインタビューで感じて欲しい。(interview:植村孝幸)
みんなで一緒に騒ぎたい、そういうパワーを持ったアルバム
──メジャー初のアルバムと言うことでインディー(TIGER HOLE CHOICE records)に居た頃と何か変わった事とかありましたか?
柳井良太(Vo/Gt):制作過程で、プリプロに入れるようになったことが大きいですね。昔は色々制作面でなるべく時間を短縮してギリギリでやろうとしてたのですが、今回は結構細かい事まで詰められたので割とレコーディング自体はスムーズにいって…楽しかったよね、レコーディング。
小森誠(Vo/B):うん。
山上教経(Dr/Cho):楽しかったですね。
柳井:プリプロ前とかに合宿で3~4日泊まり込んで行ったりしたんですけど、昼間は音録って、夜はみんなで明け方まで酒飲んでたりしてね。缶を飲んだだけ積み重ねていって誰がイチバン飲んだとか(笑)。
小森:そんなバカなことやりながら(笑)。
柳井:今までは歌詞とメロディを僕が書いて、みんなで合わせて確認していくって作業だったんですけど…今回は何曲か一気に持っていってその中で1曲ずつ絞り込んでいくみたいな感じでやったりして。
──アルバムタイトルについて込めた意味をお聞かせ願いたいんですが…。
柳井:“REVOLUTION”ってのはご存知の通り、“革命”って意味なんですけど…なんか面白いことをやらかしたいなぁってのが昔からあって、バンドを始めたのもそういうきっかけなんですけど、楽しいことを自分たちの力でやりたくて始めて、その気持ちをいつまでも持ってたいと思ってたんです。自分の中での革命でもあるし、もっと周りに広めて全部一緒になって「うわぁ」って騒ぎたいな、そう思って付けたんです。周りを引き連れてガァーって何かする、何か世界をひっくり返しちゃうようなパワーを持ってやりたいなぁって思って。音楽ってそういうパワーを持ってるものだと思うから、そういうものを楽しくやれることを目指して。
小森:そういう気持ちは昔っから変わってないんですよ。
ツインボーカルスタイルの強みが出た新しい試み
──最近、日本語の曲が増えましたけど、もう英語の曲は作らないんですか?
柳井:どうですかね。そんなことないと思うんですけど、今回のアルバムを作るタイミングはたまたま日本語を書きたいなって思ってたので、僕が作る曲は全部日本語になった感じですね。でも英語の曲も書きたいって思ってますよ。
──今回は小森さんが書かれた曲を柳井さんが歌っている曲もあるんですよね?
柳井:はい、英語の曲で。
──もともと自分で書かれた曲は自分で歌う感じで。
小森:はい、そうですね。なので今回俺が書いた曲を柳井が歌うのは初めてですね。
──人の曲を歌うってのはどんな感じですか?
柳井:う~ん、でも人の曲って言ってもずっと一緒にやって来た奴が作った曲なんで、違和感なく歌えましたね。歌い手が変わると表現の仕方も変わってくると思うんで、その点では自分なりに歌えたと思ってます。
──逆に小森さん自身が歌おうとは思わなかったんですか?
小森:最初は僕が歌おうと思ってキーも合わせて作ってたんですよ。でも、この曲に関しては、僕が歌うと軽く聴こえるというか良い意味じゃない軽さが出てしまったんです。柳井が歌うと重みがあって、どっしりしてる感じが出たので。
──曲のイメージ的に柳井さんが歌った方が?
小森:そうですね、家でテープに録って聴いてみたら、「これ柳井が歌った方がいいんじゃない、面白いな」って思ったんです。そしたら今回、柳井がたまたま英語の曲を作ってなかったんですけど…柳井の英語の曲が凄い好きだから、歌って欲しいなって思って。
『もし僕がミックジョーンズみたいに』の謎(?)
──個人的には特に『もし僕がミックジョーンズみたいに』(M-5)が印象的なのですが。
柳井:それを作った頃、曲作りが難産でなかなか進まなかったんです。その時試行錯誤しながらようやく出来て、DVD『PEDIGREES TOUR 2005.11.28 at SHIBUYA O-WEST』にもなっているライブの時に初めて弾き語りでやったんですけど、「凄い良いね」って周りの人に言ってもらえて、「あぁ、これが良いんだ」って思ったんですよ。バァーってその時の気持ちを殴り書きした様な歌詞をそのままメロディに乗っけて曲を作ったので、素直に何もカッコつけてない感じで曲が出来たんです。それでみんなが良いって言ってくれたから、それが凄い自信になって自分の中で「これが良いんだ」って感じになって。それからは曲が出来るのも早かったですね。
──前作のタイトルも『GOOD-BYE UNDERWORLD』もそうですが、『もし僕がミックジョーンズみたいに』の中でも“アンダーワールド”“オーバーグラウンド”って類いの歌詞が良く出てくるんですが、これは音楽シーンにおける柳井さんのキーワードなんですか?
