昨年はCDデビュー15周年を記念し初期を、今年に入り中期~現在をと、2ウェイのライブツアーを行った藍坊主。今夏発売のニューアルバム『燃えない化石』もその周年に相応しく、かつてと現在、今後を同居させた作品性やツアーと共に、その健在ぶりと更なる躍進への期待を募らせた。また今回取材のボーカルのhozzyとギターの田中ユウイチはバンドと並行し弾き語りユニット「半月酒場」でも活動中。全国のカフェや会館、はてはプラネタリウム等、意外且つ身近な会場でのライブも印象的だ。
そんな彼らが10月22日に新宿ロフトに登場。ドラマストアとラックライフと共に「ロフト三つ巴~幸せの耳鳴り〜」に出演する。共にしっかりと歌が中心にある求心力の高い音楽性も特徴的なこの3組。集まったお客さんにも様々な出会いや発見、多くのものが寄与されていくに違いない。
そんな半月酒場コンビに登場願い、このイベントや過去の新宿ロフトへの出演等を、本イベントを組んだロフト樋口寛子も交え色々と語ってくれた。(interview 池田スカオ和宏)
なんでもっと早く知らなかったのか…
──まずは新宿ロフトと藍坊主との関係性から教えて下さい。
hozzy : 実はロフトと親密になってきたのはここ数年で。それこそ樋口さんと知り合ってからなんです。
田中:ある時、突然、樋口さんが「私、藍坊主が好きで…」なんて声をかけてくれて。そこから急速的に親密になっていったんです。不思議ですよ、このような大人になってからガッツリと友達になるって感覚は。若い時なら分かるけど、意気投合して…みたいな。以降、進行形でロフトでの藍坊主が形成されていく感じが自分たちでも凄くしていて。おかげさまで毎度新鮮味があるしワクワクして出演させてもらってます。
──ちなみに樋口さんはどうして彼らを?
樋口: 私、藍坊主がこんなに長い歴史があり、過去に武道館もやったことのあるバンドだったと、実は後から知ったんです(笑)。キッカケは5年前のロフトでのTHE NAMPA BOYSとGOING UNDER GROUNDとの組み合わせでした。その際に“むっちゃいい!! こんないいバンド居たんだ…。なんでもっと早く知らなかったのか…”って。私自身、ある程度キャリアのあるバンドを途中からこんなに入れ込むことってあまりないんです。次から次へと新しいバンドが出てくる中、それを追っているのが精いっぱいだったりもするので。
田中:あの時はホント、流行や若い若くない関係なくキチンと音楽に向き合い、そこで判断してくれる人なんだなと嬉しくなりました。樋口さんと言えば、その界隈ではやはり重鎮で信憑性もある方だし。そんな人から「好き」と言ってもらえるなんて。そこからしっかりと関係性が築けている。ホント冥利です。好きになった以上、なんとか一緒に仕事をしたい。その真っすぐな姿勢には感動すら覚えました。なので呼ばれる度にそれを想い返すと、このロフトはちょっと他のイベントよりも気合が入りますね。
──この新宿ロフトが他のハコと違うのはどんな部分だと捉えていますか?
hozzy : 来ているお客さんの柔練度が他よりも高い気がします。ロフトでやった際、初めて自分たちを観てくれたお客さんから「良かった」と感想をいただいて。そこから今でもライブに足を運んで下さる方もいるし。それはキチンと繋がりが感じられるブッキングによる部分も大きいだろうし。お客さんも「ロフトに出てるバンドだから」って安心感もあるだろうなって。やはり他の場所よりもスッとお客さんが入ってきてくれやすい印象はあります。いわゆる安心の品質が来ているお客さんの中でもあるんでしょう。
田中:分かる! それを象徴するのが、以前サーキットフェスでこのロフトに立った際にめっちゃ盛り上がった時のことで。1曲目からそれこそアンコールみたいな盛り上がりだったんです。通常サーキットフェスって、前のバンドが終わると一旦空気が入れ替わり、また最初から温めていく、その繰り返しなんですが、この日は前のバンドからのいい空気をそのまま継続して演れてる感が凄くあって。しかも自分たちを知らないであろう方々までも盛り上がってて。それらもやはりロフトだったからだろうなと今になって思います。
──ちなみに新宿ロフトで過去出演した際に印象深かったことって何かありますか?
hozzy :初期の頃、初めてロフトのステージに立ったのがバンク系のイベントだったんです。その時に興奮して「俺も何かやらなきゃ!!」と、気づいたらスピーカーに額を思いきり自分でぶつけていて。うっすら流血したのと、しっかりとそのスピーカーの網跡が額についてたことがありました(笑)。
田中:ついてた、ついてた(笑)。僕の中でのロフトは、さっきの樋口さんとの関係値もあり、凄く温かい印象があるんです。もちろん「ロックの殿堂云々」はありますが、やはりそれも樋口さんのような方々が運営しているし、してきたからこその場所なんだな…と今になって感じます。
超納得のラインナップ!!
──10月22日には、ドラマストアとラックライフと共に3マンライブ「ロフト三つ巴ライブ~幸せの耳鳴りに~」に出演するわけですが。
樋口:私は藍坊主と合うだろうとドラマストアに声をかけさせてもらいました。あと今回一緒にやるロフトの後輩がラックライフを推してくれて。
hozzy : 「この組み合わせに決まった!!」との連絡を受けた時には、「やっぱ分かってるわ!!」ってなりました。というのもそれぞれのバンドの重要な企画に自分たちは呼んでもらってことがあって。他にも過去何度も一緒にやったことがあるんで。「こりゃ、自分たちもお客さんも嬉しいメンツだし、イベントだな」って。
田中:ドラマストアなんてついこないだ一緒にやったばかりだし。彼らは昔、僕らのコピバンとかもやってくれていたみたいなんです。以前からよくライブにも来てくれていて。自分たちが大阪でライブを演る度に挨拶に来てくれて。この前一緒にやった時なんて、自分たちの主催なのに藍坊主の曲を2曲もカバーしてくれたんです。いないですよ他に、そんな愛を感じるバンドって。曲もいいしライブもカッコいいし。そんなバンドに慕ってもらえるのはやはり嬉しいです。
樋口:ラックライフもドラマストアも同じ大阪で、共に先輩後輩で仲がいいって聞くし。
田中:ラックライフも、彼らが主催している「グッドラック」ってイベントの拡大版にも当時独立したての僕らを誘ってくれたんです。その時が初共演だったんですが、いきなり大きな会場のタイミングでの声かけだったんで驚きました。元々、彼らは自分たちの地元小田原の後輩バンドのソライアオと仲が良くて、よく対バンもしていたんで知ってはいました。
hozzy : 音楽性もその2バンドは自分たちに近しいと感じていて。集まったお客さんにも違和感のない3組だろうから、絶対に最初から最後までキチンと楽しんでもらえるイベントになることが今から想像できます。自分たち的には、「超納得のラインナップ!!」と言ってもいいぐらいです。
──では、そこでは先輩の背中を魅せつつ、ガツンと出る杭を打つ感じかと(笑)。
hozzy :そんなことしませんよ(笑)。とりあえずいつも通りの自分たちのライブを全力でやるだけです。
田中:マジックや会場全体のグルーヴ感が生まれること必至なので、文字通り「三つ巴」になりそう。いや、してみせます! お客さんにとっても絶対に心に何か持ち帰れる一夜になるでしょう。とは言え、なんだかんだいっても、「やはり今日は藍坊主が一番良かった!!」と言ってもらえるイベントにしたいです。