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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】藍坊主(2005年4月号)- 自分で言うのもアレなんですがすごいいいですよ

自分で言うのもアレなんですがすごいいいですよ

2005.04.01

藍坊主のニューシングル『ウズラ』がトイズファクトリーより3/16にリリースされた。実は彼らも私も小田原の出身。ボーカルの佐々木くんとはなんと最寄りの駅まで一緒。私もロフトでかれこれ10年近く働いているが、ここまで近所のバンドは他にはいない。これは行くっきゃないということで、私くし中村がインタビューに行って参りました。「なんで『ウズラ』なんですか? 」なんていうことは他のインタビューでも読んでくれ!! 今回はまだあまり知られていない藍坊主のパーソナルな部分、またミュージシャンとしての部分に着目してインタビューしてみました。そこから「今」の、そして「これから」の藍坊主が見えてるはず。(interview:新宿ロフト 眞)

そこまでまっすぐ前向きな人間でもないし、そんな人間の口からがんばれって言っても伝わらないから

──3/16に『ウズラ』がリリースされたんですが、僕の中では『殴れ』が藍坊主のイメージで、今回『ウズラ』を聞いてみて変わったなと思ったんだけど…
 
佐々木:『ヒロシゲブルー』というアルバムが前回出した音源ですけど、あの頃はまだ自分たちの中でどうしようっていう意識があって、『殴れ』はそういう時に作ったCDだったんですよ。今回は『ヒロシゲブルー』を出してから10ヶ月ぐらい経ってるんだけど、実際半年ぐらいかけて作っていろいろ考えてて、その悩んでる中でできてきたのが『ウズラ』とか『螺旋』とか、今作ってるアルバムの曲なんですけど、やっぱ俺等が一番表現したいというか、できるのは歌が中心になってメロディーがあって歌詞がしっかり聞こえるものなんですよね。それをいろんなアレンジをしていけば絶対自分らしさが出るって言う確信が見つけられたんですよ。だから今回メロディーと歌詞がちゃんとしたものが作れたと言うこともあって変わったな思うんだと思います。
 
──ポッキーのCMで流れそうな爽やかな風が吹いてるよね(笑)。でも、詞の最後に「いつか冷たくなる前に」って、そこでエグイこととか言ってるのもいつもの藍坊主かなって思ったんだよ。ただ爽やかで終わらせるんじゃなくて、あえてここでひとつ入れてきたのかなって。
 
佐々木:一番始めに僕らがやってたときって、応援ソングだったりしたんですけど、そういうのに嫌気がさしたんですよ(苦笑)。聞く人に伝わってるのかっていうのもあったし、僕自身そこまでまっすぐ前向きな人間でもないし、そんな人間の口からがんばれって言っても伝わらないなって、エグさみたいなものを求めてた時期もあったんですけど、そこから一回りして生きてる中で愛情とかやさしい気持ちを感じることもたくさんあるんで、そういうのを今回は出しつつでしたね。そう感じていただけたのは嬉しいです。
 
──うん。でも『螺旋(M-2)』は前の流れで来た感じかなって言うのがあって、ギターもくるしベースラインもいいし、これが藍坊主の音だなって思ったんだけど、この曲は今までの藍坊主に近いよね。
 
藤森:そうですね。結果的には今まで通 りになったんですけど、歌があれば結局何やってもいいんだなっていうのがわかったんですよ。アレンジはユウイチがやってるんですけど、今までの暗中模索してた時期より、それぞれの曲に一番合うアレンジっていうのが分かってきたんですよ。だからこの曲は結果 的にこういう激しい感じになったんですけど。
 
──みんなが同じように理解しあってるっていうのはいい環境かなって思うよ。あと、楽曲も歌を引き立たせつつもちゃんと攻めるとこは攻めてるよね。でも『ウズラ』のほうは起伏的にいうと、なだらかに抑えた感じがするよね。
 
藤森:今までは抑えることができなかったんですよ(苦笑)。音色とかは経験不足っていうのもあったのかもしれないですね。でも今は経験積んでレベルが上がってきたから自信持ってできるようになったな。今までずっと試行錯誤でやってきてたけど、最近はレコーディングの音作りでも音をイメージできるようになったから、そういうところも『ウズラ』は経験が一番出せた曲かな。
 

世間と関係ないところにいるんだけど、世間から注目されてるっていうバンド

──やっぱり藍坊主って青春パンクって言われるの?
 
