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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】特撮(2005年7月号)- ロック界のヴィレッジ・ピープルが放つ、前人未踏の形容不能ワールド『綿いっぱいの愛を!』

ロック界のヴィレッジ・ピープルが放つ、前人未踏の形容不能ワールド『綿いっぱいの愛を!』

2005.07.01

 大槻ケンヂ率いる特撮、久々となるフル・アルバム『綿いっぱいの愛を!』が遂に完成! 今までにも増して思いっ切り振り幅のある多彩なごった煮サウンドが詰め込まれたこのアルバムは、ハードにしてポップ&メルヘン!? 聴き進むほどに目まぐるしく変化していく音の波に飲み込まれ、唯一無二の特撮ワールドに没入してしまうこと必至! さらに、お馴染みのオーケンの歌詞世界も深みを増し、切ない気持ちから爆笑まで振り幅ギリギリまで感情を揺さぶる! 今回はある意味そんなアルバムの内容以上に濃厚なメンバー4人揃ってのインタビュー! これだけバラバラな個性が集まったメンバーがどうやって一つのものを作り上げているのか!?(interview:北村ヂン)

3分40秒以内の曲を!

──久々のフル・アルバムとなる『綿いっぱいの愛を!』ですが…。
 
大槻:悲しいのは、コレ「めんいっぱいの愛を!」って読まれちゃうんですよ。
 
三柴:ルビふっておくのも変ですしね。「死人の海をただよう」も「しにん」って読まれちゃうからね。「しびと」って読んだほうが絶対にいいのに。
 
──「めん」って読んじゃったら、食い物かって感じですからね。
 
大槻:あと「これは海綿体のことか?」って真面目に訊かれちゃったのが悲しかったなぁ~…。
 
NARASAKI:そんな若くないんだよって。
 
大槻:イヤッ、オレは下半身は若いよ! …とかそこでムキになるのも面白いけどね(笑)。
 
──エッセイ集『綿いっぱいの愛を!』と同タイトルですけど。その辺は何でだったんですか。
 
大槻:本とアルバムのタイトルを一緒にするっていうのは、本屋さんで本を見かけた人が、CD屋さんに行った時に「おっ」と思ってくれればいいなという、そういう単純な気持ちからですね。
 
──どっちかというと営業的な理由から。
 
大槻:メディア・ミックスですね。
 
──いつも特撮のアルバムを聴いてて思うんですけど、特撮はみなさんがそれぞれ作曲してる訳ですが、アルバムを作るに当たって最初にコンセプトとかを決めてから作曲するんですか、それとも各自好き勝手に作ってきて、まとめるっていう感じなんですか。
 
三柴:何も言わないとみんな好き勝手に作ってくるんですけど、今回はオーケンから「曲を短く、ライヴの時に盛り上がるような曲を」っていう注文がありましたね。まぁ、コンセプトって言っても、音楽のコンセプトじゃなくって、そういう注文だったんですけど。
 
ARIMATSU:実際はそんなに気にもしてなかったけど。
 
三柴:ボクとかは放っておくと長い曲とか作っちゃうんで、だから短くっていう。
 
大槻:3分40秒以内でね。
 
──時間指定だったんですか!? どこからその数字は出てきたんですか。
 
大槻:それぐらいが演奏していてちょうど気持ちいいなっていう感じですね。それ以上だとちょっと長いって思うんで。
 
三柴:聴いてても飽きないしね。
 
大槻:イベントとかでもいっぱい曲が出来ればいいなって思ってるんで、そうすると必然的に曲は短いほうがいいなってなるんですよ。…最近もう、MCをするのが面 倒臭くなってきたんで、曲をいっぱいやりたいですね。
 
──曲調とかそういうのは全く話し合わないんですか。
 
ARIMATSU:デモを作って、みんなで聴くっていう作業があるんで、その段階で「いいんじゃない」っていうものをチョイスはしていますけどね。
 
──それにしてもジャンルが幅広いですよね。
 
ARIMATSU:メンバーがみんなバラバラですからね。
 
三柴:音楽性の方向がバラバラな、そういうメンバーが集まってるんで。そもそも、始まりが“ロック・バンド”というよりも“パンク・チーム”っていうユニットとして集まったメンバーだから。だから音楽性はメチャクチャですよね。だけど、プレイする人は同じだし、ヴォーカルはオーケンなので、どんな曲をやっても「特撮」としてまとまりが出来てると思いますけど。レコーディングで音楽的にまとめる作業はNARASAKIくんがやってくれてますしね。
 
大槻:…うーん、でも今回はホント、バラバラでしたねぇ。
 
三柴:でも、昔のアルバムもみんなそうって言えばそうだからね。サンバとか入ってたりするし…。
 
ARIMATSU:共通して皆が好きなアーティストっているのかな?
 
