Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ランクヘッド(2005年4月号)- 新章突入──「体温」そして『月と手のひら』止め処なく溢れ出す "命が燃える音" への希求

新章突入──「体温」そして『月と手のひら』止め処なく溢れ出す “命が燃える音” への希求

2005.04.01

キーワードは“誰かにとって何かでありたい”

──うれしいや悲しいのどれでもなくて、胸が苦しくなる。「体温」でそう歌われてますが、それってどんなものなんでしょう?
 
小高:言葉にできる感情じゃないんですね。友達が言ってたんですけど、“人間は、心が揺れてどうしようもなくなった時に揺れた分だけ涙があふれるのかもね”って。その時の感じは、別にうれしいわけでも悲しいわけでもなく、人間が生きてるってことに対してとにかく心が揺れたんですよね。みんな必死なんだなって思うと、無性に泣けてきて。そうなるのはどうしてだろうって思ったんですけど、どうしようもなく僕、胸が震えて涙が出て、理由なんか判らないけど、理由なんか要らないって思ったんですよね。それがそのまんま、歌詞になりました。
 
石川:それって“感動”ってことですよね。感情が動くっていうか。映画を見終わって、何で感動したんやろ? って考えても、答えは見つからないですよ。いいシーンがあったのかもしれないけど、でもそれが何で胸に響いたかなんて……喜怒哀楽だけでは表現できないですね。言葉が限られすぎてて。
 
──生きてることは、特別にうれしいことでも悲しいことでもない当たり前なこととも言えますよね。でも、その当たり前なことに胸が震えるっていう感性がすごいんだと思う。それをバカにしたりしないでそのまま詞にすること自体、命がキレイだなと思います。
 
小高:別に、誰かを励まそうとか“頑張って生きようぜ!”とかのメッセージ性は「体温」にはないんですよ。純粋に感動したって気持ちだけで、誰かにどう思われたいとかも。でも、書いてる時は熱くなってるんで判らないんですけど、後になって比べてみた時に、「体温」には“~かもしれない”とかが出てこなくて、初めて断定してるんですよね。その言い切ってるところが、すごい迷いがなかったですね。それは今までになかった要素であって、僕なりにたどり着いた境地、的なところなのかな。
 
──誰かを励ますための歌じゃないっていうのは、「体温」に限らずアルバムの曲すべてに通 じるんじゃないですか?
 
小高:うん。ただでも、やっぱり“誰かにとって何かでありたい”っていうのはすごいキーワードで。“頑張ろうぜ”とは言えないけど、“俺みたいな人間もいるから大丈夫だぜ”みたいな部分での励ましはきっとあって。そういうのが「体温」にはない。誰かが聴くってことを意識しないで書けた歌詞だし、その逆ギレ具合の強さというか吹っ切れた感があって、それに自分はすごい救われたところもありますね。それで自分自身、(アルバム制作の)後半のモチベーションがグワァーッて上がったところもあるし。
 
──そのアルバムが出来上がり、達成感や充実度は大きいんじゃないですか?
 
合田 悟(b):達成感、ありますね。バンドに合った理想的な、もしくはそれ以上の2ndアルバムが出来たんじゃないかなと思ってて。詞もすごいリアルだし、サウンドもすごくいいのが出来上がって、これまでも歌詞を生かすサウンドっていうのは重視してたけど、今回、サウンドを生かしてくれる歌詞っていうのがあって。バンド内の成長を現すケミストリーが働いた部分があると思うし、素晴らしい2ndアルバムが出来たと思ってます。
 
石川:なんか、評論家みたいやな(笑)。
 
山下 :達成感はありましたね。今年、2月いっぱい丸々やってたから、もうそろそろスタジオに行くのもヤだなって。……(スタジオは)窓がないから、日光が当たんないですよね。それがイヤでした。
 
合田:植物か(笑)。
 
山下 :でも、それだけ集中してたし緊張もしてたんで、出来上がってマスタリングが終わった時は、達成感ありましたね。レコーディングする過程で、“成長したな”っていうのを実感できたところもあって。このまま頑張って精進していこう、と強く思いました。それと、早くライヴがしたいなと。
 
小高:『地図』の青臭さは、僕らをすごい成長させたんですよね。それが今回のアルバムには活きてると思うし、またこっから学んで次につながっていくこともたくさんあるし。バンドとして、すごい健全な一年間の集大成になったなって感じました。
 
──『地図』もすごく必死だしもがいているし、心が揺れまくってる。でも今回は、窓の外に一歩出たところで戦ってる分、前よりも近くでランクヘッドを感じられる気がします。
 
石川:『地図』の時より、よく聴きそうな気がするんですよね。自分で(笑)。前は体裁を繕うことを考えちゃった気がしてて。プラモデルを作る時にヤスリがけをちゃんとする感じで、キレイに作ったほうがいいんじゃないかって。そういう意識は今回なくて、キレイになりすぎないようなイメージで出来たのが、“開けた”って感じにつながってるのかなって。無理せず、無駄 な作業はせず、ありのままを表現できたなって。
 
──さて、いよいよ4月15日にロフトの6th Anniversaryでワンマンがありますね!
 
石川:ロフトが今の場所に移転した年に、僕ら上京してきたんですよ。
 
小高:ロフトって昔から憧れの場所で。何回CD-Rを持ってったか(笑)。
 
石川:……僕ら、音源だけでダメだったことも含めて、ロフトとシェルターで計6回ポシャッてるんですよ(笑)。
 
──そうでしたか(笑)。
 
小高:初めてロフトに出たのは2年前ですね。
 
合田:すごいうれしかったよね! あの時。
 
小高:うれしくて演奏ボロッボロだったけどね!(笑) そういう場所でワンマンができて、しかも6周年っていうすごくいいタイミングでやらせてもらえて。それにその日、僕、誕生日なんですよ。
 
──すごい! おめでとうございます!
 
小高:でも、ヘタに“誕生日おめでとう~!”って言わせないライヴにしたいですね。
 
山下 :小高の誕生日より、まずロフトの誕生日を祝う感じですね。思い出とか全部つめ込んでベストなステージを見せますんで、楽しみにしといてね!
 
小高:イイこと言うじゃーん(笑)。
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