Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ザ・キャプテンズ(2006年2月号)- 何かの瞬間、僕達が一番ポップになる

何かの瞬間、僕達が一番ポップになる

2006.02.01

 "最後のグループサウンズ"を掲げ、日本のロック、GSが生まれて40周年の節目となる2005年夏にインディーズからメジャーへと飛び出したザ・キャプテンズ。"ありのまま、裸のロックンロールを見せるだけでいい"という結論から産み落とされた本作『失神最前線』は、時代を継承しつつ現代の風味をサウンドにしっかり効かせた、非常に多面性のあるアルバムに仕上がった。2001年、仙台にて結成したその日から今日まで、4年分の重みと共に「僕達はグループサウンズをやっているけど、今生きているロック・バンドだ」という言葉が響いてくる。(interview:高橋典子)

君のハートを撃ち抜きたい!

──今回『ルーフトップ』には初めての登場ですが、以前ロフトにライヴ出演された時、音が良かったっておっしゃってましたね。
 
傷彦(歌とエレキギター):うん、凄く良かった。さすがでしたね(笑)。もう30周年でしたっけ? 僕も東北でずっと活動していて、あのチェック柄の床が凄く憧れでしたね。写真で観ると凄く格好良くて。
 
──あぁ~、ビデオとか観てもすぐロフトだって判りますもんね。さて今作はメジャー・ファースト・アルバムですが、先にリリースされたシングル・ムービー「太陽は知っている」「月影ロマンス」(共にアルバム収録曲)のストーリーについて聞かせて下さい。
 
傷彦:まず、なぜDVD付きにしたかというと、僕達のライヴの楽しさの部分を知ってほしくて、それを1曲の中に凝縮するためにはライヴ映像じゃなく、ストーリー仕立てのものをやってみたかったわけなんだよね。「太陽~」のテーマは“愛のために闘う”。僕、傷彦が奪われた恋人を助けに行くストーリーで、最後は愛の力で敵、味方関係なくみんなで一緒に楽しもうぜっていうふうになっているね。
 
──ですね、映画のような映像で何度も観たくなりますね。「月影~」はいかがですか?
 
傷彦:今度は西部劇。それまで“夕陽のガンマン”っていうツアーをやっていたのもあるし、「月影~」って曲自体が“変身”をテーマにしていて、臆病な男の子が月の光の力を借りて、好きな子に告白しに夜の街を走っていくっていう曲なので。ストーリーとしては、一度は破れて村を追い出された僕、傷彦が、強くなって帰ってきて月の下で対決する。西部劇は単純にやってみたかったんだよね(笑)。
 
テッド(歌とエレキベース):傷彦が「やりたい」って言ったんだよね(笑)。
 
──結構、形とか格好から入った感じですか?
 
傷彦:う~ん、何て言うのかな。「君のハートを撃ち抜きたい!」……そこかな。
 
──あははは! 進化した部分はどんなところでしょう?
 
傷彦:僕達なりの変化っていうものがあって、ある意味「太陽~」より「月影~」のほうが、ポップな曲として出した部分がある、ある意味ではだけど。あと、普通のミュージシャンだったら簡単にやることなんだろうけど、「月影~」にはアコースティック・ギターが入っているんだよ、初めて。そこって結構大事なのかな、みたいな(笑)。曲のテーマにも合うしね。今回アコギはテッドが弾いてる。
 
テッド:アコギはね、ホント難しい。僕らずっとエレキでやってきたんだけども、あれだけ生で、指に感触を感じてそれが全部音になっちゃうんで。僕はベースなんですけどギターの気持ちが判ったっていうか、今後に向けてもいい方向に進んだなと思います。いろんな楽器やってみたいな。
 
傷彦:凄く些細なことなんだけど、自由度がだんだん増しているってことが一番大事。
 
──演技の面でも高度になってきてますしね。爆破シーンはどんなでした?(笑)
 
ヒザシ(歌とエレキギター):熱かったね、あれ(笑)。「何度も取り直すと痛いから一発で決めよう!」って、ホント一発撮りだったよね。
 
ヨースケ(ドラムス):「月影~」のPVは、野外で真夜中の撮影だったんですよ。夜の冷え込みがハンパなくて。でも冷え込むと集中力が高まるから凄くいい撮影だったし、短時間で濃くていいものが撮れたんじゃないかなと思います。
 

本当に生きている僕達に触れてほしい

──それではアルバム『失神最前線』の話を。初音源化の曲も結構ありますが、みなさんにとっては温めてきた13曲って感じでしょうか?
 
傷彦:そうだね、結成してから4年の集大成っていう部分はあるね。『失神最前線』というタイトルはギリギリで僕が考えたものなんだけど、今思えば凄く示唆的で、このアルバムは“最前線への招待状”なんだと思ってる。僕達の居る現場の空気、つまりはライヴ会場、それが最前線。それを伝えたくて作ったアルバム。とにかくライヴ感、あと極力このメンバー4人だけで、このメンバーにしかできないロックンロールを作りたかった。ライヴで観たような臨場感が欲しくて、でも「これは入り口なんだよ」っていうことも含め、“招待状”だっていう感じかな。
 
テッド:個人的には「恋はガラスの万華鏡」が凄いです。この曲の凄いところは、声がもの凄く前にある感じがするんですよ。僕、男なのに傷彦の声の色気的なものが凄いなと思ったんですよね。僕も気持ち良く歌えたし。この曲は勢いがあるんですよ、それと凍りつくような冷たさが凄くよくできたなと。
 
──「砂浜ラブレター」に次ぐテッドさんの歌声披露ですね。ヨースケさんはいかがですか?
 
ヨースケ:俺は最近凄く表現する時に何が一番大事かを考えていて、その時その時の初期衝動的なものとか、嘘のない感じが凄く好きなんですよ。『失神最前線』というアルバムにはその時やりたいことが詰まってて、俺はパンクもロックも好きだし何でも好きなんだけど、キャプテンズの音楽が一番好きだAE蹶よってことが凄く入ってるものができたと思うんで。「これをやりたかった」っていうこととか、リアルなことを大事にしていきたいなと思います。
 
──その“嘘のない”って形を言葉にするならどんなものですかね?
 
ヨースケ:リアルとか、初期衝動とか、気持ち的にですね。みんなそうなんでしょうけど、「これは他の人にはできんぞ!」というものをキャプテンズは特にやってると思います。
 
──徹底した世界観を持ったエンターテインメントであって、ロックとしてもアートとしても楽しめますもんね。笑える部分もあったり。
 
傷彦:ここまでコンセプチュアルにやってきて、元々グループサウンズから出発しているから、アルバムについて考えた時、“僕らのありのまま、裸のロックンロールを見せるだけでいい”っていう結論だったんですよね。でもね、リアルタイムに生きている僕達は日々変化しているから、本当のリアルを感じられるものはライヴでしかなくて、そこにジレンマはあって……。でもCDの中にも僕らを詰め込んでいきたいから“招待状”っていうふうになるんだよね(笑)。だから本当に生きている僕達に触れてほしいな、とは常に思ってますね。
 
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