柳井:いや、音楽シーンのことというより、今の俺らみたいな生活、音楽も含めて生きてる感じ、生き様とか、これが主流になればいいなっていう気持ちで。このアンダーグラウンドさこそオーバーグラウンドになるべきだと思ってて。
──それがこの歌詞“行く当てはないがここには居れない~”ということに込められているんですね。この詞はホント印象に残ってますよ。
柳井:オーバーグラウンドに行くから、オーバーグラウンドっぽいことをやるわけではなくて、俺らはアンダーグラウンドのままオーバーグラウンドになるってものを考えて作りました。それで革命っていうとこに繋がるという。
──そういう曲がメジャー第1弾のアルバムに入ること意味があるというか、メジャーになっても気持ちは今までと変わらないという感じでやっていく表れだということですか?
柳井:そうですね、基本的にはやりたいこととかはあんまり変わってなかったりするんです。自分の考え方とか生きてる感じ方をどれだけ世界に広めていくかっていうことだけだと思うんで…。
──ところで何でミック・ジョーンズなんですか? 普通、クラッシュと言えばジョー・ストラマーって思うんですけど(笑)
一同:ハハハハハ(笑)
柳井:ミック・ジョーンズはですね、元々クラッシュが凄い好きなんですけど、そのクラッシュの音楽であるパンクロックが革命ってとこに繋がるんです。なんかやらかそうとしてる人たちにとって凄く心に優しく響く音楽だったんですよ。それでクラッシュのことを歌いつつ、それを自分に照らし合わせていった歌詞なんですけど、ジョー・ストラマーとミック・ジョーンズ、どちらがスウィートな唄を歌うかなって思ったら、まぁミック・ジョーンズかなって(笑)。でもどっちもパンクロックっていう部分ではジョー・ストラマーが歌う唄も俺らにとっては心に響くスウィートな歌なんで、どっちでも良かったんですけどね、判りやすい方で選びました(苦笑)。
第4の男の存在、∞の可能性
──4月からサポートギターとして猪股洋輔さん(Gt)が入られているんですが、この辺の経緯とかは?
柳井:5年くらい前に初めて出会って、それからの付き合いです。猪股は他のバンド(ドクターダウナー)をやってて対バンして。でも、俺らが18歳の頃から、猪股は俺らのライヴを観ていて好きだったみたいなんです。それで、話してて凄い面白い奴だったし、音楽的にも話の合う良いパワーを持った奴だったので、今回ギターを1本入れた方がいい感じじゃないか? って話になって、「誰誘う?」っていう時に、3人とも猪股が共通して知り合いだったし、凄い信頼出来る奴だったし、ギターも上手い、文句なしで誘いました(笑)。
──今年初めに出したシングル『素晴らしい世界』の時はまだ入ってないんですよね?
小森:今回のアルバムからですね。
──音の幅が以前に比べると広がったかなって思うんですよね、やはり。
柳井:アレンジも広がると思うし、層の広いアレンジをするギターなので。
──ということは、信頼してギターは任せる感じで?
柳井:そうですね、今回は完全に任せてましたね。
小森:早い時点からね。
柳井:4月から入って、5月の時点で完全に纏まってたと思うし、誘った次の日にスタジオ入ったんですけど、その時点で俺らの曲が全部弾けるぐらいだったので早かったですね。
──3人でやるのと4人でやるのとでは何か変わりましたか?
柳井:俺は自由になりましたね、単純に。ギターの負担が少なくなって。
──もうちょっと歌に集中出来ますしね。
柳井:そうですね、昔からギターより歌がメインの気持ちでバンドをやってる部分があったんで。
小森:ギターが増えるってことは、単純に1本鳴る楽器が増えてますからね。でもハマりますよ。ここで音が欲しいなって時に音が鳴りますから。
──シングルでキーボード入れたりもしてましたが、今後もいろんな楽器を入れたりとかは?
小森:あのキーボードは柳井が弾いてるんですけど、ギターが増えたし、今後は4人の出すシンプルな音でやっていこうと思ってますよ。