Natural Punch Drunkerが初めて夏のこの時期にリリースする作品は、夏がてんこもりとなったアルバム『trooper』。疾走感溢れる『夏のレイル』から始まり『未来のライナーノーツ』までの全11曲。今までのさわやかなイメージだけではない、新たな一面を見せてくれるアルバムとなった。関西在住の彼らが東京ライブに来ていた時期にインタビューを敢行。そういえば、以前インタビューしたときは電話だったなあとしみじみ思いながら、目の前にいる4人の軽快すぎるトークで『夏のレイル』と『trooper』について伺った。今年の夏はナチュパン色に染まりそうだ。(interview:やまだともこ)
シングルもアルバムもジャケットとかも含めて愛して欲しい
──7/5にリリースされたシングル『夏のレイル』は疾走感のある夏っぽい作品でしたね。
井村(Vo.G):今までの僕らの中ではテンポも早いんですけど、強い曲だよねってことはよく言われますよ。アンセム的な…。
──さらに2曲目には『NPD Summer Song Medley Special Mix』と題された夏曲のメドレーが入っていて新しい気がしたんですけど、あれはどういった意図で?
井村:インディーの頃からの夏曲がたくさんあるので、せっかくだからメドレーにしてみようかなみたいな話が出てやってみたら意外といけた。リリース前だったんですけどどうせだったら、アルバムからも入れちゃおうかなって。今回は値段もそうですけど、今まで僕らを聞いたことない人にも聞いてもらいたかったんです。しかもインディーから最新まで入ってるメドレーって言ったら聴き応えあるじゃないですか。シングルの曲ってアルバムに入るから、アルバム買えばいいやじゃないところは美しいかなって思いますけどね。シングルもアルバムもそれぞれ良さがあるし、ジャケットとかも含めて愛して欲しいと思うんです。ミックスも違うし作り手としてはシングルで出してるときと鮮度が違うんですよ。だからこれでワンセットっていう気持ちは常にありますけどね。
村上(Ba):僕もリスナーだったらアルバム待ちますね。でも、シングル500円だったら買いますもん。レディオヘッドのアルバム出るゆうて先行シングル1ヶ月前に500円だったら買いますわ。めちゃいいじゃないですか。
──(改めて)すごいことやったじゃないですか!
全員:(笑)
──この季節にはピッタリなほどに夏を大開放してますし。
村上:さわやかさに対する挑戦といってますけど…。
──もともとさわやかですよ。
村上:そうなんですよ。僕だけ浮いてるかもしれないですけど(笑)。
井村:全員がさわやかでもね。ストッパーですよ。箸休めみたいな(笑)。
村上:箸休め嫌やな(笑)。でも、実はこんなルックスですけど繊細なところがあって…。
井村:僕もそんなにさやわかじゃなかったり…。だから、突き抜ける空と透き通る海との勝負ですね。
楽しいにまつわる事が、わき起こる感情に繋がるから楽しいって感じる
──アルバム『trooper』もかなり聴き応えありましたね。1曲目には『夏のレイル』のミックス版も入り…。
井村:アルバムでは『夏のレイル』の曲順は最初か最後だったんですけど、イントロから来る疾走感というか夏を呼び込んできてくれる感じで1曲目にしたんです。この詞には空気感とか直接的に夏は楽しいぜっていう歌詞はないけど、夏の楽しさとか巻き起こってくるワクワク感とか、過ぎ去って行っちゃう切なさとか、その感覚を味わえる曲っていいじゃないですか。冬にライブやったときにどんな風に聞こえるのかなって気になってますけど。
──さっき楽しいとか直接入ってないって言ってましたけど、そう言われてみると直接的な感情を発してる曲って少ないですね。
井村:楽しいって言う言葉は一番楽しいっていうわけではないと思うんです。楽しいにまつわる事が、わき起こる感情に繋がるから楽しいって感じると思うので、聴いたときに想像してもらいたいんです。それで最終的に聴いた人が楽しいって思ったらそれはすごく優秀なオリジナルワードになるんちゃうかな。
──あー、なるほど。だからなのか詞もそうなんですけど、メロディーだったり声だったりがすんなり入ってくる感じがするんです。これを作られてるみなさんは今までどんな曲に影響受けてきました?
井村:僕は基本的にはフォーク。オフコースとか井上陽水さんとかが基本好きなんです。あと洋楽を聴きますね。
──昔ライブを見たときはパンクっぽいノリだった記憶があるんですが…。
井村:バッチバチのピザ・オブ・チルドレンやったんで…。
──それが楽曲的にもここまで変わったというのはどういう経緯があったんですか?
井村:僕はレディオヘッド好きで、トム・ヨークが作ってみんなで構築していく感じに近いかな。元ネタはアコギ1本でも聴ける曲もあるけど、バンドで肉付けしていく。その時にメロディーのすんなり感とか、最初にアレンジしていく当然ラインのひとつなんです。
小野(G):共通認識みたいなかんじですね。メロディーを大切にしていくバンドアレンジ。
村上:聴く側のジャンルは問わへん。好きなバンドとはかぶらへん。そういう暗黙のテーマがあったような気がします。