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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】SPIRAL CHORD(2005年4月号)- 脳内を摩擦する甘美な歪みと張り詰めた轟音──スパイラル・コード初のインタビュー奪取!

脳内を摩擦する甘美な歪みと張り詰めた轟音──スパイラル・コード初のインタビュー奪取!

2005.04.01

 ことの始まりはこうだった。Rooftop編集長・椎名氏とSPIRAL CHORDのページを取りたいねと密談したが、現実主要メンバーは北海道在住。メールでの質問を考えていたところ「西村が北海道来ればいいじゃん」とherAx氏。いいんすかいいんすか西村北海道初めてだし、一人でインタビューも初めてですよ。しかもSPIRAL CHORDもちゃんとしたインタビュー初めてらしく、初めてづくしなこの企画。首都圏でのライヴ回数が極端に少なく、謎のベールに包まれていたSPIRAL CHORD。GG TRASH(a.k.a. GENDO TAKEBAYASHI ex.COWPERS; vo+g)、junkhead herAx(a.k.a. HERA from 200MPH; ds)2人の北の猛者(北海道在住)に初インタビューなのに内側から攻めて参りました。(interview:西村仁志/下北沢SHELTER)

ラモーンズの素晴らしさを再認識した

──メンバーが札幌と東京で離れていて、レコーディングはちゃんとできたんですか? 日数も長かったんですよね?
 
herAx:俺と(中尾)憲太郎は早かった。
 
GG:…2日。実質24時間ぐらい。
 
──10曲で2日っすか!? 憲太郎さんのコーラスとかは?
 
GG:全く入れてないな。 
 
herAx:レコーディングのために札幌に来てもらう大変さはなかった。 
 
GG:ライヴのついでにレコーディングした感じ。でも、バックが録れてからが長かった。ずっと俺の一人作業。
 
──これでやってたんすか?(と、ゲンドウ宅のマックを指さす)
 
GG:いや、あっちに(奥の部屋はレコーディング・ルーム)。録りはMTRで、編集はMAC。
 
──ちなみに、憲太郎さんは本採用でいいんすか?
 
GG:それは憲太郎に訊いてくれ(笑)。
 
──憲太郎さんも距離でのストレスはなさそうなんすよ。あんだけ「ジンギスカン、ジンギスカン」って騒いでますし(中尾憲太郎氏はジンギスカン・フリーク)。
 
GG:それだけの理由なんじゃないの?(笑)
 
──なんで今回のリリースは“ink drive”からじゃないんすか?
 
GG:実際無理っしょ。録りから始めて、途中宣伝していくのはシンドイ。出すんだったらinkではなく、別のレーベルを探そうと思ってた。今回STRAIGHT UPにしたのは、担当者のどうしてもやりたいっていう押しに負けたのもある。
 
──ゲンドウさん的にはカウパァズっぽさをなくそうとか、ヘラさんは200MPHっぽくしないように気を使ったとか、そういうのは?
 
herAx:いや、全然ない。
 
GG:やってる人は変わらないから。
 
──聴き手に任せる、と。長い曲が多いのかなと思ったら、3分にまとめてきましたね。
 
herAx:曲を作ってる時はもっと長くなってる。
 
GG:ヘラ独特の長さがあって、気持ちいい尺があるみたい。俺はもっと短くてもイイんだけど…。
 
herAx:短くしすぎると、出しどころが判らなくなってくるんだよね。
 
GG:アレンジしといて間違えるの、ヘラだからね。 
 
herAx:(笑)。自分で言っといてね。で、間違ったままライヴもやってる。
 
──メンバーからのダメ出しは?
 
GG:後で言うけど、それも含めライヴだから。
 
──ちなみに、シェルターでも間違ってるんすか?
 
herAx:ガンガン間違ってる(笑)。 
 
GG:それも含めライヴだから。
 
──ヘラさん、唄ったの今回初めてですよね?
 
herAx:ドラムをやりながらは、コーラスも含め封印してた。ヴォーカルはあり得ない。
 
GG:コーラスも拒まれてた。
 
──でも今回、あり得ましたね。
 
GG:「メインでやれよ」って言ったらやりやがった(笑)。
 
──ラモーンズの「I WANNA LIVE」をカヴァーしたきっかけは?
 
GG:アルバムで考えた時に、カウパァズ時代はカヴァーとかは基本的になくて、このバンドではアリだと思って…好きなバンドのカヴァーを入れて、オマージュ的な要素を入れたかった。「ラモーンズやりたい」って言ったら(ヘラが)あっさり「いいよ」って。
 
──(ヘラ氏に)その時点で唄いたいって気持ちは?
 
herAx:そこまではなかった。
 
GG:俺が曲を決めたんだけど、キーが全然合わなくて唄えなかった。キーを変えてまでやろうとは思わなかったんだよね。で、(ヘラが)「俺、唄える」って(笑)。
 
──何テイク録ったんすか?
 
GG:3テイクぐらいかな。
 
──カヴァーなら、てっきりダムドかと思ってました。
 
herAx:ラモーンズにはラモーンズの、ダムドにはダムドの思い入れがあって、タイミングがラモーンズだった。
 
──ヘラさんが東京を離れる時(約2年前。ヘラ氏は東京出身)、いろんな音楽の波がある中で凄くラモーンズに行ってましたよね? 
 
herAx:歌詩を覚えるために改めて聴き直すでしょ? 素晴らしいんだよね。
 
GG:俺もかなり再認識させられたな、ヘラに。
 
herAx:丁度、ジョニーがね……。あと、映画(『END OF THE CENTURY』)の公開とかもあったしね。
 
GG:やらしいタイミングにはなっちゃったけど、本当のラモーンズは3人逝っちゃったし、ここはやっとかないとな、と俺は思った。
 
herAx:DDが死んだ時はちょっと考えた。でもその時はスパイラルじゃなかったし。
 
──ヘラさんはヴォーカルやってみてどうでした?
 
herAx:どうって何も…残っちゃうしね。
 
GG:俺が恥ずかしかったよ、録ってる時。俺が卓いじくって、「壁に向かって唄うのはイヤだ」って俺と向き合って、ずーっと俺の目を見ながら唄ってて(笑)。だんだんノってきて肩とか動くから、「声がブレるから安定して唄え」って言ったんだけど。
 
herAx:身体を止めると目線も止まっちゃって。止まった目線の先にたまたまゲンちゃんがいた(笑)。
 
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