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INTERVIEW

トップインタビューBRAZILIANSIZE×wash? ('06年9月号) - 4106×奥村 大 スプリット・アルバム『THEY'RE NERD #2』発売記念対談

堅い絆で結ばれた盟友バンドによる会心のスプリット・アルバム

2006.06.12

 taeとのスプリット・アルバム『THEY'RE NERD #1』に続くBRAZILIANSIZEの"おたく(NERD)同志"コラボレーション企画第2弾、お相手は一卵性双生児的盟友・wash?である。昨年から今年にかけて2度の合同ツアーを行ない、公私にわたって良好な関係を保ち堅い絆で結ばれた両者が心腹の友だからこそ本気汁120%で臨んだタイマン・スプリット、その内容が悪いわけがない。両者共に今秋発表されるニュー・アルバムの確かな感触が窺える新曲3曲ずつに互いのカヴァー1曲ずつを加えた全8曲、単なる企画盤の域に留まらない高いクオリティと濃度の高いALCOHOLISMを誇ったトータル30分強の充実作だ。かつて同じバンドのメンバーとして蜜月を過ごした4106(BRAZILIANSIZE)と奥村大(wash?)の両雄に存分に語り倒してもらった。(interview:椎名宗之)

「CYDER」でちゃんと茶化してくれたのが凄く嬉しかった(奥村)

──まず、この『THEY'RE NERD』というスプリット・アルバムを継続的に出そうとした経緯を4106さんにお伺いしたいのですが。第1弾のカップリングはtaeでしたね。

4106:wash?とtaeのどっちを先にしたかったというのもなく、単純に一発目が大ちゃんだと照れ臭かったんですよね(笑)。箱ブッキングで対バンが4つ以上とかのライヴをやっていると、もっと少ない数で長い時間やりたくなるんですよ。そんな話をtaeのメンバーとしていて、彼らと2マンをやることになり、その記念に会場限定販売のCD-Rを一緒に作ろうと。でも、どうせ作るならちゃんとしたものにしたいと僕が言って、こんな形になったわけです。

──“NERD”(ナード)は“変わり者”とか、そんな意味のスラングですよね。

4106:“おたく”っていう意味ですね。“ヤツらはおたく”っていう(笑)。

奥村:俺達も自他共に認めるおたくだからね(笑)。特に俺と南波(政人)は音楽がなかったらまともに社会と向き合えないから。

4106:ここで言う“おたく”っていうのは、“自分が内に秘めた好きなもの”という意味なんです。いろんな人が「イイね!」って言ってくれなくてもいい、「俺が好きなんだからイイじゃん!」っていう“おたく”感なんですよ。いわゆるA系の“おたく”じゃなくて、もっと開かれた感じなんですよね。

──しかも、TOWER RECORDとHMVの500枚限定発売という入手困難なアイテムでもあり。

奥村:そういうところも“おたく”心をくすぐるわけだね(笑)。

──4106さんと奥村さんはかつてTrophyというバンドを組んでいた盟友でもあるし、いつかはこんなスプリット・アルバムが発表されるんじゃないかという期待がファンにはずっとあったと思いますが。

奥村:4106とは“腐れ縁”という言葉が一番ピッタリくるよね。こういう作品を出せたきっかけとしては、去年ブラサイと一緒に廻ったツアーがやっぱり大きかったと思う。

4106:ドラム談義から始まってね。

奥村:ドラムの趣味は似てるよね。ロックでもパンクでも、基本的にドラムが主張する強い音楽がお互い好きだし。技でニヤリというタイプよりも、大鉈でドーンと振り上げるようなその人独特のノリがあるほうがいい。

──今回の収録曲は、両者共にアルバムの制作と並行して作られたものですよね。

奥村:最初はお互い2曲ずつで、っていう話だったんだよ。それがある日「やっぱり3曲ずつでやろうよ」って4106に言われて、じゃあ3曲目はお互いのカヴァー曲にしようと俺が提案して。それがどういうわけかプラス1曲としてカウントされて、結果的には4曲ずつになったんだよね(笑)。wash?としてはこのスプリット用に2曲(「シンクロ」「三羽の小鳥」)書き下ろして。このスプリットには希望の歌を入れたかったし、俺にしては相当明るい面が出た曲が並んでると思う。聴く人が聴けば、それでも暗い曲に思われるかもしれないけどね。