三柴:普通、バンドで集まるとビートルズが好きだとか、共通点があったりするんですけど…、特撮ではそこを確認し合ってないんで。
 
──もう随分長くやってるじゃないですか。
 
大槻:じゃあ今確認しようよ。ボク、ボブ・マーリーとか大好きよ。
 
ARIMATSU:あ、オレも好き。
 
三柴:…オレは、大っ嫌いとは言わないけど、ボブ・マーリーとか、いくら聴いてもどこがいいのかわかんないんだよなぁ~(笑)。
 
大槻:レッド・ツェッペリンは?
 
三柴:ダメダメ。
 
NARASAKI:ツェッペリンとか全然わかんないなぁ。
 
ARIMATSU:ツェッペリンはオレ全然いけるよ!
 
大槻:ああ、ARIMATSUちゃんとオレは音楽の趣味合うんだなぁ…よし、バンド組もう!(笑)
 
音楽は道楽 VS 音楽しか出来ない
三柴:(笑)…でもまぁ、なんだかんだ言ってオーケン以外の3人は音楽に対して真剣ですから。
 
──3人は(笑)。
 
大槻:…ボクは音楽、道楽ですからね。
 
三柴:道楽って言われちゃうのも悲しいけどね。
 
大槻:道楽でやりたいと思っていながらも、道楽に出来ていない中途半端さがボクはいけないと思ってるんですけどね。
 
ARIMATSU:…まぁ、オレらは真剣に音楽やってるのかもしれないけど、よく考えたら他にやることがないだけなんだけどね。
 
三柴:ボクの場合は「他にやれることがない」ですね。
 
大槻:エディとかは、普通に会社勤めしてもちゃんと出来そうだけどなぁ。
 
三柴:出来ない出来ない。今までまともにバイトとか務まったことないもん。昔、パンチパーマだったんだけど、それを一生懸命七・三にして、東京ピアノっていうピアノメーカーを受けようとしたんだよ。色んなボロいメーカーのピアノ持って来て「YAMAHA」っていうロゴを貼り付けて売っちゃってるようなひどいメーカーなんだけど(笑)。そこに就職しようと思って、就職活動したこともあるんだけど、全然ダメだったからね。
 
──これだけ音楽性がバラバラで、さらに音楽しかやることがないっていう人と道楽だっていう人が混在したバンド、10代の頃だったら絶対殴り合いのケンカとかしそうですけど、やはりそれぞれキャリアが長いメンバーなので、絶対こうじゃなくちゃいけない、みたいな懐が広くなってるんですかね。
 
三柴:基本的にボクは、このメンバーで絶対にこんな曲はやりたくないっていうのは今までなかったんで、問題ないですね。そこまでイヤな曲っていうのが出て来たことっていうのもないもんね。
 
NARASAKI:じゃあ今度ニュー・ミュージックとか演歌とか作ってくるよ。
 
三柴:(笑)
 
大槻:あ、でも今回入っているエディが作ってきた「さらばマトリョーシカ」は、これはオレには歌えんって思ったんで自分で歌ってもらいましたけどね。昔、筋少の頃に内田(雄一郎)がGSみたいな曲を作って来た時も、これは歌えないっていうことで内田に歌ってもらったんだけど、それ以来かな。
 
三柴:じゃあ名誉なことだね。
 
NARASAKI:あ、でもボクも歌ったことありますよ。
 
──どの段階で三柴さんが歌うことに決まったんですか。
 
三柴:録る段階で(笑)。スタジオでいきなり言われたから。
 
──歌ってみてどうでしたか。
 
三柴:キーがちょっと高かったんですけどね、大槻用に設定しちゃったんで。でも、気持ちよかったですよ。歌は嫌いじゃないので。
 
大槻:そう言えば、皆でカラオケって行ったことないね。
 
三柴:だってキミがカラオケ嫌いだって言うからじゃん。皆、選曲してて誰も見てくれないからイヤなんでしょ。
 
NARASAKI:ああ、だから『のほほん学校』ではカラオケ歌うんだ。皆が見てくれるから。
 
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