田中:最近は言われないですけど、昔は。
 
佐々木:でも、世間的に見ればそう見られてるよ。だから対バンも最近変えてきてるんですよ。
 
──今、青春パンクから次のステップへ進んでいる中で、どんなバンドをイメージしているの?
 
田中:俺はユニコーンみたいなものを想像してますね。流行廃りなくというか、世間と関係ないところにいるんだけど、世間から注目されてるっていうバンドになりたいですね。
 
佐々木:でも俺は思ったんだけど、メロディーと歌詞を大事にしてれば俺は絶対いつかそうなれると思ってるよ。理想はできているんであとは目指すだけです。
 
──藤森くんと田中くんは一プレイヤーとしてはどうなりたいの?
 
藤森:ベースは極端に言うと、ベースを弾かなくてもいいかなって思う(笑)。大げさですけどね。必要だったらその歌にベースもウッドベースにしたり、軽いフットワークでやりたいですね。真面目に僕はこの楽器だと言われるといろんなプレイができないんで、革ジャン買っちゃったらパンクスになっちゃうとかイメージ固まっちゃうじゃないですか。でも、どんなファッションでもどんな音楽やってもいいと思うんですよね。
 
──ギターは最近どんなかんじなの?
 
田中:ギターはギターで。歌のジャマはしちゃいけないなと思う。だからって、歌を聴かせるだけっていうかギターもベースもドラムも歌もだとそれもつまらないので、あえてギターはギターで。そうしてく中で歌がぬ けていくようなそんなポップさが欲しいです。単にギターが弾きたいからってのもあるんですけど、アレンジ面 では基本的には歌を聴かせるようにはしてるんですが、ギターはあんまり受け身にはならずに。
 
──藍坊主のギタースタイルとして、参考にしたり目指してるギタリストは?
 
田中:今の時点で目指してるのはTAKUYA(ex.JUDY AND MARRY)さんとかですね。誰にも染まっていないギターを弾く。彼ならではのアルペジオの感じとか、でもそれをやりながらもボーカルはしっかり出てるってのがかっこいいな。目指しているものに近いですね。
 
──あと、今のバッドキャット(アンプの名前)は…。使いこなせてるの?
 
田中:(笑)。はい。
 
──ベースは?
 
藤森: 5弦とかで弾いてみたいですね。
 
──ライブとか音圧の部分で楽しみだね。ところで最近、好きで聞いてるCDとかってどんな?
 
田中:俺は…COCCO、椎名林檎、TAHITI80とかですね。
 
──藤森くんは?
 
藤森:バンジョーが入ってるのとかそんなにベースが入ってないのがいいかな。あとラスティックのもうちょい落ち着いたかんじとか、あんまり自分の聴いてるものは歌が入ってないのが多いですね。今までは歌もの聞いてたんですけどね。逆にこじつけっぽいですけど、そういうのを聞いてるから歌をやりたなというか、いいもの書きたいなって思うのかもしれないです。
 
佐々木:俺も歌が入ってるのは聞いてないですね。アンビエントとかエレクトロニカとか去年からけっこうハマってきててあと、ヒップホップとか1年半ぐらい前からハマってきて、最近は歌を聴いても女性ボーカルが多いですね、ウイスパー系の気持ちイイ感じの。Salyuとか。
 
──全くみんな違うものを聞いているんだね。じゃあ、藍坊主が提示しているカラーってどのへんを目指してるの?
 
佐々木:これは僕らにとって重要なんで、藍坊主っていうイメージなんですけど、次のアルバムからデザインを友達に御願いしたり、いろいろ一緒にやっていこうかなと思ってるんです。今までの僕らのイメージとこれからやっていこうとしているのとどんどん変わっていますね。口で言うのは難しいんですけど、俺等の頭の中にはあるんですよ…。ファッション的にも聞いてる音楽もバラバラなんですけどね。
 
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