──ただ、「LOSER」はちょっとヘヴィな楽曲ですよね。

奥村:うん。これはどうしても入れたかったから。最初は「スカーレット・ヨハンソン」を入れようかと思ったんだけど、これだけ聴くとバンドが誤解されるかなと思って。同じ誤解されるなら「LOSER」で誤解されたほうがいいし。

──収録曲はいずれもシングル・カット可能な水準だし、単なる企画盤の域に留まらない高いクオリティを誇る仕上がりとなりましたね。一枚の作品として充分すぎるほどの聴き応えがある。

奥村:そうだね。曲になって出てきた形はまるで違うのに、面白いよね。

──アルバムと同時進行となると、その生みの苦しみたるやさぞ難儀だったと思いますが…。

奥村:「スプリットを4曲にしたら、僕らもぶっちゃけ大変なことになってます」ってkansaからチラッと聞いたよ(笑)。ブラサイはスプリット2枚とアルバム1枚の3枚同時進行だったからね。気ィ狂うわ、俺だったら(笑)。10曲を超えた辺りから苦しみ度がグッと上がるからねぇ…。

4106:全部で13~14曲くらいあったのかな? でも、負担は全部自分だったりするので、勢いで何とかなるかなぁ、と。

──実際のレコーディングでも両者それぞれの曲にゲスト参加しているんですよね。

4106:1曲目の「NEBRASKA」は、その昔大ちゃんがネブラスカ・トースターズっていう裏打ちのバンドをやっていて、裏打ちをやりたいがために僕がこの曲を書き、その裏打ちを大ちゃんに弾いてもらったんですよ。

奥村:俺がスチャッ、スチャッ、スチャッと弾くなんて、ここ数年知り合った人達には想像できないだろうね。元々スカやレゲエは大好きだし、ああいうのを弾くのも実は結構得意分野なんだよ。

──「wash?の曲をカヴァーするなら『CYDER』がいい」と、以前から4106さんは仰ってましたよね。

4106:ええ。凄く好きな曲なんですよ。まぁ、kansaの「パズル」っていうのも候補にはあったんですけど(笑)。

奥村:ははは。「CYDER」は最初、ニューオーダーがもうちょっと頭悪くて大きい音に頼っちゃうようなバンドだったら…っていうテーマで作った曲なんだよ(笑)。実際にレコーディングしてみたらイギリス=7、アメリカ=3っていう比率の曲になったんだけど、ブラサイのカヴァーは完全にそれが逆になってるよね。俺の中では90年代初頭の音のイメージだったのに、ブラサイは90年代後半の西海岸の匂いがする感じになった(笑)。だからホント、自分にはない部分を持ってるんだな、って思ったよ。

4106:やってるほうは全然判んないんですけどね。それよりも僕は、大ちゃんに「CYDER」を聴かせるのがとにかく恥ずかしくてしょうがなかったですよ(苦笑)。

奥村:ブラサイの「CYDER」は、リズムが複雑すぎて俺にだって唄えないもん(笑)。でも、ブラサイの懐の深さがよく出てるよね。しっかり音を楽しんで演奏してるし、ちゃんと茶化してくれてるのが何より凄く嬉しかったな。

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BRAZILIANSIZE/wash?
THEY'RE NERD #2

SPROCKET DISC ZNCA-9003
2,000yen (tax in)
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LIVE INFOライブ情報

BRAZILIANSIZE
9月14日(木)F.A.D YOKOHAMA
9月18日(月)下北沢440
 
BRAZILIANSIZE with tae SPLIT TOUR
9月26日(火)名古屋アポロシアター
9月28日(木)京都MOJO
9月29日(金)大阪福島2nd Line
9月30日(土)神戸スタークラブ
10月6日(金)渋谷O-Crest
 
wash?
9月18日(月)下北沢440[素wash?]
9月24日(日)本八幡ROUTE14
10月8日(日)MINAMI WHEEL 2006
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