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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】LITE(2006年5月号)-Who Are You? They plays New Generation Amazing Dance Music! ──NO MUSIC, NO LITE?

Who Are You? They plays New Generation Amazing Dance Music! ──NO MUSIC, NO LITE?

2006.05.01

偶然性から必然性へ

──LITEの楽曲はいつもどのように生まれるんですか?

武田:基本的にはジャムっていってひとつのフレーズが生まれて、その核心となるソロのフレーズからジャムりで引っ張るっていう。

──個々人がそれぞれパーツを持ち寄って、それを合わせてみるわけではないんですね。

武田:そこはケース・バイ・ケースですね。持ち寄ったフレーズをスタジオ内で試してみて、ドラムとギターが凄くハマって「これイケんなぁ!」っていうケースもあるし、ごく自然に「今のもう1回やってみて」って感じでできる時もあるし。

井澤:MDで録ってみて、あとから聴いて「良かったんだ」って確認する時もあるし。

──じゃあ、スタジオに入る前にある程度曲の構成を固めるわけではないんですね。

武田:ええ。そういうのは全然ないですね。

──普段のオムニバス・ライヴでは、短い時間の中でどの曲をやるか結構悩むんじゃないですか?

楠本:今まではライヴはいつも同じような曲順で、「この流れが気持ち良かったかな」っていうのが大抵決まってたんですよ、1~2曲替える程度で。逆に今はライヴをやってる時に悩んで、それが面白いのかなって。

武田:まぁ、持ち時間は30分くらいなので、最近の傾向としてはやっぱり大人しい曲は入れないですね。

楠本:全部押せ押せな感じで。

──ライヴになるといわゆるインプロヴィゼーションというか、1曲の演奏をどんどん長くしたくなりませんか?

武田:まず楽曲ありきというのが根底にあって、その楽曲の前に4人のフレーズの“絡み”がないと楽曲は成り立たないんですよ。その“絡み”を聴かせるための楽曲であって、楽曲の中でみんなが個人個人バラバラにやっちゃうと“絡み”が全く聴こえなくなるからインプロはやらない状態ですね。

井澤:これから先は全然判らないですけどね。コンパクトにまとめるのがLITEの音楽ってわけでもないんですよ。ただ今はそれが気持ちいいからそういったものを作っているというだけで、武田が言った“絡み”をずっと聴かせて、そのループが凄く気持ち良ければそんな曲も作ってるかもしれないですね。

武田:“絡み”を活かすためのインプロだったら問題ないですけどね。でも、インプロだけの曲になることは確実にないでしょうね。 jい

──4人の絡んだ瞬間が一番スリリングですからね。

武田:「dead leaf」という曲も、自分達が作ってきた曲の中ではまるで方向性の違う楽曲なんですけど、俺達3人のギターとベースが有機的に絡むところでバンドの中では新しいと思うし。

──アルバムのコンセプトはありますか? 朝起きてから夜になるまでの1日の流れみたいな物語性を感じるんですけど。


楠本:閃きだよね。

武田:最初からそういうことは考えて作ってないですけど…。一番最初の雑音とかも、あったらいいなぁと思ってやってみたらハマった感じで。全体の流れがあるっていうところで、人生のとある1日みたいになるのかな?

──あと、曲のタイトルがすべて英語なのも何か意図が?

井澤:武田が高校の英語教師の資格を持ってるんですよ。

武田:いや、ただそれだけなんですけどね(笑)。

──曲のタイトルは、音を聴いてふと浮かぶものなんですか? 1曲目の「I walk」も確かに歩いている感じのする曲調で。

武田:実際に歩いて録ってるんですよ、いろんなところでマイク持って(笑)。

井澤:すげぇ怪しい人じゃん(笑)。

武田:自由が丘と渋谷でね。そういう偶然性っていうのがホント好きなんですよ。前作の「the end of abstract」も、最初は「曲名決まんないね」って言ってて、「仮で『ab』にしよう」ってことになってたんです。それが最後に「あと1分で曲名を決めろ」ってスタッフに言われて、「じゃ、『abstract』で」って決めたんですよ(笑)。パッと出てきたものにあとから意味をこじつけることは多いですね。このアルバムの2曲目にある「contemporary disease」も最初は「cd」だったし。

──じゃあ、曲作りもインスピレーションに委ねる部分が多いですか?

武田:そうですね。頭で作りすぎてると、意外とちっちゃくまとまるケースが多いんで。偶発的なものが好きですね。

井澤:偶然が必然なのかもしれませんね。ほとんどMDで録ってるんですけど、あとで聴くと自分が弾いてるベースのフレーズとか全然判んないし(笑)。

武田:その時にしかできないことだし、やっぱりそこを重要視したいんですよ。

山本:「on the gloomy evening」という曲はハードコア的なことをそれぞれがやっていて、僕もドラムを目一杯叩いて凄くハードコア寄りな曲になるかと思いきや、4人合わさったら意外と鋭くてタイトで刺すような曲になったんです。それも全くの偶然だし。

──たとえばグレイトフル・デッドみたいに延々とジャムを繰り返すのは偶発性の極致だと思うんですけど、LITEの場合はそこをタイトに削ぎ落とすから、より難易度が高い気がするんですよ。

武田:グレイトフル・デッドはインスピレーションの偶発性を大事にしてそのままにしてますけど、その偶発性を磨くこともしたいんですよね。

井澤:まぁ、曲作りの段階はグレイトフル・デッドかもしれませんけどね(笑)。

楠本:確かに、録ったMDを聴き直すと痛いもんね。1曲20分とかひたすらやってて。

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